醜さ

造花

茫々たる草原の中で選り分けられた、ひと束の草。目も鼻も口も産毛の一本一本に至るまで、女の体に属する部分はすべて他者のレプリカだった。

卑俗な醜さの面影に「悲劇の微笑」が同情の火を灯す。その火は賢明な、既に死んでいる神々の前でのみ燃え盛るのであり、街角ではアルゴスがうずくまっていた糞そのものである。

男と女は二、三の言葉を交わした。だが女は不死の誘惑に駆られ、新奇さから成る塔の中へ駆け込んだ。鈴なりに実った初夏の薄暮が胸元を汚す。そして黄金のりんごを意味する記号の廊下の中で、甘い蜜を盗み、恐ろしい姿をした獣のように穢らわしい音を立ててそれを啜る。

書き損じられた文字は読み返されること無く打ち捨てられ、朽ち果てた神話が女の頭蓋に詰め込まれていく。愛欲が左腕を縛る。喪服姿の美女が醜女の頬を噛む。糞の味。傷口から純潔が流れ出す。

ああ、わたしは一度だってあなたを嘲笑わなかったのに。ただの一度も。

女は宝石と連想により組み立てられた迷路の中で、月が海に沈んでいくのを感じていた。