落選が続くと飛べなくなる?ノミの跳躍実験に思うこと。
Twitter(X)のおすすめから目にした話しに「ノミの跳躍実験」というものがあります
ノミは驚異的な跳躍力をもっていて、自分の体の約200倍もの高さにまで跳ぶことができるそうです。
これを人間に例えると、300メートル以上も飛べる計算になるとか。
それほどの跳躍力を持っているノミですが、フタをしたガラス瓶に入れると最初は脱出しようと本来のジャンプ力を発揮するのに、フタにぶつかることを何度もくりかえしているうちに身の危険を感じるのか、それともあきらめてしまうのか……。
後に、フタのない場所に出してやっても、フタの高さと同じほどしか跳べなくなってしまうそうです。
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この話を聞いた時、ああ、数年前の自分と同じだなぁと思いました。
小説の公募に出しても出しても落選ばかり、それが何年も続いて、気が付いたら書けなくなっていたんですね。
公募に出すのが怖い。
どうせ書いても誰にも認めてもらえない。
そんな無意味なことを続けても馬鹿らしい。
時間の無駄じゃないか? 書くのも嫌だ。
と思い始めて、書くのをしばらくやめてしまいました。
書くことが好きで、いくらでも想像して楽しめていた私が公募という瓶に入り、毎回落選し『お前の力はこの程度だ』と叩き落されることで翼をもがれて、飛翔できなくなってしまいました。
そう、フタ付きの瓶に入れられたノミと一緒です。
飛べないばかりか、飛ぶことすらあきらめるようになってしまったんです。
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長い間、公募のできる賞のチェックはしませんでした。
一文字も書かずに、漫画やアニメを見たり、読書をしたり、絵を描いたり、別のことをして過ごしました。
私が書かなくても世の中には、面白い物語があふれている。
自分の書いたものなんて、並ぶ場所はないんだと感じました。
それでも、しばらくたつと文字に起こさなくても物語の構想が湧いてきました。
色々な創作物に触れると、私もこういう物語が書きたい、私ならこうするのにという考えが止まりません。
そこで、私は自問しました。
『私は本当に書くのが嫌いなのか?』
『それとも、結果の伴わない公募が嫌いなのか?』
答えはすぐに出ました。
私は、私が書いた大切な小説を否定する『落選』が嫌いなだけで、想像すること小説を書くことは好きなのだと。
そこで私は公募をやめました。
その当時は、今ほどWEB小説は流行ではなく、むしろWEBで小説を公開するとパクられるのではないか? ということを懸念されていたので公募する人はあまりWEBで小説は公開していませんでした。(今とは真逆ですね)
多くの人に小説を読んでもらいたいと思ったら、入賞して書籍化するしか道がなかったため、私は公募にこだわっていました。
しかし、周りをよく見れば個人のホームページを持ち、気軽に自作を発表して趣味で楽しんでいる人もいることに気付きました。
そこで私は、公募をやめ個人のホームページをはじめました。
公募よりも、楽しんで書き続けられることの方がずっと大切だと気付いたからです。
そうして、ホームページをはじめてから、わずかばかりの人と仲良くやり取りができるようになりました。
それも不思議なものでしばらくすると、やはりもっと読んで欲しいなと欲が出て来ました。
そこで、気が向いたら時々公募に出し、落ちたらホームページにアップするということをしながらゆるく楽しんでいました。
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それから10年以上、長らくやっていたホームページとブログも時代の流れとともに閉鎖する方が増え、そうすると交流も途絶えていきます。
もともと少ししかいなかった創作のお友達が離れていくのがさみしくて、どういうところなら創作仲間がいるのだろう?? とたどり着いたところが『小説家になろう』と『カクヨム』でした。
私は、2022年に個人のホームページを閉じて、小説投稿サイトに引っ越してきました。
私が自分の城にこもっている間に、公募の形式もだいぶ変わり、小説投稿サイトからタグひとつで参加できるようになっていました。
時代は変わったんだなぁと、感慨深く思いながらも、公募にはためらいがありました。
何度落ちても、落選は気持ちがいいものではないからです。
落ち込む時間は、昔よりは減って気持ちの切り替えが早くできるようになったとはいえ、落ちた瞬間は痛いのです。
特に、今はSNSで自分が落ち込んでいるときに、受賞した歓喜の声も聞こえてしまう。
落差が浮き彫りになると、しんどいものです。
それでも、知っている方が入賞されると、いつかは自分にもチャンスがあるかも知れないと、淡い希望もあったりします。
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ホームページを閉鎖して、完全にカクヨムへ移動してきたタイミングで『カクヨムコンテスト』通称カクコンが始まります。
SNSで周りの方々が、次々に公募を初めてすごく盛り上がっていました。
お祭りみたいなものなんですね。
参加する気はなかったのですが、なんだか創作仲間とわいわい同じ賞に投稿するなんていう経験はなかったので、つい雰囲気にのまれて公募を再開しました。
あれだけ打ちひしがれてやめた公募なのに、このとき、賞がとれそうなところをねらってみよう! と無謀にも思えたんですね。
雰囲気って怖いです。(笑)
一番競争率が低そうなところと思い、カクコン短編の令和の私小説(実話)というところになんとかひねり出して書いて、結果、読者選考(中間)でいい順位で通過することができました。
まあ、結局のところ、やっぱり落選だったんですが……。
順位がよかったから、ちょっと期待しちゃいましたよね。
久しぶりに出した、大きな賞だったし、これは劇的に入選できたりしちゃうんじゃないか!? とか、人間はすぐに忘れて同じ失敗を繰り返すものです。たはは。
まあ、そんなこんなで公募を再開しようと決意できたのは、周りの雰囲気のおかげなんですよね。
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冒頭のノミの跳躍のはなしにもどりますが、跳べなくなったノミはどうなるのか?
ずっと、最大の跳躍はできないままで終わるのか?
心配になりますよね。
実は、この話には続きがあって、跳べなくなったノミの中に『フタ』の存在を知らない本来の力で跳べるノミを入れると、跳べなかったノミも跳べるようになるんですね。
自分も跳べることを思い出すのか、あるいは競うのかはわかりませんが、もう一度本来の力で跳べるようになる。
だからまあ、私が再び飛べるように、公募に誘ってくれたのは、SNSやカクヨムのフォロワーさんのおかげです。
本当にありがとうございます。
再開しても、相変わらずの落選続きでヘコみますが、前ほどどん底にはならないです。
打たれ強くなったのかもしれません。
落ちても、今の私は書き続けられる。
たぶん、私は書くのが好きで今まで続けられた事実が、私を強くしているのだと思います。
落選が続いて落ち込んでいる方がいたら、少し休んで充電して、元気のいい創作仲間の姿を見て下さい。
自分が創作を始めた原点や公募に賭けていた情熱を思い出すきっかけになるかもしれません。
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2023年のカクコンの募集要項が発表になりました。
入賞は無理でも、今年も短編で出したいと思っています。
なんだかんだと、カクコンに出すと読まれることが前回で分かったのでそれだけでも、参加する価値はあるかと思ったりです。
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