第12話 8 バカの勝利
8 バカの勝利
サブジャンル
政治バカ:『チャンス』『アメリカ万才』『デーヴ』『ブルワース』『プリティ・プリンセス』
覆面バカ:『トッツィー』『ワーキング・ガール』『ミセス・ダウト』『デンジャラス・ビューティー』
社会バカ:『フォレスト・ガンプ/一期一会』『まごころを君に』『シャイン』『レナードの朝』『マスク』
水から上がったバカ:『キューティ・ブロンド』『ビバリーヒルズ・コップ』『クロコダイル・ダンディー』『ミスター・マム』『星の王子ニューヨークへ行く』
セックスバカ:『40歳の童貞男』『ボギー!俺も男だ』『愛しのロクサーヌ』『恋は邪魔者』『ブリジット・ジョーンズの日記』
【バカ】
表面上は単なる負け犬の「バカ」で無能なまぬけ者に見えるので、みんなから成功するとは思われないで軽んじられています。
逆にそのおかげで運と勇気を持ち、しかもどんなに形勢が悪くても決してあきらめない特異な才能で最終的に光り輝く勝利を手に入れるチャンスに恵まれます。
実は真実を口にできる最も賢い存在なのです。
無垢であることは力であり、穏やかな物腰のせいでみんなから無視されがちです。
実は賢いバカのストーリーは、社会のアウトサイダーの人生でもあります。
アウトサイダーが勝利すると、観客も何だか自分が勝利したような快感を味わうのです。
「バカ」にはインサイダーと呼ばれる利口な仲間がいることもあります。
その仲間は「バカ」に不思議なパワーがあることを知っているが、最初はそれを脅威に感じています。
体制に抵抗しようという「バカ」の「たくらみ」がうまくいくとは思っていません。そんな人物は、ドタバタ喜劇ではガツンとやられたり、「バカ」が仕掛けた計画の結果、因果応報で洞察力の底の浅さからひどい目に遭ったりするのです。
実は賢者である「バカ」に近づき、愚かにも邪魔しようとしたからです。
【権威】
「権威」とは、負け犬の「バカ」が直面する人々やグループで、「バカ」が抵抗し反撃するもっと大きな体制または組織です。
「バカ」がその只中にいることもあれば、新しい場所に送り込まれて、最初のうちはそこになじめない場合もあります。
そんな「バカ」が、体制側の連中をやきもきさせるのを見ると、観客にも何だか希望が湧いてきます。
しかも「バカ」は、どんなに神聖で立派な体制や組織であっても、容赦せずおちょくり、こてんぱんに批判するのです。
「バカ」を下に見た組織や集団のバカバカしさを暴いて勝ち、最後には「バカ」をバカにした集団が、バカをみて終わるのです。
【変質】
「バカ」に起こる別人に、あるいは新しいなにかになる「変質」は常識を超えています。
物語の過程で名前を変えたり変装したりおしゃれしたり仕事や使命を変えたり別人になったりなど、新たなペルソナが生まれるかもしれません。
伝統の一部では「バカが新たな名前を得る」「名前替え」のときです。
あまりに長い間本性を隠し、みんなから見過ごされてきた「バカ」に、浮上の時が来ます。いろいろな意味で、それこそが「バカ」の本来の姿です。
あまりにも長い間毛虫と誤認されてきた蝶。
しばしば偶然起こる場合も、偽装のための場合もあります。
「バカ」はシステムの一部になどならないし、なりたくもないのです。
革命を率いず、政権を転覆させず、自己宣伝もしなければ、大義を振りかざすこともないが、彼の存在が我々に、一個人でも変化をもたらすことができることを思い出させてくれます。
「小説の書き方」コラム
829.構成篇:ジャンル6:成り上がり
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889417588/episodes/1177354054891996313
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【参考図書・引用図書】
▼ブレイク・スナイダー氏『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』菊池淳子訳・フィルムアート社(税別2200円)
▼ブレイク・スナイダー氏『10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 『SAVE THE CATの法則』を使いたおす!』廣木明子訳・フィルムアート社(税別2200円)
▼ブレイク・スナイダー氏『SAVE THE CATの逆襲 書くことをあきらめないための脚本術』廣木明子訳・フィルムアート社(税別2000円)
▼ジェシカ・ブロディ氏『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』島内哲朗訳・フィルムアート社(税別2500円)
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