第14話「情報漏洩RTA」
教室に入ると、そこは暖房の効いた天国。
ブレザーを脱いで椅子の背もたれにかける。
俺と結衣は一緒のクラスだが、席は離れている。
どういうわけかは知らないが、教室では結衣は俺に話しかけてこない。
恋人となった今でも、それは変わらない。
机で適当に過ごしていると、数分もしないうちに敦が現れる。
敦は俺の一つ前の席にいる。
「おはよ、五木」
「おう、おはよ」
「なぁ五木」
「なんだ?」
「お前、桜沢結衣と付き合ってるの?」
なんでこういう情報って、恐ろしい速度で漏洩するんでしょうね。
「なんでそんな話になる」
「いやぁ、今日の登校時、二人が手を繋いで歩いてるのを後ろから見ていてね」
あぁ。これは言い逃れできないやつ。
結衣との関係を、他人にはどのように取り扱うのか。
それは、まだ話し合っていなかった。
付き合ってると明かしていいのか、それともなるべく隠しておきたいのか。
結衣のことだから、後者の可能性は高いだろうが・・・。
「まぁ、、、」
「まぁ?」
手を繋いでるところを見られた以上、言い逃れするのは難しそう。
「最近な?」
「ガチやん。まぁでも、五木と結衣、仲良さそうだったもんな」
第三者から見れば、きっとそうなんだろう。
「ってか、手を繋ぐって、お前ら中学生か?」
「やっぱそう見える?」
「まぁ人によると思うけど、見せつけもほどほどにした方がいいぞ?」
そんなものなのだろうか。
街中だとたまに、手を繋いでる大人同士のカップルを見かけるっちゃ見かけるが・・・。
「まぁ気を付けるよ」
「それで、結衣とはどこまでやったの?」
「その質問するんだな」
「鉄板だろ」
「そんなイチャイチャしてるわけじゃないぞ」
「ほう?」
「なんだよ」
「これからの予定は?」
「知らんがな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます