第五章 婚姻と戦いの始まり

第22話 ギルド婚


「あのですね…いつもいつもイチャつくの止めて貰えませんか?」


冒険者ギルドの受付のお姉さんが…怖い。


まぁ確かに、良く街中でキスしているし、冒険者ギルドでもキスしているから仕方ないって言えば仕方ない。


まぁ、行き遅れ気味のお姉さんが腹が立つのは解るわ。


「今日はキスをして無いじゃない? 狩った獲物の買取をお願いしたいの」


「お願いします」


「そうですか…それじゃこちらへどうぞ!」


受付嬢がそう言うなり理人くんがテーブルに獲物を出した。


「こんなに、しかも上位種まで…凄いですね!」


オーガナイトにオークソルジャー、オークの三体。


これ位狩れればもう上級者だ。


オーガナイトが金貨8枚(約80万円)オークソルジャーが金貨6枚(約60万円)そしてオーガが金貨4枚(約40万円)


だから、家族を持っても充分生活が出来るわ。


「二人して頑張ったからね…ねぇ理人くん」


「うん、まぁね」


ちなみに、あの鎧は収納スキルでしまってある。


「これが狩れるなら、文句無しのランクアップですね。今日からEランクに昇格です! おめでとうございます…それでイチャイチャしているお二人に提案なのですが『ギルド婚』しませんか? そうしたら新婚って事でイチャイチャしていても文句言わず見逃してあげますよ?」


「ギルド婚かぁ~私は奴隷だから理人くん次第かな?」


「ギルド婚って何ですか?」


「あら、知らないんですか? ギルド婚って言うのは結婚しましたとギルドに届け出をする事です。ある意味平民層の婚姻では一番正しい結婚と言えますね! 教会で結婚しても、他の方法で結婚しても『事実婚』みたいな物で法的誓約はありません。 ですがギルド婚なら冒険者ギルドに婚姻のデーターが出来、冒険者証にも記載されます。 相続とかに凄く向いています」


「そうなんですか?」


「はい、それに、言っては何ですが、レイラは理人様の奴隷です。奴隷はあくまで通常は物扱い、理人様が死んだあと財産は相続できません。ですが奴隷とは言え婚姻関係が結ばれていたら財産を引き継げます…如何でしょうか?」


「レイラ…レイラが良ければ、その…俺とギルド婚、いや結婚してくれないか?」


「あの…良いの? 私奴隷なのに…その」


「前から言っているだろう? 理想の女性だって他の事も全部含めて好きだし…最近はそれなりに愛されている自信もあるし、生活の目途もたった…駄目かな?」


「ううん、駄目じゃないよ…凄く嬉しいよ…」


「それじゃ、ギルド婚の手続きお願い致します」


「はい、銀貨3枚になります…あと結婚された方の多くは同じデザインの指輪を好んでつけるのですが、こちらは如何ですか? 1セット金貨1枚ですが…」


「お願い致します」


「理人くん、本当に良いの?」


「うん」


「はいはい、それじゃ金貨1枚と銀貨3枚になります」


冒険者証とお金を出して金の指輪を貰った。


「それじゃ、つけてあげるよ」


「ありがとう」


理人くんが左手薬指に指輪を嵌めてくれた。


この指を選んだ理由は解らないけど、同じように指輪を理人くんに嵌めてあげる。


なんだか、理人くんが真っ赤になった気がする。


「あの…これからもレイラ、宜しくお願いします」


「こちらこそ、不束者ですが宜しくお願い致します」


私も、理人くんもお互いに顔が真っ赤だ。


「はいはい、冒険者証の記載も終わりましたよ、ご確認を」


うん、しっかりと夫 理人って記載されている。


「それじゃ、レイラ行こうか?」


「うん…」


私は冒険者証を胸に抱きしめながら歩き始めた。







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