第8話 日常と我慢の限界
とりあえず発動したオペレーション・ヘッドデスク(誠命名、「この上なくどうしようもない」のネットスラング?らしいよ?)に沿ってそれぞれミッションをこなして2週間経過。
ミッションと言っても基本、日常生活を送るだけなんだけどね?
結局は今あるお金で生活しなきゃだから、チラシのチェックは毎日するし、遠征にだって出掛けるわよ。
ただ思った以上にストレスなのは伸吾との生活なのよね……
「おはよう伸吾」
「おはよう真希……ねみぃ」
「ほら早く準備して!」
「はいはい分かりましたよーったく、うるさいなー」
「っ!ふぅ……はい、行ってらっしゃい!」
「ああ行ってくる……」
前までならこんなやり取りも微笑ましく感じていたけど、いろいろと判明してからはカチンと来ることがしばしば有る。
とは言ってもまさかイラ立ちをぶつけて警戒されるわけにもいかないから、ありったけの理性を総動員して平常心を保つように心掛けてる。
それより問題なのが夜なのよね……そりゃ夫婦なんだからこういうこともあるでしょう。
「なあ真希ーいいだろー」
「駄目よ明日も早いんだから」
「そんなこと言って昨日もだっただろ?」
当たり前よ!誰がするもんですか!
「駄目なものはダーメ!いい子にして寝なさい」
「そんなこと言って結局」
「あん、だめだってば……あっ……って今日は嫌だって言ってるでしょ?」
「チッ分かったよ……」
「はいおやすみなさい」
よし、なんとか逃げ切った……でもやばいなぁ伸吾にまた求められたら次は逃げ切れないかも。
そんな一進一退の攻防?を続けていたら、誠から連絡が入ってきた。
「あれ以来だな久し振り」
「そうね……」
「あれ?なんか疲れてね?」
「思った以上にオペレーション・ヘッドデスクがしんどいのよ……」
「ヘッドデスク?やっちゃった?なにそれ?」
「あんたが付けた名前でしょうが!」
「ああはいはい!忘れてたわ……」
「あんたねぇ……」
「それで、何がそんなにしんどいん?」
「伸吾がエッチ求めてくんのよ……」
「エッチってお前」
あらあら?何照れてんのよこいつ。
「子供じゃないんだから、これくらいで照れないでよ?こっちが恥ずかしくなるじゃない……」
「うっせいわい!なんか生々しいんだよ……それでそれがどうした?夫婦なんだから当然だろ?」
「あんなことが分かったのにするわけ無いでしょ!でも躱すのが限界なのよねー」
「あぁなるほどね、だからか……」
「なにがだからよ?」
「いや、東主任が明日有給使うんだわ。あっちも我慢の限界が来て、浮気相手とする気になったんかなってな」
やっと動いてくれるのね……しんどかった……
「了解!ありがと!こっちもみどりを使って追跡するわ。このチャンスを逃さないわよ!」
「そういや牧田さん、どうにかならないか?」
「どうしたのよ?」
「あれからしょっちゅう連絡来るんだよ。勘弁してくれ……」
「なんで?あんた彼女居ないでしょ?別にいいじゃない、あの子綺麗でしょ?」
「仕事中でもお構いなしに連絡来るんだよ。それになんかもう彼女になった気なのか生活に干渉してくるし?怖いわ!」
「あの子は……どこまでなのよ……分かったわ言っとく」
あの子はどこまで地雷女なのよ……笑えないわ。
「頼むわ、あと報告したからな?」
「うんありがと。あとはこっちでやっとく、また何かあったら連絡するわ」
「おう、じゃーな」
あの攻防も無駄じゃなかったのね……こっちももう限界だったからちょうどいいわ。
『報告が来たわよ!明日伸吾の追跡頼むわよ!』
『えー、やらなきゃダメ?』
『何言ってんのよ!約束したでしょ』
『したけど……やっぱり尾行とか良くないよ〜』
あーこの子、面倒くさがってる……
『誠紹介したでしょうが!』
『だって誠さん全然靡かないんだもん』
『そう言えば誠から苦情きてたよ?仕事中でも連絡来るし彼女面してくるしどうにかしてくれって』
『えー引かれてるじゃん……もう脈なしか〜。うんやっぱり尾行とか良くない、そんな事したくない。だからがんばれ!応援してるよファイト!』
あっ逃げる気だこいつ!その後通話に切り替えたけどまったく出ないしメッセージも既読スルーだし……
あいつ、いつか締める!ってどうしよう……さすがに私は尾行とか出来ないし……
誠、助けてよぉ
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
手駒 1が面倒くさがって逃亡、真希さんがまだ何もしてないのに先行き不安になってます。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
昨日完結まで書き上げました、最終話「Let It Be あるがままに」までよろしくお付き合いくださいませ。
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