嫉妬心や怒りをどうするか?
日本人は
なので、多くの方は自分の作品を
けれど、実際には自分の作品をとるに足らないものと思っているわけではなく、当然、密かな自信を持っているからこそ、公開しているのではないでしょうか?
読んでもらいたい、読まれる価値があるはずだと信じているからこそ公募にも出す。
ただ、そういった自信もPVが低く、公募で落選が増えていくうちにどんどん削られてしまい、やがて焦りや不安、怒りに代わっていきます。
年齢の若い人や書き始めて日が浅い人は『まだまだこれからがある』『まだやれる』とそう簡単にくじけることはないかと思います。
それでも、最初に公募に出したときの期待感はかなりのものですから、そこから落選を受け止めるのは、落選慣れしている人とはまた違ったものがあるかも知れません。
私がはじめて小説を賞へ投稿した時は郵送でした。
郵便局に祈りを込めて預けた後は、ちゃんと出版社に届くのか不安になったり、これが入選してデビューできちゃったらどうしよう? などありえない妄想が広がったりしたものです。
そこからの一次も通過しないでの落選は、期待度が高い分、もう少し爪あとが残せると思っていたのに自分の力はこんなものだったのか、時間をかけて書いたものはこの程度のものなのか?
と、かなりショックを受け、人によっては一気に熱が冷めてしまうかもしれません。
*
まだ、各自のホームページで小説を公開していた時代のことですが、WEBでの創作仲間に『作家になりたい』と言いながら、何度誘っても公募に出さない人がいました。
未完の大作ですが、彼はとても素晴らしいファンタジー小説を自身のホームページで書いていました。
完成させて投稿すれば、いい結果が出るのでは? と私は思い後押しの言葉をかけました。
上から目線というわけではなく、夢中で読ませてもらって純粋に面白いと感じたからです。
当時の私は、公募に数回出したところでまだ活きが良く、絶対結果を出してやると息巻いていました。
短編を中心に書いていたので、今で言うワナビーとか公募勢とは少し違うかも知れませんが、その言葉のはしりみたいなものだったようにも思います。
彼が公募に誘っても決して出さなかった理由は、長編を書いていたので簡単には完結させられなかったのもあるかもしれません。
当時は原稿用紙で300枚程度の完結作品を投稿するのが主流。
今のような小説投稿サイトから未完の長編を公募に出せるような環境ではありませんでした。
作家になりたい気持ちがあって、いい物を書いているのに、投稿はしない。
当時の私には理解できませんでした。
行動を起こさなければ何も始まらないのに、何をためらっているのか?
その時の彼の答えは、
『自分の実力を知るのが怖い』
というものでした。
私は初めて投稿した時、入選したらどうしようとか、作家になっちゃったらどうしようとか、いい妄想しかしませんでした。
どきどきはしましたが、怖いとは思わなかったのでその言葉の意味が良くわかりませんでした。
結局、その人のホームページはサービスの終了とともに消えてしまい、その後投稿したのか、今も書き続けているのかはわかりません。
ただ、何年も投稿を続け、結果が出ない今になって、彼の言葉の意味がようやく理解できるようになった気がします。
投稿をし、残念な結果が出る度に自分の実力のなさを感じ、作品は無価値で、書く労力は無駄だと言われているようなやるせない気持ちになるからです。
公募に出すと言うことは、お前の実力はこの程度だと、ぐりぐりと突きつけられている状態。
彼は、単純な私とは違い頭が良かったのでしょう。
十年以上の歳月をかけて私が知ったことを、既に分かっていたのかも知れません。
*
公募のたびに、私の根拠のない自信は打ち砕かれて小さくなり、既に見る影もありません。
若い人に嫉妬し、筆歴が短い人にどんどん抜かされて感じる焦りや苛立ち。
公募先には見向きもされない怒り。
なにかどす黒い物が胸や胃で煮えたぎっているのを感じるときがあります。
逆の人もいるかも知れません。
年長者や筆歴の長い人が順当に結果を出すのを見て、先に生まれただけなのにずるいと感じることもあるでしょう。
こういうマイナスの感情は、醜く、持っていてはいけないものと子供の頃から教えられていますから、抵抗があるのは当然です。
そんな感情は持ちたくないし、早く手放したい。
でも、湧いてくるものを止められない。
誰でも自分が書いたものが一番かわいいし、一番好き。
一番の読者は自分自身なのですから、推しが認められなかったら、不愉快になるのは仕方がないことなのです。
では、その感情をどう
『ああ、いい結果が出たのはあの時の苦しみを乗り越えてがんばったからだ』と、いつか認められることがあれば、そういった感情も昇華されるのかもしれません。
しかし、そんな時はいつ来るか分からないし、来ないかも知れない。
今すぐ、このもやもやした気持ちをなんとかしたい。
そういう人は、ここに来てもらってちょうどよかったと思います。
マイナスの感情は、落選のたびに発生します。
落ちると言う事実を認めるのも嫌ですし、マイナスの感情を持つこと自体も恥ずかしい気がするでしょう。
けれど、多くの人がそういう感情を持つということを知るだけで、気持ちが少し軽くなります。
投稿作品へ気持ちや時間をかけるほどに、感情は強く発生します。
マイナスの感情、妬みや嫉妬、怒りを持つことは仕方のない、持ってもいいと認めることが御するためには必要です。
そして、大切なのはマイナスの感情を持つことは肯定しても、それを他者にぶつけないと言うことです。
人によっては、自己嫌悪になってしまう方もいるかもしれないので、自分にもぶつけないで欲しいです。
マイナスの感情は、多くの人が持つものだと知ることが、結局マイナスの感情をなだめることにつながります。
ある程度マイナスの感情と向き合ったら、それにかかずらっている時間を書くことに費やした方がいいという気持ちも自然と湧いてくるでしょう。
他人が書いたものだけで満足できないから私達は書いている。
自分の物語を先に進めるのは自分しかいないのですから、立ち上がるしかないんですよね。
色々な感情を糧に、お互い筆を進めていきましょう。
* * *
このエッセイのタイトル、続けるつもりがなかったのでこんなタイトルをつけてしまったのですが、続ける方向にしたらなんだかすごい恥ずかしいタイトルでは!? と気付いてしまいました。(汗)
変えたいと思ってるのですが、もう手遅れな気もしたり……。何かいいのを考えたら、変更するかもなのでブクマしておいていただけたら助かります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます