第21話 5 悩みのとき
5 悩みのとき(12-25枚・10〜20%)
10〜20%(このビートを通って〝きっかけ〟ビートから第一幕の終わりまでもっていく)
〝悩みのとき〟は複数場面にまたがるビートです。
12枚目の〝きっかけ〟で破局を迎えた、解雇された、診断を受けた、逮捕された、死体があった、電話で悪い報せが来た、とします。
主人公としては改善しに行くに決まっていますよね。それなのに、なぜ今すぐ行動しないで、わざわざ一幕目の終わりまで引っ張らなければいけないのでしょうか。
だって、そんなに簡単に受け入れたら不自然だから。
考え込み、情報を集めてどうしたら得か損得勘定をするのが人間というものです。
主人公も同じです。変化を即受け入れる人はいません。
「そうなんだ、私の今の人生はうまくいかないってことか。じゃあ、変えちゃおう!」なんて言う人はいないのです。
〝悩みのとき〟とは、「変容の旅」の大変さを示し、主人公が自ら行なう旅を疑い、ためらってよく考えて悩む時間なのです。
「そんなことできるわけがない」と主人公が言う最後のチャンスです。
自分の目標は実現不可能なんじゃないかと疑問に感じ、いろいろ悩む。
本当に行くべき? 思い切ってやったほうがいい? たしかに危険けれど、でもどうしよう? それともこのままのほうがいいのか? 等々。
変化を迫られた主人公が頑迷に変化を拒む姿を見せます。
うまい手のひとつとして、主人公を家に戻します。または仕事に行かせるか、遊びにやらせます。
あらゆる日常的な環境で決断できずに悩む主人公を見せます。
なぜか。
あまり簡単に決断させてしまうと、読者にご都合主義だと思われてしまう危険があるからです。
主人公とは、足を引きずって進み、足掻くもの。
「うーん」とか「やれやれ」とか言いながら、動こうとしないもの。
主人公とは〝悩みのとき〟を経るもの。
どのような〝きっかけ〟でも、その次には主人公がため息をついて座り込み、「どうすればいいの?」と困惑する〝悩みのとき〟が来るのです。
これはリアクションのビートで、普通は問いかけという形をとります。
「どうしよう?」「行ったほうがいいのかな? 行かないほうがいい?」「どうすれば死なないで済むの?」「次は一体どうなる?」
主人公と一緒に、読者にも同じことを問いかけることになります。
〝悩みのとき〟というのは決断のことでありえますが、そうともかぎりません。
行くべきか留まるべきか、行動するべきかそうでないかという問題では必ずしもなく、物語によっては考えるまでもないという場合もあります。
すでに〝きっかけ〟の段階で行なわなければならないことが定まっている場合もあるからです。ミノタウロスの生贄に捧げられるとか。
迷わない場合に、主人公はなにをすればいいのでしょうか。
待ち受ける長い旅に向けて、支度します。
必要なものをまとめたり、訓練したり。心の準備。身体の準備。感情の整理。
このような場合の〝悩みのとき〟は「止めても行く。でも今のまま行ってだいじょうぶなのか?」になります。
主人公に必要な〝悩みのとき〟が決断でも支度でも、その役目は1つだけ。
第二幕で出会う「なにか」に、主人公の、そして読者の覚悟を決めさせることです。
なぜなら、第一幕の世界からは想像できない「なにか」に出会うことになるのですから。
▼主人公のためになる議論はあるか?
▼論争するのは主人公か?
▼それによって主人公の感情を洞察することができるか?
「小説の書き方」コラム
816.構成篇:ハリウッド「三幕法」(セクション3〜5)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889417588/episodes/1177354054891908324
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【参考図書・引用図書】
▼ブレイク・スナイダー氏『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』菊池淳子訳・フィルムアート社(税別2200円)
▼ブレイク・スナイダー氏『10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 『SAVE THE CATの法則』を使いたおす!』廣木明子訳・フィルムアート社(税別2200円)
▼ブレイク・スナイダー氏『SAVE THE CATの逆襲 書くことをあきらめないための脚本術』廣木明子訳・フィルムアート社(税別2000円)
▼ジェシカ・ブロディ氏『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』島内哲朗訳・フィルムアート社(税別2500円)
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