第25話 新婚初夜
「本当にゴメンなさい!」
「ごふっ…大丈夫だから…」
シヌナ村に来て宿屋が無いから、一軒家を村長に言って借り受けた。
未だに魔族の幹部は現れないし、ゆっくりした時間の毎日なので…
今日、改めて『新婚初夜』をする事にしたのよ。
理人くんは全く、此処迄暮らしても、まだ『愛されていない』と思っていたらしく、一線を越えるのに3時間も説得に掛かってしまい、最後は私から押し倒したんだけど…
例の衝動が起きてしまった。
理人くんを押し倒して下半身に手を掛けたまでは良かったのよ…
その時に、理人くんの喉が見えてしまって、気がついたら齧ってしまったの。
「ううっ、本当にゴメンね…」
「ごふっごふっヒュー、すぐに戻るから…平気」
流石に首の喉の横を噛まれたのは痛いらしく顔が苦痛で歪んでいるわ。
どうしよう?
この呪いの衝動はバンパイアの『欲』だ、だから人間としての『性欲』を満たそうとすれば、この『欲』も膨らんできたのかも知れない。
◆◆◆
「ようやく、治ったね…良かった」
「うん、流石に喉の近くはヤバかった、凄く苦しかった」
本当に辛かったみたいで顔が真っ青だ。
「ごめんね…それで」
ナイフや剣等危ない物は隣の部屋に念のため移動した。
後は私が…
直ぐ近くの竹を切ってきて紐を通した。
「え~と…それ」
「ゴメンね、これを口に咥えて後ろで紐で縛るつもり、キスや口で色々してあげられなくて悪いけど、これなら大丈夫だから」
「あの、そこ迄しなくても…」
理人くんは何時も優しい。
だけど、私ばかりが快感や欲を一方的に貪るのは嫌だ。
だから、今回は引かない。
これで引いてしまうと多分また『初夜』が遠ざかってしまう。
引く訳にいかないわ。
「駄目! じっとしてて、私が気持ち良くしてあげたいんだから」
「解った…だけど本当に良いの?」
「本当に良いに決まっているじゃない? 私達夫婦になったんだから…その私は、理人くんが好き…本当に好きなの! 理人くんは違うの?」
「俺は最初から言っている通り好きだよ…」
「なら良し、それじゃ、これつけたら話も出来なくなるけど、続きしようか?…うんうううん?」
私は理人くんに馬乗りになった。
「ハァハァ、凄い、レイラ」
「ううん?うれしううんわ」
バンパイヤの呪いのせいか『欲望』に忠実になるみたいだわ。
最初は、理人くんを気持ち良くするために頑張っていたんだけど…
どんどん、どんどん欲が増していき、次第に自分が理人くんを貪るように求めていく。
呪いのせいか勇者として男っ気の無い生活のせいか、一旦火がついたら止まらなくなっちゃう。
「レイラ、レイラ…」
「うふとくん、うふとくん」
理人くんが愛おしく…もっともっと…犯したい。
◆◆◆
「理人くん…理人くん…大丈夫?」
「うん…大丈夫、凄く幸せ過ぎる…だけど…もう…駄目…ハァハァガクッ」
「理人くーーーんってば…おーい」
「…スース―」
寝落ちしているし…仕方ないか…
夜から初めて気がついたら、次の日の朝を越えてもう夕方。
う~ん勇者だったから体力があるのか…
それとも呪いで欲が増したのか…
あるいわ両方なのか…解らないわ。
私は理人くんの胸に頭を埋めるとそのまま眠りについた。
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