第13話 初めての行為...その後
とうとう私は人を殺してしまった。
しかも、どう見てもいたいけな少年だ。
理人くんはどう見ても私より年下に見える。
血だらけの壁にベッド…血まみれの私。
どう見ても、カーミラ以上の化け物にしか思えない。
「ゴメンね…本当にゴメン…グスッ…許してなんて言えないよね」
「…」
「多分、私は生きていたらきっと同じ事をする…だから、だから…」
「ごぶっごばっ…待って…」
幻聴が聞こえる。
理人くんの声…これは嘘だ。
あの怪我なら魔族だって生きている筈が無い。
「恨んでいるんだよね…死んで傍に行くからゆるし…」
「…死んでいないから」
理人くんの手がピクピクと動いている。
目の錯覚じゃない!
生きている…だけど…
「まさか! アンデッド系の魔族!」
「違う…異世界人…少し…ごぼっ、落ち着いて」
理人くんが異世界人?
確かに異世界からの転移者は凄い能力があるって聞いた事あるけど…
こんな能力もあるの?
私が驚いて見ているうちにはみ出していた内臓とが全部体に入って行き、千切れた肉がくっつき傷が塞がっていく。
「大丈夫なの?」
「ああっ、ちょっと特殊なジョブとスキルがあるから…痛みは軽減はされたみたいだけど、物凄く痛かったな…あっ血迄は全部戻らないのか…少し貧血気味だけど…」
「良かったよ! グスッ、死んでなくてよかった~」
「あの…それ…」
「そんな事よりどういう事なの? 教えて」
理人くんは自分の事について話始めた。
「他の能力が殆ど向上しない代わりに『死なない能力』を貰ったんだ…だけど、良かったね」
「どうして?」
「異世界人の鑑定は、四職(勇者 聖女 剣聖 賢者)以外は行わず、実際の能力を訓練等で見極める…そういう風に少し前の時代から変わったんだよ、昔みたいに全員鑑定されていたら『死なない』なんて希少だから絶対にいいように使われていたよ」
「確かに…」
「それで、その…こういう生活で良かったの?異世界には来たくなかったんでしょう?」
「三角かな? 最初は来たくなかったけど、もし来ないとこの世界の人が困る、それは此処暫くの間で良く解ったから…まぁ、俺は必要ないけどね!前の世界は凄く快適だったけど、親も恋人も居ないから、まぁ我慢位するよ」
「そうなんだ…もしかして苦労とかしていた?」
「そうでも無いよ? 親は事故で死んだけど保険や遺産はしっかり残してくれたし、親戚が後見人になって、まぁ良い生活は送っていたね」
「だったら、この世界は不便でしょう?」
「不便だけど、女神や王族はしっかり出来る範囲の事はしてくれたから『仕方が無い』そう思う事にした…ちなみに三角って言ったけど今は実は丸」
「どうして? 私みたいなの奴隷にして酷い目にあったばかりじゃない?」
「レイラさんに出会えたからだよ! レイラさんみたいな凄い美人は絶対に前の世界には居ない! まるでアニメの世界の美少女が目の前に現れたみたいで…感動したんだ! エルフを見た時も感動したけど…レイラを見た時は…うん比べ物にならない」
異世界人だから、感性が違うのかな?
「君は変わっているね! この容姿は此方ではそこそこ可愛い位だよ、青が混ざっているからそこ迄じゃないけど、銀髪は嫌われているんだよ、この赤い目も同じ…スタイルが良いし安いから買いたいという奴が居ても、好んで欲しい、特に恋人にしたい、結婚したい、そういう人間は絶対に居ない…と思う」
「そうなのか…まぁ良いや、俺にはレイラさんはこれ以上ない美少女にしか見えない…」
「それは良いけど、私…多分…また…その今日みたいな事するかも知れないよ…全然痛くない訳じゃ無いんでしょう?」
「結構、痛い」
「だったら…」
「大丈夫、溜め込んでいたから一気に吐き出しただけじゃないかな? 溜め込まなければ…例えば、ほらっ」
理人くんが指をナイフで傷つけて私に差し出してきた。
「これって…ハァハァ…良いの?」
理人くんが返事する前に私は指を口に含んだ。
ちゅぱっうんぐうんうん
「舐めながらで良いから聞いて、我慢して溜め込むから爆発したんだと思う、血が欲しければ、こんな風にわけてあげるし、刺したいなら刺しても構わない…毎日1刺ししていたら、衝動に飲まれる事もないんじゃない」
確かにそうかも知れない。
だけど、それは理人くんが1日1回は凄く痛い思いをする事になる。
「それで良いの?」
「まぁ、レイラさんみたいな美人と暮らす対価がそれなら…我慢するよ」
「そっか…それはそうと、私は奴隷だから『さん』をつけると可笑しく思われるから、さんは要らないわ」
「わかった、流石に恥ずかしいから、シャワー浴びて服着てくれないかな?」
「ええっ…良いよ、私理人くんに酷い事しちゃったし、そもそも奴隷だから、裸位別に…」
「俺が困るから」
そういって私を見て顔を赤くする理人くんが可愛い。
だけど…
「あはははっ、裸以前に血まみれだね…シャワー浴びてくる、理人くんも一緒に浴びる?」
「余り揶揄わないでくれ」
顔を赤くする理人くんが可愛く思えた。
この後、私と理人くんは…宿屋に滅茶苦茶怒られた。
部屋を血だらけにしたんだから…当たり前だよね。
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