第13話 9 組織のなかで
9 組織のなかで
新しく組織に入ってきた新人の視点から語られることが多い。
観客は組織に関して何も知らないという点で、この新人と同じ立場にあります。
組織のしきたりや独特の言葉に馴染みがない。だから「この組織はどう機能しているのか?」という疑問を抱いた新人が、同じ疑問を抱く観客に説明することになります。
こうして組織内の掟やしきたりがいかに重要かが明確になり、さらには組織の「イカれた」実態も次第に暴かれていくのである。
サブジャンル
軍隊組織のなかで:『M★A★S★H マッシュ』『プラトーン』『トップガン』『フルメタル・ジャケット』
家族制度のなかで:『ドゥ・ザ・ライト・シング』『ゴッドファーザー』『愛と追憶の日々』『アメリカン・ビューティー』
ビジネス組織のなかで:『リストラ・マン』『カッコーの巣の上で』『摩天楼を夢みて』『マネー・ゲーム』
組織のなかの師:『トレーニング・デイ』『ウォール街』『ザ・プロデューサー』『モナリザ・スマイル』『ゴールデンボーイ』
組織のなかで問題:『クラッシュ』『ナッシュビル』『再会の時』『ナイト・オン・ザ・プラネット』『シン・シティ』
【グループ】
「グループ」つまり家族、組織、集団、企業、共同体、施設、特殊な仕事、比喩的な「ファミリー」(マフィアや劇団)など、そしてその制度。または、人々をひとつにつなげるような考え方や問題について語ります。
生まれつき所存している「グループ」、(多く無理やり)連れてこられて入れられる「グループ」、または所属するように勧誘される「グループ」があります。
「グループ」を動かす根源に狂気や自滅的なものがあることが多いという共通点があります。予期せぬ登場人物が現れ、集団の目的が実は欺瞞であることを暴きます。
主人公は自分の属す「グループ」に誇りを感じる一方で、「グループ」の一員として生きるために自分らしさやアイデンティティーを失うという問題も抱えています。
人はユニフォームを着ると本来の自分らしさをなくしてしまうものです。
人はひとりでは生きていけない。
けれど集団になると多数派の目的を叶えるために、少数派の目的は犠牲になることもある。
まさに一長一短なのです。
【選択】
新米vs組織人、新米+システム対立者(ナイーヴ)vs組織人、またはシステム対立者(ナイーヴ)vs組織人の進行する終わりなき確執。
新米にとっては集団に入るべきかどうかという問いかけ「選択」、システム対立者にとっては集団に留まるか去るかという問いかけ「選択」が確執の核になります。
個人よりも集団を優先することの是非が描かれます。
集団に対する忠誠を誓えば、ときには常識を逸脱した行動をとったり、さらには自分の命すら捧げざるをえないときもあるのです。
要するに「俺とあいつらとどっちがイカれてるか?」ということなのです。
集団のために自分を犠牲にすることがいかに狂気か。
心の声に耳を傾けないことの危険性です。
内なる魂に耳を傾ける者は、すべてを乗り越えられるパワーによって進んでいきます。
【犠牲】
最後には「犠牲」が払われなくてはならず、三つのうちのどれかの結末に至ります。
参加・帰属する、焼き倒し・焼き払う、あるいは逃げる(比喩的な子を含む自殺も)。
グループのために我々が個であることを譲るか、宣伝以下のものだとわかって機構を破壊するか。
「小説の書き方」コラム
826.構成篇:ジャンル3:組織・制度
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889417588/episodes/1177354054891960149
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【参考図書・引用図書】
▼ブレイク・スナイダー氏『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』菊池淳子訳・フィルムアート社(税別2200円)
▼ブレイク・スナイダー氏『10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 『SAVE THE CATの法則』を使いたおす!』廣木明子訳・フィルムアート社(税別2200円)
▼ブレイク・スナイダー氏『SAVE THE CATの逆襲 書くことをあきらめないための脚本術』廣木明子訳・フィルムアート社(税別2000円)
▼ジェシカ・ブロディ氏『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』島内哲朗訳・フィルムアート社(税別2500円)
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