第21話 目標1/17


「凄い、まさか此処迄とは思わなかったよ」


確かに凄い…だけど、理人くんは攻略も簡単。


そして利用もされやすい。


「だけど、理人くん…その力は…」


「解っているよ! 出来るだけ表に立たない方が良いでしょう?」


「解っていたの?」


あの後、オーガナイトやオークソルジャーに出くわし楽々倒したから調子に乗っているかと思うけど…違ったんだ。


「まぁね、もし俺が自分と戦うなら、牢屋に幽閉する! 俺の力じゃ恐らく強い牢屋は壊せないからね」


「そう、私なら、火山に放り込むかな、落とせばきっと再生が追いつかないから、死の苦しみを一生味わう事になるから…理人くんは最強でもあるけど『攻略が簡単な最強』なの…よ」


「うん、よく解かるよ…俺は欠陥だらけだから、自分の力を知られちゃいけない…知られたら人じゃないと言う人も居るかも知れないし、攻略も簡単…そして」


「恐らく、『魔王討伐に利用される』わ、ある意味最強の盾だもん」


「その通りだね」


「それで、此処迄の事を踏まえたうえで、今後どうするかだけど?どうしたい?」


「う~ん、レイラとイチャつきながら楽しく暮せればよいや…」


「なっ…まぁ、冒険者として充分な力は手にしたから、それは出来るよ…私も、それは楽しくて理想的だと…思うけど?! なにかあるんでしょう?」


理人くんは、良く『楽して暮らしたい』みたいな事を言うけど、何故かどこか暗い顔をする時があるんだよね…絶対何かある気がする。


「無理なのは解るけど、出来たら魔王討伐に少し、ほんのちょっとだけ関わりたいんだ」


「理由を聞いても良い?」


「大した事じゃ無いんだけど…」


そう言って理人くんは話し始めた。


そうか…理人くんは責任感が強いんだね。


そう思った。


異世界から召喚されたのは32人。


そのうちの1人が理人くん。


そして、戦いから外れたのは理人くん1人。


それに負い目を感じているみたいだった。


私からしてみれば、能力が低いから追放されたのだから責任なんて無いと思うんだけどな?


理人くんは違うみたいだ。


「成程、そうだね…まだ今回の魔王については解らないけど、恐らく召喚された人数からして、魔王や四天王、そして幹部が現れる筈だよ。そう考えると 魔王1人四天王が4人 四天王1人に幹部3人 合計17人が恐らく中心になって構成されると思う…まぁ過去の例からだけど? そう考えたら異世界人32人に対し魔王軍の幹部17人。約異世界人2人に幹部1人、そこから考えれば1人倒せば義務を果たしたと言えるよね! だから『魔王軍1人を倒して後は自由に暮らす』それでどうかな?」


誰でも良いなら、弱い相手を選べばよいし…理人くんにとって相性の良い相手を選べば、絶対勝てる。


うんうん、これで良い筈だよ。


「良いね、それ…うん、それが良い」


「じゃぁ、打倒、魔王軍幹部1名! 決定!」


「それで、倒す相手はどうしようか?」


「まだ、今の魔王軍の詳細は解ってないから…その辺りが解ってからだね」


「うん、そうだね、慌てても仕方ないわね」


魔王軍幹部1名かぁ…まぁ弱そうなの選べばどうにかなるよね。




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