第19話「ツンの先にある・・・」


田舎のローカル線は、本数も少なければ人も少ない。


駅のホームに向かうと、そこには誰もいない静かな光景。


ベンチに腰掛け、次の電車を待つ。



「何分後なの?」



訊いてくる結衣に、時刻表を確認した俺がこたえる。



「45分後」


「そんなに待つの?」


「時間調べないで来たからな。そんなもんだろ」


「登下校で使う路線で、30分に1本でも少ないと思ったのに」


「都会っ子だな」


「和佐は田舎だと思うけど」


「ソッカ」



と、会話が途切れる。


結衣との付き合いは、朝夕の登下校のみ。


学校内ではほとんど喋らないし、土日にこうやって遊ぶのも初めてだ。


ゆえに、彼女とどんな話をしたらいいのか、わかっているようでわかっていなかった。



「あのさ」



俺の方から、ちょっと気になったことを訊いてみる。



「なに?」


「訊きたいことがあるんだけど」


「だからなに?」


「俺って、今まで彼女とかそういうのできたことなくてさ、えっと、関わり方とか、どうしたらいいのか分からないこと多くて」



上手く言葉にできない。


でも早い話、自分に自信がないだけだ。



「普通でいいんじゃない? ってか、そういうの考えるのキモイよ」


「エ、キモイノ?」


「なんでもいいよ。そうやって私のために悩んででくれる気持ちだけでいいから」



そう言う彼女は、まんざらでもない感じだった。


言われた方の俺からしてみれば、純粋に彼女の言葉が嬉しかった。



「あ、うん。分かった」


「・・・なにニヤニヤしてるのよ」


「いや、なんでもない」



ニヤニヤ・・・・ニヤニヤニヤ。



「うざい!」


「すまんすまん」


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