ホントに書籍化じゃなきゃいけないの?


 私と同じように落選の痛みを抱えている方がいるようで、少しでもお役に立てているなら幸いです。

 思ったよりも読んでいただけたようなので、初心者向けの小説の書き方エッセイとは別にこちらも更新できたらと思います。


  *


 最近、Twitterで自費出版という言葉を目にするようになりました。

 自費出版というものは、以前からある方法なのですが、賞の結果が出た後などで自信がなくなってくると、自分の小説はこのまま誰の目にもとまらずに消えてしまうのか? もう自分の作品は賞をとって出版されることはないんじゃないか? 書籍化なんて一生涯無理なんだ……と思い始め、なにか自分の力で本が出せないものか思いつめてしまうことがあると思います。


 そうして、色々調べた結果自費出版という言葉にたどり着いたり、あるいは出した公募によっては出版社から自費出版を持ちかけられることがあるようです。


 では、自費出版とはなにか?


 私はしたことがないので、詳細はネットで分かる程度のことしか書けませんが、簡単にいうと著者がお金を出して出版社から本を出してもらい書店に並べてもらうということのようです。

 全額だったり、出版社と折半だったりといろいろな場合があるようですが、その金額は数十万から百数万までとなかなかに高額です。

 簡単に手が出せる金額ではないですが、パソコンや車を買ったと思えば出せる金額でもありますし、それで自分の夢がかなうならと、自費出版する方もいるようです。

 それで売れたという話はあまり聞かないですが、それでも成功例も少しはあるようです。


 私にはそれが良いとも悪いとも判断はつきませんが、私には向かないなぁと思っています。


  *


 では、なぜこれだけWEBで小説が公開できるのに、出版・書籍化にこだわるのか? と考えてみました。


 私も、書籍化というのは夢です。


 自分の本が自分の書店であこがれていた作家さんの隣の並ぶことを想像すると、やはり物書きにとっては胸の躍るものがあると思います。


 ただ、実際にその夢をかなえる人はごく一部です。

 なのにもかわらず、Twitterを見れば連日『書籍化されます!』『コミカライズされます!』と流れてきます。


 嫉妬するほどの実力はないですが、こんなに多くの人がチャンスをつかんでいるのに、何年書いても小さな賞すら取れない自分は『書く資格がないのでは?』とか『書いていて意味があるのか?』など、落ち込むこともあります。


 よそはよそ、うちはうちとなかなか割り切れないのが人間です。

 


 そこで、なぜ書籍化されたいのか?

 というのを、自分の視点で考えてみました。

 

1、自分の小説を本と言う形あるものとして残したい。

2、多くの人に読まれ、認められたい。

3、あわよくば、文筆業で稼ぎたい。


 こんなところだと思います。

 

 しかし、これを冷静に考えていくと、実は書籍化にこだわる必要はないことに気付きます。




>1、自分の小説を本と言う形あるものとして残したい。


 これは、書店流通にこだわらなければ、実は何か賞をとらなくても、自費出版しなくても自分の力だけで何とかなったりします。

 そう私達には『同人誌』という強い味方があるのです。


 今は、PDFで入稿できる印刷屋さんがたくさんあります。支払いも振り込みやカード。

 納品も宅配で届きますから、家に居ながらにして本が作れてしまうのです。


 また、アマゾンなどでkindle出版されている方は、それを印刷物として手元に残すことも可能のようです。


 そう、紙媒体ということだけにこだわるのならば、出版社を通さなくても「印刷屋さん」に直接依頼する「同人誌」という方法があるのです。

 私が頼んだときは、部数やページ数が少ない薄い本だったので1万円しないで作れました。

 同人誌は、書店に並ぶことはないですが(そういう物を扱っている書店さんもあるようですが)、同人誌即売会などのイベントでなら販売できますし、また、ピクシブのboothという機能や他のネット通販でも個人で販売することも可能です。


 



>2、多くの人に読まれ、認められたい。


 これは、本ではなくても可能です。


 数ある投稿サイトのどこでもPV数というのが分かります。

 PV数が多ければ読まれていると言えるでしょう。

 読まれていること=認められているというなら、このPV数を確認すればいいですね。

 まあ、そのPV数を増やすのがとても難しいのですが……。


 どのくらいのPV数なら自分が満足できるか? 認められていると感じるかは個人差があると思います。何か目標数を持つのもいいかもしれません。


 では、書籍化されたらPVが多くなるのか? というと、そうではないと思います。

 書籍化されてPV数が多くなるのは、それなりの賞をとって既に出版社が目にとめて認められた作品です。

 書籍化されたからPV数が多くなるのではなく、元々PV数が多い物、あるいは多くなると見込みがあると出版社が認めたものが書籍化される。


 PV数が多くても書籍化されていない作品も数多くあるようですが、私としてはPV数が多いというだけでそれは書籍化に匹敵するくらい認められているということなので、大変うらやましいです。


 現在、無料でもPVが少ない、読まれていないものを自費出版で自分でお金を出して書籍化しても売れるのか? 無料でも読まれないものをお金を出して買ってくれるのか?? と冷静に考えたときに、無理だなと思うことも自負出版は私には向かないと思う要因だったりします。

 




>3、あわよくば、文筆業で稼ぎたい。

 

 書籍化されたら印税という物が入ってきて、生活の足しになるのではとちょっと夢見たりします。

 今は、兼業作家さんが多いとも聞きますし、文筆業だけで食べていくのは難しいようです。


 けど、やっぱり自分が書いたものでお金を得たいですよね。

 それには作家という肩書や書籍化というのが必須と思い込んでしまいますが、よくよく考えればPV数によってインセンティブが発生するカクヨムや他サイトも書いたもので稼ぐと言えます。

 私はまだリワードで換金したことはないですし、そこまでのリワードもないですが、換金できるくらいのリワードがもらえる=読んでもらえることが今の目標です。

 


  *

 

 結論から言うと、受賞しての書籍化は憧れで目標として掲げていていいと思います。

 私もたぶん、ずっとそういう気持ちは捨てられないでしょうし。


 しかし、その本質である多くの人に読まれたい、認められたい、稼ぎたいということを冷静に考えていくと、WEBで作品を公開すること、WEBで読まれることで十分達成できます。


 だからなんというか、学生だから、お金がないから自費出版もできない、もうダメだ……。

 ではなくて、今あるものをよく確認し、今あるステージでもまだあがく余地があると言うことを忘れないで欲しいなぁと思ったりです。

 

 カクヨムなどの小説投稿サイトは、PVも分かるし、インセンティブもあるし、仲間との交流もあり、感想ももらえる本当に便利で素晴らしいステージです。


 ホームページで、長年孤独に書いて投稿していた者からするとここはだいぶ明るい場所です。


 まあ、周りを見れば、書籍化されてうらやましい、PV数が多くてうらやましい、ランキングに載っててうらやましいの連続ですが、人と比べても仕方のないこと。


 結局、運や才能、お金のあるなしではなく、自分にできることを粛々とやるしかないと言い聞かせてます。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る