第7話「部活とバイトと・・・」


並みの公立高校には、並みの部活が存在する。



「五木はどんな部活に入るんだ?」



気さくに話しかけてくるのは、残念なイケメンこと影森敦。



「考えてねぇわ。敦は何入るの?」


「どうしよっかなぁ」


「お前何でもできそうだよな」


「え、そう? 照れるなぁ」



褒めてるわけじゃないんだけどな。


とはいえ、部活動か。


この学校の方針では、4月中は仮入部期間で、5月からは本入部となる。


ボーっとしてたらあっという間に5月になってしまいそうなものだが・・・。



「どうすっかなぁ」


「五木って、なんか得意なものあったっけ?」


「得意なものねぇ」


「運動できるなら、運動部とか」


「運動部ってぶっちゃけキツイやん。土日も練習あったり。あんなん拷問」


「じゃあ文化部?」


「何があるん?」


「吹奏楽とか?」


「楽器できんぞ? できたとしてもカスタネットぐらい」


「軽いなぁ」


「俺は部活よりも、バイトがしたい」


「バイトかぁ。ここいら田舎だから、募集あんまししてないよな」



田舎の弊害は、そういうところにもある。


求人が少ない。あったとしてもフルタイムだったりして、学生に優しくない。


高校生でもできそうなバイトは、ほぼ確実に争奪戦になる。


さながら就活とほぼ同じ感じ。



「敦ってバイトしてるよな?」


「してないよ」


「あれ、たまに仕事あるって言ってない?」


「あぁ。あればあちゃんの畑手伝ってるだけ。お小遣いくれるからほぼ仕事みたいなもん」


「そういうことか」


「五木の家って、そういうのないの?」


「うちは鉄道会社と観光協会」


「あちゃ。そりゃ無理やな」



その他、親戚とかもいなくはないが、そのほとんどが鉱山で働いてたり、トラック運転手だったりで、敦みたいな人はいないと思って間違いないと思う。



「ちなみに五木、月の小遣いは?」


「月10000円。昼飯含めて」


「そりゃ少ないな」



平日は平均で月20日。10000円を20で割ると、500円。


1食500円使ってしまうと、昼飯だけで小遣いが底をつきてしまう。



「バイト始めて、余裕のある生活をしてみたいものだ」


「ガンバレー」


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