哀歓の花唇

あらゆる人間が

泣きながら縋ってくる

たくさんの言葉を聞かされる

一方でわたしは世界に向けて

返事の無い手紙を書き続けている

雨が大きな音を立てて降る

それがすべてから

この部屋を隔絶する

湿った呻きが上がる

壁が決壊し

外から大量の雨水と土砂が

流れ込んで来る

呻きが濁流に飲まれていく

人称を欠いた時間が蠕動する

舞い込む過去を拒めずに

疲労の底へ溶けて消える

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