『めざせ10万字!』文字数を増やす小技11点

 今回少し長めの文章なので、めざせ10万字の文字数を増やす小技11点だけを知りたい方は、ショートカットして文末へどうぞ。


   *

 

 小説の公募には、現在10万字という壁があります。

 文庫本で1冊の文字数の為、小説の応募条件に10万字以上の作品と記載があることがほとんどです。

 原稿用紙換算で250枚ほど。

 

 私が公募に出していたひと昔前の少女小説のレーベルの原稿募集は、文字数の指定はあまりなく、原稿用紙換算で200枚から250枚程度という条件がほとんどでした。

 紙での応募が主流だったので、20字×20字の書式で印字して応募すると、200枚は8万字。250枚なら10万字ということになるのですが、私は改行魔なので250枚印刷しても、実際は8万字程度というものもありました。

 

 投稿していた当時は、文字カウントの出来るソフトを利用していなかったことと、どこも紙の原稿応募のところばかりだったので、原稿用紙の枚数は数えても、文字数は数えてなかったんですね。

 近年、WEBから公募できるようになり、過去作を直しながらUPしていて文字数が思ったよりも少ないことに気付いて、驚きました。

 

 ただ、それが落選していた原因でもないと思うんですよ。

 落選落選と言いながらも、この紙に印刷した250枚の原稿(文字数8万字)は、某ゲーム会社の小説大賞で1次通過したことがあるのです。

 まあ、残念ながら私の戦歴ではここが限界で、その後は少女向けライトノベルから、少年向けライトノベル。果てはカテエラと思いつつも児童書のレーベルや地方文学賞まで、長編・短編を色々出してみましたがまったく引っかかりもしませんでした。

 私は少女向けライトノベル雑誌の短編の賞を中心に多く公募に出してきましたが、戦歴で良かったのは、はじめて書いたショート小説がまぐれで少女向け小説雑誌の投稿欄に載ったことが1回と、この某ゲーム会社の小説大賞で1次通過したことだけです。

 それ以外は、どれだけ落ちたことか……。

(先日、エブリスタの掌編コンテストで久しぶりに優秀作品に選ばれましたが、あれは入選ではないので……。

 あ、そういえばカクヨムコン2022の短編2作も中間は通ったので、今度こそと期待しましたがダメでしたね……)


 原稿用紙で250枚程度の長編は、3作書いています。

 8万字から10万字です。

 なので、10万字の小説が書けないというわけではないのですが、正直、短編中編と比べると得意とは言い難いのが現状です。

(掌編・短編は「短編の宝石箱」を見ていただければ分かる通り。たくさん書いてます。公開は62作ほど。まだ未公開のものもあります)

 

   *


 あまりに連敗が続いたことで、心が折れて数年間やめてしまった公募ですが、近年、復活して再投稿を始めたからには10万字程度の長編を書いて、大賞と言われる賞に応募したいというのが再出発の目標です。


 そこで、自分の得意な文字数というのを調べたところ、2万字程度の作品が多く、このくらいが一番書きやすいと気が付きました。

 10万字の長編を書くためには、5倍必要です。


 Q、さて、どうすればいいでしょう?


 8万字から10万字もがんばれば書けるとはいえ、そのコツはそれほどつかんではいない状態。

 出来ればコツをつかみ、10万字の小説も時間は5倍かかってもいいので、労力的には2万字書くのと同じくらいの力加減で書きたいのが本音です。


 けれど、時間さえ費やせば書ける物かと言えばそうではありません。

 長編派の方は『2万字が楽に書けるなら、単純にそれを5回繰り返せばいいだけでしょ?』と言います。

 これは、かなり痛いです。

 それが、簡単には出来ないから苦労して、悩んでいるのに……。


 じゃあ逆に、長編派の人が1万字や2万字の短編や原稿用紙5枚程度のショートを書いてと言われたら、簡単に削って書けるでしょうか?

 長くても短くても簡単にというか、するすると書けるタイプの方はいるでしょうけど、短編か長編かどちらか寄りの書き手の方が多いと思います。

 長編派の方は短く書くのは意外に苦労すると思います。

 マラソンや長距離走が得意な人が、必ずしも短距離走が速いとは限らないのと同じで、短距離や障害物競走が得意な人がマラソンや長距離を走れと言われても、走りきるのは息切れしてとても大変なのです。

 走るために使う筋肉が違うように、書くための筋肉も短編と長編では違うのかも知れません。


   *

 

『大は小を兼ねる』ということわざがありますが、同様に『長編は短編を凌駕する』と思われがちです。

『長編が書ける人はえらい、すごい! 才能がある!』物書きの中では花形で、トップアスリート的な扱いです。

 一方で、掌編や短編は誰でも手軽に書ける。薄い。壮大なテーマは無理でしょ? と軽視されているの様にも感じます。

 ちょっと卑屈すぎるでしょうか?

 でも、掌編や短編はWEBでいくら書いてもあまり見向きされないのが実情です。

 私も、掌編短編を数多くカクヨム等で掲載していますが、全く読まれません。(なんでだろう……)

 長編短編以前に、私が読まれてないだけという冷静な突込みはご遠慮ください。

 心が折れるので……。(汗)


   *


 話題がどうしたら長編が楽に書けるかということからそれてしまいましたね。

 長編、短編の扱われ方の是非はともかくとして、今の私は短距離走から長距離走へシフトしたい。

 フルマラソンに挑戦したいという気持ちなので、そのための準備や知識が欲しかったりします。

『やれば出来る!』『書くことが好きなら書ける!』『慣れだよ。慣れ!』なんていう、根性論ではなく、私は今すぐ出来るような技やコツが知りたいのです。


 私は、キャラや設定、クライマックス場面やラストはひらめくのですが、その間の事件やエピソードがなかなか思いつかないのが悩みです。

 なので、起承転結。はじめ・中・終わりといったひと山、ふた山くらいで話を結びたくなります。

 これだと、まとまりの良い短編はできますが、長編にするには、もっともっと山となるアイディアやエピソードが欲しいところ。


 そこで、文字数を増やすイベントや方法をツイッター(現X)で相談しました。

 とりあえず自分が思いつく方法ではどれが効果があるのかということと、それ以外に長編化するときに何か良い方法があれば教えて欲しいとアンケートをさせていただきました。


 次は、その結果です。 

 

Q,文字数を増やすコツや技でよく使っているものはなんですか?

  4例にない場合は、返信欄でご回答ください。


 私が例としてあげていた4つの順位は下記の通りです。


1、登場人物の過去や思い出を語る 40%


2、問題や敵をどんどん出す 27.5%


3、キャラを増やす 23.8%


4、Hな場面、展開にする 8.8%

(投票数全80票)


   


1、登場人物の過去や思い出を語る。


 というのは文字数を増やしつつ、同時に話全体にも奥行きが出て来たりするので、すぐにできていい方法だと思います。

 

 小説ではないですが『鬼滅の刃』では、各登場人物がかならず過去を語ります。

 このことで物語に深みが出て成功している例だと思います。

 ただ、これは使いどころを間違うと話の本筋をぶった切ることになり、流れを悪くしてしまう場合もあります。使いどころやタイミングはよく吟味するとより効果的でしょう。



 2、敵や問題をどんどん出す。


 これはRPG的な感じですね。

 キャラの身体能力フィジカルな面と精神的メンタルな面の成長を促す効果もあります。


『努力・成長・勝利』

 これは、ジャンプ漫画の特徴として広く知られているかと思います。

 力のない主人公(元の地位や能力を失ったりもあり)が、敵との戦いや色々なトラブルに見舞われながら、大きく成長し強敵を倒す(目標を達成する)ことは、少年漫画や少年向けライトノベルだと王道の展開です。


 主人公の初期値が低めだと、強くするために次々と新しい敵をぶつけて成長をうながさなければいけません。

 主人公が弱いほど、多くの敵と戦い結果的に話が長くなる。

 この場合、敵は主人公よりも少し強いというのが、理想的かと思います。

 圧倒的に強いもいいですが、それを倒すのに『ちょっと頑張ったくらいで倒せるものか??』となり、矛盾してしまうのでジャイアントキリングはほどほどに。

 

 問題をどんどん出すの方は、解決したと思ったらすぐ次の問題や謎の頭を出すような、息をつかせない怒涛展開のこと。

 もう少しで章が終わりそう……でも、次の問題や謎が発生した! 

 という、終わりと少しずつ重ねることでつながりを感じさせるのもいいかも知れません。

 問題が起きているうちは話が終わらないのですから、必然的に長い話になります。

(名探偵コナンはそういう感じかもしれませんね)

 その問題をどうひねり出すかということが私の課題だったりするのですが、これは『どうやってアイディアを出すか』という大きな課題にもつながるので、別途、アンケートや考察をしたいと思います。(感想欄へのご意見も歓迎です)



3、キャラを増やす。

 

 キャラを増やすと仲間同士の関わり合いや性格の紹介などが必要なので、人間関係が複雑になり、新しいキャラの説明も必要となるので話を長くできます。

 三人称の小説なら、主人公が不在であっても脇役だけで話を引っ張ることもできます。

 次から次に、新キャラが登場する小説なども近年見受けられます。

 よくそんなに思いつくなぁと感心もしますが、現実の周りの人を観察したり、ゲームキャラのキャラ図鑑なども参考にするといくらでも人物が増やせそうです。

 ただ、私は複数キャラを操るのは苦手なので、新キャラが登場しても即退場みたいなゲスト扱いならばできそうです。

 10万字の小説には、最低何人の登場人物が必要か? どなたか統計を取っている方はいないですかね? 教えて欲しいです。

 私が8万字~10万字の小説を書いたときは、主要な登場人物は6人でした。

 たぶん、少ない方だと思います。

 10人くらい出すと、余裕をもって書けるかもしれないですね。



4、Hな場面、展開にする。


 これはですね。私がやっているというわけではなく某有名作家さんの講演会を聞いたときに、連載物で次の展開に困ったとき、アイディアが浮かばないときはとりあえずHなシーンを入れて間を持たせると聞いたからです。

 つぎの話しを思いつくまで、エロを続けるそうです。(笑)

 それはなぜかと言うと、Hなシーンは場所の転換も話しの進展もしなくていいからだとか。

 これは目からうろこだと思いませんか?

 ちなみに某有名作家さんは、伝奇小説などを多く書かれているB.Yさんです。

 確かに、ちょいちょいHなシーンがある~。

 そこを目当てに読んでいる人もいたかもしれないですが、実は書けない時の苦肉の策だったとは、意外ですよね。

 

   *


 この他にTwitterにて、10万字書く、文字数を増やすアイディアを頂いたのでご紹介したいと思います。



5、とにかく丁寧に書く。人物や風景も目に浮かぶように描く。


 私は少女小説というか、少女向けライトノベルもしくは一般文芸に近い感じで書いていると思いますので、描写に関してはそれほど手を抜いてはいないつもりです。ただ、もう少し書けるかも? という伸びしろはあるのでバランスを見てやってみたい方法ですね。

 ライト系の会話が中心のお話を書いている方で、すぐに文字数を増やしたいと考えている方にはかなり効果的な方法だと思います。



6、別のキャラやサブキャラ目線の章を入れる。


 近年、人気の高い少女向けの異世界転生ものや悪役令嬢ものだと、こういう主人公(ヒロイン)以外の視点で描かれたような章がよく見受けられます。

 女性主人公がこういうことを考えていた時、いっぽう男性主人公や他の登場人物はこんなことを考えていた……。という、双方向や別サイドの話が出て来るのです。

 これは、視点のブレであまり読者受けしない、読者に混乱を招くと思われて以前は敬遠されていた書き方なのですが、章のタイトルに「○○視点」など、キャラの名前をいれてしまうことで解決している方が多いです。

 書籍化されているWEB小説でもよく見かけるのですが、書籍化されたときにもそのようになっているかは不明です。(詳しい方、ぜひ情報ください)



7、定番イベントを把握する。


 学園物なら、入学式、文化祭、スポーツ大会、定期考査など色々な定番イベントがあります。

 これらを把握し取りこぼしなくイベントを発生させることで、話を長くすることが可能のようです。

 ファンタジーでも、収穫祭や地鎮祭、武術大会、舞踏会などがあります。

 または、よくある展開として戦争、決闘、記憶喪失、そっくりな人物との入れ替わり、失踪などもあります。

(こういうのを、どなたかリストアップしたり分析してくれている方はいないですかね?  あったら、すごくありがたいです~)



8、転生物、ループ物を書く


 近年、爆発的に増えているのが異世界へ転生する転生物です。悪役令嬢(令息)に転生する場合は、悪役令嬢物に分類されることもあるかも知れません。

 異世界への転生ではなく、同じ条件で人生をやり直すやり直し転生物(ループ物)などもあるようです。

 これは、実は過去エピソードが豊富な状態で始まるので、すごく文字数が稼げるジャンルだったりするようです。

 生前の人生と今の人生を比較したり、違いを感じたり。

 先に上げていたような、過去の話を語るということで話しが長くできるそうです。

 また、ループ物は人生2回分(もっと多くも可能)の話が書けるので、一度挑戦するのもいいかもしれません。

(私も転生、やり直しネタは考えているのですが、まだ煮詰まってないので、がんばります~)



9、特別なアイテムや特殊能力を登場させる。


 ひとつの特別なアイテムや能力をめぐる展開というのはよくありますが、この場合は話しの途中でも文字数を増やす新展開のために、新たなアイテムや能力を登場させるというものです。

 突然すぎると、読者は驚いてしまうかもですが伏線を張ったり、登場後でももっともな理由付けがあると謎ときをしたような雰囲気も出るので面白そうですね。





10、ネットから実体験を探して脚色する


 作中のイベントや事件がなかなか思いつかないと言ったところ、ネットなどで人の経験を収集し読むことで追体験をし、自分に取り込み作品に反映させてはどうかという提案をいただきました。

 何事も実体験を元にできればいいのでしょうが、現実に体験できることは意外に少ないです。

 私は、恋愛物を多く書いているので、主に恋愛やデートエピソードを集めて分析してみては? とご提案いただいたのですが、よく考えると他の分野でも応用の聞くアイディアですね。

 もちろん、人の体験をそのまま小説にしてはいけません。

 あくまで、追体験として自分の中で消化してから、小説へ反映させてください。


 

 11、山場だけでなく『谷』を作る。


 主人公の成長を促すような山場だけでなく、主人公のトラウマや傷を深くするような『谷』を作ってみてはどうだろうかというご意見。

 これも、素晴らしい案ですね。

 人間は前ばかり見て、なかなか下を見ることはありません。

 努力・成長・勝利の法則を意識すると、どうしても主人公が『得る』ことばかりを意識してしまいます。

 しかし、読者が共感をするのはそればかりではなく、主人公が何かを『失う』ことや、傷つき悲しむことにも同じくらい寄り添ってくれるものです。

 大好きな主人公を痛めつけるような展開は、作者として書きたくないとは思いますが、成功体験だけが人を成長させるのではなく、むしろ失敗体験からどう立ち上がるかに人間味を感じる方は多いかも知れません。

 


 以上、11点。文字数を増やす、10万字を越えるための小技を上げてみました。

 これ以外に、こんなすごい技もあるよ! と言う方は、ぜひ感想欄で教えてください。

 



★★★『めざせ10万字!』文字数を増やす小技11点★★★


1、登場人物の過去や思い出を語る

2、問題や敵をどんどん出す。

3、キャラを増やす。

4、Hな場面、展開にする。

5、とにかく丁寧に書く。人物や風景も目に浮かぶように描く。

6、別のキャラやサブキャラ目線の章を入れる。

7、定番イベントを把握する。

8、転生物、ループ物を書く。

9、特別なアイテムや特殊能力を登場させる。

10、ネットから実体験を探して脚色する。

11、山場だけでなく『谷』を作る。


〈追記〉

12、国や場所、舞台を変える。

 

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