第15話 浮気夫の凋落 1
♤東 伸吾 Side ♤
「ただいまー」
付き合ってる梢との逢瀬のあと、なに食わぬ顔で帰宅すると部屋には誰も居なかった。
「真希のやつ、どこ行ったんだ?」
リビングに入ってテーブルの方へ目をやると、紙切れが1枚置いてあった。読んでみると、
『伸吾さんと敷田 梢さんの不貞が発覚しました。このような生活は耐えられませんので家を出ます。以後の連絡は弁護士にお願いしていますのでそちらにしてください。本山弁護士 090-◯◯◯◯-◯◯◯◯』
なんだと……バレた?なんでだ?会社のカモフラージュは上手くいってる、誰かに見られた?バカな……
いや、原因とかはこの際どうでもいい。問題はこれからどうするかだ。
真希の電話に架けてみる……コールはするけど取らない。
メッセージを送るが既読はつかない。スタンプを何種類かプレゼントしてみようとする、出来るということはブロックはされていないな……
真希の実家にも架けてみる……こちらもコールのみで取らないか……
あいつが家を出て行ける所……友人宅はそんなに長居は出来ない、出来ても数日だろう。ホテルとかも同様に長居は無理だ、そんなに金は渡してない。なら実家だな。
さっきはコールのみで出てくれなかったが、しつこく架けていればそのうち出てくれるだろう。出てくれさえすればどうとでもなる。
梢と別れたフリをして、係長昇進の報告ともったいないが昇進分の生活費の上乗せをしてやる。その後ちょっと濃厚にセックスしてやれば、あいつはチョロいからなんとかなるだろう。
弁護士を雇っているようだが、直接本人と話をしてしまえば雇われなんか関係ない。
隠しておいた通帳と源泉徴収票を確認する、見つかった形跡はなし。なら第2口座はバレてない。
あいつはそういうことには疎いからバレる心配もないだろう。
これまでも上手くいってたんだから、なんの心配もないこれからも上手くいく。
真希と連絡が取れるまでの数日は一人暮らしを楽しむか!
……真希が出て行って1ヶ月ほど経った、あいつからは一切連絡がない。仕方ないので弁護士へ連絡したところ、真希は離婚を望んでいること。また、俺と梢に慰謝料の支払いも望んでいる。と抜かしやがった!
真希のやつ、こっちがちょっと浮気したくらいで大袈裟に騒ぎやがって何様のつもりだ?
頭にきたが弁護士相手に喧嘩を売るほど俺もバカじゃない。協議に応じるフリだけをして一旦電話を切る。
良いだろう離婚してやる!だがあいつには1円もくれてやらない!
役場へ行き離婚届を受け取って梢の家へ、離婚する事とアイツラへひと泡吹かせてやる事を伝えると喜んで証人欄への記名をしてくれた。
そのまま友人宅へ行き真希がわがままで家出をしたこと、脅しのために離婚届を突きつけるからと騙して証人欄へ記名させる。
これで準備は整った!協議は3日後の日曜日だから明日この離婚届を提出すれば間に合う。
クックックッ、アイツラが吠え面をかくところをゆっくり堪能してやる。
なんで受理されないんだよ!「離婚届不受理申出書」だと?小賢しいマネしやがって!どうせあの弁護士の差し金だろうが!!
良いだろうそっちがその気なら、徹底的にやってやる俺を舐めんなよ!
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
こいつ仕事できる設定なんですけどね……
実は実績を上げてるからくりがあります。
まあプライベートではこんなもんだと思ってください。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます