第17話 硝子の騎士
突っ込んでくる堕天使に一体の硝子の騎士が切り掛かる。しかし剣を振り下ろす直前、堕天使はその身を翻し攻撃を回避した。
空中で一回転すると堕天使は、その手に鋭い爪を伸ばし反撃するように前に出ているその硝子の騎士を切りつける。
やつの動きに対応しきれず硝子の騎士へ防御指示は遅れ、堕天使の攻撃を受けた一体がその場に崩れ落ちる。
硝子の騎士を破壊した瞬間のやつの笑顔に反し、僕はその状況に驚愕する。
硝子の騎士の強度はその素材元よりも強固なものにしてある。そのため並の戦乙女でも一体に対して三羽は必要になる。それなのにやつは元天使だってのに一撃で……
「残りもさっさと破壊してやるよ」
正面を覆う堕天使が振り下ろしたその手を再び振り上げ、僕と硝子の騎士に襲いかかる。
「っ、防御陣形!」
咄嗟に叫ぶ僕の呼び声に硝子の騎士二体が前に飛び出し、左手と一体になっている盾を構える。
そして次に聞こえてきたのは堕天使の攻撃を防いだ硝子音では無く。その攻撃に耐えきれず粉々に砕け散る音だった。
堕天使が振り下ろした爪は盾諸共硝子の騎士の胴体を貫通する。それを目にした時、僕の身体は階段先の二階踊り場のほうへ飛ばされていた。
攻撃を受けた訳じゃない。そう理解する。
残る一体の硝子の騎士が僕をやつの射程外に飛ばしたんだ。
飛ばされる最中、視線をさっきまでいた場所に移すと残る一体の硝子の騎士が破壊され粉々に砕け散っていた。
くっそー
破壊される騎士を前に状況の悪さを噛み締める。
飛ばされた二階に着地した僕は一度堕天使と目を合わせた後、二階にある部屋へ繋がる廊下を走りだす。
駄目だ。カウント9でいくら騎士を増やしてもやつの前じゃ歯が立たない。かと言って、筋力増強のカウントA、高速化のカウント2に常時使えば堕天使を殺す前にこっちが力切れになる。ただでさえAは使ってる状態なのに。
廊下を駆けながら堕天使への対抗策を思考する。
どうする?さっき見たいにカウント13を使えれば良いけど自分以外に使うには色々条件がある。カウント7か……いや、運任せにするには早い。カウント12は!……駄目だ。異性だからってやつに催眠が通じるとは思えない。
自分が持つ力の中で対抗できるものはないか探すもどれも上手くいきそうにない。そんな中、外の明かりを僅かに反射していた窓が暗く染まる。直後、堕天使が前方側の窓を突き破ってきた。
まさか、一度外に出て回り込んできたのか!?
堕天使の行動に驚くも束の間、やつの放った蹴りが僕の胴体に直撃。その衝撃からくる痛みが脳に送られるもそれを感じる間も無く僕は、蹴り飛ばされた方向の部屋の扉を突き破る。
室内の壁にぶつかったのか?激しい衝突音が響くとともに全身に痛みが走る。
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