16話 最高の相棒 ~リアの酒場~

「着いた、着いた~」


 浮かび上がる文字列が、酒場に着いた事を知らせてくれた。

 確かここの店主に、ラジオの修理頼まれるはずなんだけど。

 でもStayGirlからクエスト欄消えていたし、やっぱりサブクエストもないのかな。


 ――とりあえず中に入ってみよう。


 ガラス張りの扉を開けると、鈴の音が響く。


「いらっしゃい!」


 店主が私を出迎えてくれた。

 店内に並べられたテーブルと椅子。そこにはNPCがちらほら座っている。


「あ、NPCはいるんだ」


 その事実に驚きつつも、人がいたという事に安堵すると、辺りを見渡す。


 カウンターの奥には小さな部屋がある。ベッドがあってラジオやテレビ、テーブルや台所があって料理ができるスペースもあるようだ。

 NPCが寝泊りできるスペースだろう。


 まぁ基本NPCがいる所の建物は探索しないから、ここはスルーだね。

 NPCが経営している酒場や街や、住んでいる家とかは、ほとんどがそのNPCの所有物だから、物を取る事が出来ない。

 出来ないというか、正確にいうと物を取ると泥棒扱いされて敵対するんだよね。まぁ、当たり前だけど。

 ゲームだと入手する時に、物の名前が赤く表示されていた。


 店主が物を売ってくれなくなる場合もあるから気を付けないと。まぁここはゲームじゃないから大丈夫だろうけど……多分ね。


 とりあえずラジオの修理を頼まれるのだろうか。店主に話しかけてみる。


「あの……」


 私は恐る恐る店主に近付き話しかけた。


「はい? 何か用?」


 あれ、何も起こらない。っていうか、話の選択肢的なやつも出ないし。

 ゲームだと話しかけると選択肢がいくつか出て、話をすればクエストが開始されたりしたんだけど。

 これってやっぱりクエストは無くなってるって事?


「どこに突っ立ってるんだい? 客じゃないならどっか行きな」


 ……え? NPCから話しかけてきたんだけど。ってか、態度わるっ!


「ちょっと! あんただよ、あんた。そこにいられると邪魔なんだよ」


 まただ。ほんっと、態度悪いなぁ……この店主!

 お客様は神様的なやつは、持ち合わせてないのかね。


 まぁ、NPCの事はとりあえず置いておいて、どんな商品があるのか見てみようかな。


「すみません、商品見せて下さい」

「なんだい、買ってくれるのかい? はいよ」

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