第9話 心の中の宣戦布告
◇ 結城 誠 Side ◇
東主任の有給取得は報告したし、牧田さんの苦情も入れたしで、これで平穏な日常が戻って来る。
俺とはまったく関係ないけど、真希と東主任もあれからエッチしてないみたいだし?いや俺とはまったく関係ないけどね?
「これでまたあいつと縁が出来ちまったな。困ったもんだ」
声に出してみると思いの外声が弾んでいたのが恥ずかしくて顔をしかめる。
また真希から着信が……なんか伝達忘れか?メッセージで良いだろうに。
「もしもしどうした。なんか伝え忘れか?」
「どうしよう?みどりが逃げたの……」
「はあ?逃げたってもう協力しないってことか?」
「そうよ!どうしよう?どうしたら良い?」
「お前自分で尾行とか……無理だよな」
「送り出したあとにどうやって尾行とかするのよ!てかあんたがどうにかしてよ!」
あっ、こいつテンパってるわ……そりゃテンパるか。
「わーん、どうしよう?てか、みどりあの子絶対に締める!」
ありゃりゃ、牧田さん逃げて!超逃げて!ってそうか、あの人のせいでまた巻き込まれるのか……
でも仕方ないか乗り掛かった船だ。
「分かったよ俺が有給取って主任の尾行するから」
「ホント?良いの?」
「仕方ないだろ他にいないんだし……お前も途中から合流しろよ?」
「うん分かった……ありがと」
「結城、なにニヤニヤしてんだ?」
「東主任……」
良いスーツ着てんな……真希は○ニクロだったぞ?
「辞令が下りたな、おめでとう最年少主任!記録抜かれたな。それでか?あまりよろしくないぞ、周りの目もある……」
「ありがとうございます、気を付けますよ。しかし聞きましたよ、主任こそ次の人事で最年少係長ですもんね?おめでとうございます……」
仕事は出来るんだよなぁこの人、その分性格は悪いけどな。
「うんありがとう、しかしまだ内密にな。それはそうとお前もそろそろ身を固めた方がいいな。これから先に響くぞ?」
「私にはまだ早いですよ……」
「なんだ?まだ真希の事を気にしてんのか?未練がましい奴だな」
こいつ!ここでその名前出すか?ホント性格悪いな?自分の記録抜かれたからって嫌味かよ。
「そんな事はないですよ……でも、係長になるんです、奥さんに今よりも楽させてあげられますね?」
おっと、イカンイカン。ついついこっちも嫌味を言ってしまった。こいつも頬がひきつってる。ワロス
「どういう意味だ?」
「いえ?ただの一般論のつもりだったのですが……なにか私、お気にさわること言いました?」
「いやそんなことはない……」
「東主任も結城さんもいつまで無駄口叩いているんですか?仕事して下さい」
事務の敷田 梢さんからお叱りを受ける……この娘、顔は可愛らしいのに性格きついんだよなー
「すまんな敷田さん、ちょっと人事について話てただけだ」
うわぁ口出すなってか。大人げないなー
「主任は人事部ではないでしょう?」
この娘も負けてないな。クワバラクワバラ……
「あーそうだね敷田さん、ごめんね仕事に戻るよ!主任も行きましょう!」
「おい、結城!分かったから押すな」
「ホントに主任と敷田さんは相性悪いですねー」
「フン!結城もああいう娘はやめておけよ」
マジで相性悪いうえにこいつ大人げないなー
「あんまり言ってるとセクハラ扱いされますよ?」
「まったく困ったもんだ……」
さてと、明日の事もあるし今日は残業なしで帰ろう。その為にもちゃっちゃっと仕事片付けてしまおうかね。
「では仕事に戻りますね」
「うんそうしようか」
見てろよ?あんたは自分が蔑ろにしてた嫁から反撃されるんだ。あいつはちょっと抜けてるけど、泣き寝入りするような女じゃないんだ……
「じゃあお疲れ様です」
覚悟しな……
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
手駒 2が最後に主人公ムーブカマしてますが、彼は手駒 2です。
仕事出来るけど性格悪い奴って居ますよね?居ませんか?
次回も読んでいただけると嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます