13話 最高の相棒~出会い~
黒と白の綺麗な毛並み。尻尾を左右に振りながら向かってくる。
――ワンワン!
「あ、やっぱり」
ゲームでも同じ場所で出会う――柴犬だ。
確かこの犬、ついてくるはずだよね。ゲーム通りなら。
試しにちょっと離れてみようかな。
――ワンワン!
やっぱりついてきた。
結構この犬に感情入ってたからね、私。でもたまに邪魔な時とかあるけど。
ダンジョンとかで犬が先走っちゃって、出入口に居座って出れなくなったり、狭い通路に入ってきて通れなくなったり……ね。
一番厄介なのが、私が地雷見つけて解除しようとしていた時に、目の前をトコトコ歩いていって、地雷爆発させちゃう時。
地雷も解除して持ち帰れば、売る時高いから金策になるのに。
まぁでもこの犬のお陰で、金庫見つけられたりするから役には立つんだけどね。
戦闘でも一緒に戦ってくれるし。
何て言っても、この犬――不死身だから!
致命傷負うとその場から動かなくなるけど、しばらくすると鼻息荒くして近寄ってくるのだ。
それに荷物持ちにもなる。
持てなくなった荷物を犬に持たせて、こっちは身軽ってね。まぁそれには限界もあるんだけど。
こう考えれば結構役に立つな、この犬。
「よしっ!」
目の前には、巨大な赤と白のロケットが地面に突き刺さり、先端が潰れ、その残骸が散らばっている。その外側に付いている鉄の扉は、地面にめり込んでいて、とてもじゃないけど扉を開けられる状態ではない。
更に周りには、汚染された水溜まりが広がっていた。
……近寄りたくはない。RAD値、ぐんぐん上がりそうだし。
そもそもここはロケット墜落地。ゲーム通りなら犬がいる以外は特に何もないのだ。
小さいプレハブのような建物がロケットとは少し離れた位置にあり、その入り口には、受付のような窓口がついている。例の如くガラスが割れ散乱していた。
そしてプレハブのような建物の中は、受付の隣に小部屋があり、木片が剥がれ落ちたくすんだ白い机以外は何もなかった。
小部屋の向かい側には、少し大きな車庫のようになっていて、車庫の中にはガソリンや、何に使うのか定かではないが、何かの機械のようなものや、それに使う工具のようなものが乱雑に置かれていた。
私は機械には疎いからよくわからないけど、私が使えそうなものは何一つ置いてはいなかった。
ゲームであった、武具を強化する機械も置いてあったが、それは何者かが故意に壊したんじゃないかってくらい壊されていて、原型を留めていなかった。
ゲームでその機械を見ていたおかげで、側に落ちていた工具などを見て強化に使うものだってわかったけど、全く使い物にならないんじゃどうしようもない。
「はぁ……収穫なしか」
ここには本当に何もなかった。
寧ろ、誰かが先に来て全部持っていっちゃったのかな……そのくらいもぬけの殻。
後は、外から露出して見えている受付のような所だけ。まぁ、ここにも何もないと思うけど……一応見てみるか。
「あ――」
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