第24話 7 サブプロット(Bストーリー)
7 サブプロット(Bストーリー)(30枚・22%)
22%(普通〝第一ターニング・ポイント〟の直後に来るが、もっと早くても可。初めの25%に来るようにすること)
1場面のビート。
「教訓を得る」ために必要な恋愛対象、メンター、仲間といかにして出会うかを詳しく書きます。
▲Aストーリーは主人公の明確な目標、彼が求めているもの。
▲Bストーリー(魂の物語=テーマ)は主人公のスピリチュアルな目標、彼に必要なもの。たいていの場合恋愛対象すなわち「女の子」についての話になります。
ストーリーテリングの唯一の理由と、AとBのストーリーがなぜ至るところで交錯しなくてはならないのかを肝に銘じておきましょう。
それは、旅の真の理由は具体的なゴールにたどり着くことではなく、Bストーリーを通じてのみ見いだせるスピリチュアルな教訓を学ぶことだと、示すためなのです。
〝サブプロット〟(Bストーリー)は作品のテーマを伝えたり、メインプロット(Aストーリー)の〝第一ターニング・ポイント〟後の衝撃を和らげながら、さらにストーリーを前進させるブースターロケット的な役割も果たします。
メインプロットが軌道に乗ったところで〝第一ターニング・ポイント〟になり、突然第二幕へと突入して観客はそれまでと正反対の新たな世界に放り込まれます。
観客としては「わかったから、ちょっと別の話もしてくれないかな」という気分になるのです。
つまり〝サブプロット〟はちょっとした場面転換であり、新たな視点から捉えたメインプロットなのです。
そして観客にとっては、ちょっとした息抜きにもなります。
いわゆる典型的な男女のラブストーリーではないが、一種の「ラブストーリー」でもあります。(「ボーイ・ミーツ・ガール」と心の交流を演出しやすい)。
ここで辛さを打ち明け、心を癒やされる。
こういう息抜きができるから、第三幕の最終的な勝利に向かって進む力がみなぎってくるのです。
第二幕に出てくるすべてのものは第一幕をひっくり返したものになります。登場人物も例外ではありません。
〝セットアップ〟ビートでは、Aストーリーのキャラクターを導入しました。
主人公の日常、つまり現状の世界の住人たちです。表面上の物語の代弁者です。
第二幕が始まったからといって、この人たちが退場する必要はありませんが、次第に第二幕で紹介されるキャラクターたちに席を譲ることになります。
〝サブプロット〟には、それまで登場しなかった新しい人物が出てくることが多いのです。
〝セットアップ〟では紹介されていない人物や、まったく存在すら知らなかった人物が登場することがあります。
また第二幕は第一幕のアンチテーゼなので、第一幕の世界の登場人物とは正反対になることが多いのです。
明らかに対照的な登場人物だからこそ、〝サブプロット〟でうまく機能します。
まさに典型的なアンチテーゼの登場人物なのです。
〝サブプロット〟のキャラクターというのは、お助けキャラです。
主人公がテーマを受け止めるのを、なんらかの方法で助けてあげる役。
一般的には、恋愛対象とか、新しい友達、師匠、宿敵といった人物として現れます。そうです。宿敵でもよいのです。
成功する〝サブプロット〟のキャラクターの条件は以下の二つだけ。
▲1 ひっくり返った第二幕の世界を、何らかの形で体現している。
▲2 なんらかの手段で、主人公がテーマを受け止める助けになる。
第二幕を体現しているというのは、つまり、第一幕の世界では主人公はこのキャラクターに気づくことすらなかったということ。
〝4 きっかけ〟によって第一幕の世界を破壊され、〝第一ターニング・ポイント〟で第二幕に突入した今だから、〝サブプロット〟のキャラクターは主人公の世界に現れることができるのです。
〝サブプロット〟のキャラクターたちは、全員何らかの形で第二幕の世界が生んだキャラクターであると言えます。
主人公は、第一幕の現状の世界ではテーマを受け止めて自分を変えることができません。
だから〝4 きっかけ〟を投下して、主人公を〝第一ターニング・ポイント〟で第二幕に突入させたのです。
主人公がテーマを受け止める助けができる人は、この新しい世界にしかいません。
そういうことにしなかったら、主人公は現状の世界を一歩も出ずにテーマを理解できてしまいますよね。それでは面白くもなんともありません。
〝サブプロット〟のキャラクターは、その性格そのものによって主人公と同じ問題を抱えている場合もあります。
同じですがより誇張された問題を主人公の顔に鏡のように突きつけ、主人公がそこに映った自分の本当の姿を見るのです。
どんな役目を負わせるにしても、〝サブプロット〟のキャラクターが果たすべき役割は、主人公がテーマを受け止めるように助けることです。
〝サブプロット〟のキャラクターは、このビートで導入します。
第二幕の最初の半分のどこか、いちばん一般的なのは〝お楽しみ〟ビートの中です。
〝サブプロット〟のキャラクターは、第二幕では出ずっぱりになります。
第三幕に出続けることもありますが、ともかく最初に登場するのは、このビートです。
恋愛対象として、新しい友達として、新しい師匠として、または新しい敵等として姿を表します。
主人公の欠点を浮き彫りにして、変わりたいと思わせられるなら、どんな人でもかまいません。
また、第二幕の新キャラクターは何人でも必要なだけ導入してかまいません。
でも〝サブプロット〟のキャラクターはその中でも、主人公に人生の教訓を伝える大事な仕事を請け負った特別な1人です。
特別な1人が絞り込めない場合、1人でなくても大丈夫です。
その場合は「双子のBストーリー」という手が使われます。
たとえば、師匠と恋愛対象。恋愛対象と新しい友達とか、新しい友達二人というのもあります。
〝サブプロット〟のキャラクターを二人以上にする場合、絶対に全員がちゃんとお助けの役割を全うするようにすることです。
しかも、それぞれが違ったやり方になるようにしましょう。
そうでなければ、何人もいる理由がありませんからね。
▼誰あるいはなにがBストーリーなのか?
▼Bストーリーには主事痕うが授かる霊的な教訓があるか?
▼必要とされるAストーリーからの逃げ道は用意されているか?
「小説の書き方」コラム
817.構成篇:ハリウッド「三幕法」(セクション6・7)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889417588/episodes/1177354054891908503
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【参考図書・引用図書】
▼ブレイク・スナイダー氏『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』菊池淳子訳・フィルムアート社(税別2200円)
▼ブレイク・スナイダー氏『10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 『SAVE THE CATの法則』を使いたおす!』廣木明子訳・フィルムアート社(税別2200円)
▼ブレイク・スナイダー氏『SAVE THE CATの逆襲 書くことをあきらめないための脚本術』廣木明子訳・フィルムアート社(税別2000円)
▼ジェシカ・ブロディ氏『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』島内哲朗訳・フィルムアート社(税別2500円)
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