第4話 過去 魔王が私に問いたかった事


その後、本来は調べる必要は無いのだが、呪いの手掛かり欲しさに、魔王カーミラについて調べてみたの。


そうしたら、魔王カーミラはかなりの親人派、つまり魔族の中では人間に優しい魔王だった事が解ったのよ。


バンパイアクィーンの彼女は、どうしても血を吸わないと生きていけない。


だから、人に化けた魔族が人間の国に来て奴隷を買っていた。


そして、血は吸うけど、雑に扱う事は無く魔王城で、人間らしい生活を送らせていたそうだ。


確かに自由は無いが、奴隷と考えたら人間が奴隷を扱うより、寧ろ優しかったのかも、知れない。


何しろ、血を吸われる代わりに三度の食事と人間らしい生活を送らせていた。


そして、魔族の殺戮衝動を抑える為に、基本的に魔王城の自室で過ごしていたらしい…


『勇者レイラ、残酷な殺人鬼よ! 私が一体何をしたと言うのだ…魔族としての残酷性を押さえながら、僅かな血を食し、決して命は奪わなかったのだぞ…血を吸った人間も…』


私はあの時、聞く耳を持たなかった。


恐らく、あの後は『大切に扱っていたぞ』そう言った可能性が高いわ。


これはあくまで、伝聞だけど、勇者召喚魔法で勇者が呼ばれる時は、その難易度で、呼ばれる存在や召喚が違う。


1番最悪な魔王が生まれた時は『異世界召喚』


異世界人が複数人勇者パーティとして召喚される。


次が『複数召喚』この世界の人間が複数人召喚される。


まぁ、勇者パーティとして他に聖女、賢者、剣聖等4人位この世界の人間が召喚される。


そして一番、難易度が低いのが『単独召喚』


勇者1人が召喚される。


理由は解らないが、何故か、相手の魔王の強さに合わせて、召喚される勇者が違う。


私は単独勇者。


騎士見習いの私が『単独』で召喚されたのだから…難易度が低かった事になる。


そこから考えたら、魔王カーミラは…危ない魔王じゃ無かったのかも知れない。


カーミラからしたら、魔王でありながら、人間の法すら犯してなく、殺されたのだ…


『呪われろ、呪われろ勇者…私と同じ境遇になり、それでも正義を貫けるなら…認めてやろうぞ…さぁ殺すが良い』


呪われても仕方が無い…


恐らく、魔王カーミラは魔王でありながら


『血が欲しい』


『人を刺したい』


『人を切り裂きたい』


この衝動に耐えて生きてきた。


その理由は解らないが、あの魔王はこれに耐えて生きてきたのだ。


『私と同じ境遇になり、それでも正義を貫けるなら…認めてやろうぞ』


私と同じでもお前は、そのままで居られるのか…


これが魔王の挑戦であり…私への呪い…そう言う事だろう。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る