私立探偵・三日月未夜と混沌のエクス・マキナ

　年齢二十五歳。身長平均より少し高め、砂時計型の美しいプロポーションを持つ女性の三日月未夜は、現代日本では珍しい、全国的に知名度の高い私立探偵である。
　浮気調査、失せ物探し、婚前調査や相続問題調査などの依頼を日常的にこなし、ある時彼女は長い休みを取った。

　水泳を楽しむには季節外れの九月の中頃、人気の失せた海岸沿いの散歩を悠々自適に満喫する彼女は砂浜に驚く物を発見する。
　二枚の用紙が収められたウィスキーの瓶ーー即ち、『ボトルメール』という前時代的な方法で送られて来た手紙を見た未夜は、「これは依頼だ」と意気込んだ。
　日本海のある一点が示された世界地図、そして『ラススヴィエート』と名乗る人物からの助けを求める手紙。

　私立探偵・三日月未夜は手紙の指示に従い、地図上に存在しない人工島ーー『イリア島』を目指すのであった。