第6話 此処にいれば 傷つけないで済む
私は犯罪奴隷…奴隷としては最下層の奴隷なのに、それでもこの世界は私に優しかった。
入っている檻は高級奴隷用の檻だから、他の檻より豪華だ。
但し、ミスリル合金で出来ている。
下手な宿屋以上の待遇なのよね。
勇者特権の一部はまだ残されていて、私に死刑は無い。
問題が起きた時に私に責任が起きないように、私の奴隷契約書類には【訳あり品】の表記と【死の危険あり】と書かれている。
そして購入時にはこれらの説明がされる事になっている。
呪いが進み、髪が青銀色に変り、目が赤くなった。
少し、容姿が他の人間とは違う…だが、その二点を除けば、まぁ私はそこそこの美形だからか、物好きが偶に買っていった。
ただ、昼間は勇者のジョブのせいか抑えられるけど、夜は女神の力が弱まるのか…衝動が押せられない。
その結果、買った人間は…地獄を見るのよ。
『へぇ~この女金貨1枚か、まぁこの金額なら使い潰しでも良いや』
この男はその日の夜、内臓をぶちまけて、死にかけて、あくる日に返品。
ブサイクな嫌な男だったけど、死なないで良かったわ。
奴隷だから、あっちも相手しないといけないのだけど、恐らく魔王、それもバンパイアクィーンの影響からか、性的な事になると凶暴性が増すのよね。
これは、ちゃんと【死の危険あり】の中に記載されているから傷つけても殺してしまっても私には責任はないわ。
ミスリル製の鎖でつないで無理やり…なんて事もあったけど、勇者のせいか簡単に引き千切って、同じく腹裂きした為未遂…
売れて戻ってを何回も繰り返しているけど…悪評が広まったから、多分これでもう買う人は居ないかも知れないな。
更に、新しい魔王が復活して、新しい勇者達が異世界から召喚。
これで私の勇者のジョブは無くなり、恐らく違うジョブになる。
だから、きっと、此処から出ない方が良い。
恐らく、此処から出された私は…今迄以上に『人を殺す可能性』が高いからね。
この檻はミスリルの特注性で私でも壊せない。
此処にいれば、私は人を傷つけないでいられる。
死ぬまで、この檻の中に居られば、私は誰も殺さないで居られる。
魔王カーミラ…今なら私は貴方の気持ち…凄く解るよ。
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