第24話「アクセサリーひとつで大きく変わる印象」


西花畑の駅前に、私服で棒立ちする冴えない男が一人。


彼の名は神谷五木。


今日は中川静香というメガネをかけた女の子とお出かけの予定だ。



「おまたせ」


「おう・・・あ?」



思わず攻撃的な「あ?」が出てしまう。


というのも、そこにやって来たのは中川静香で間違いない。


でも、足りないのだ。


何が足りない?


そう。



「お前、メガネどうした」



メガネをかけていないのだ。


黒く大きなフレームのメガネ。



「今日はコンタクトよ」


「なんで? お前のチャームポイントだろメガネは!?」


「なんでよ!」


「というか、なんでそんなにオシャレしてるんだ?」



静香とは小学校からの仲だが、こいつの服装は、いつもかなーり地味なものだ。


長袖のシャツに、長ズボン。


夏でも変わらない服装。


なのに今日は、どうしたのだろうか。


灰色のトップスの上に、同じ色で薄いレディース。


下はフレアパンツという組み合わせ。


なんか、いつもと違う。


絶対おしゃれしてきてる。


なぜ? why!?



「いつも通りじゃない?」


「いや、いつも通りではない」


「え、そう?」



ニヤニヤ。(・∀・)ニヤニヤ。


オシャレと言われて嬉しそうにニヤニヤする彼女は、続けてこう言う。



「今日はデートだからね」


「デートじゃないだろ」


「細かいことは気にしないの。ちゃんとエスコートしてよね」


「今日は静香の買い物に付き合うんだから、エスコート役はあんただろ」


「ア、ソッカ」



ということで、電車に乗り込みます。


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