11話 意図せぬ再会~グール~

「プレイヤーって……あんたも?」


 その言葉を聞くと、不本意だが安心してしまう。私だけじゃないんだ。それを考えると自然と口元が緩んでしまう。


「やっぱりそうか。姉ちゃん酒場で何か困ってただろ?」

「別に」


 だけど目の前の男を見上げると、冷静を取り戻し冷たく当たる。

 話す義理はない。

 そもそも出会いが最悪だし胡散臭すぎる。


「冷てぇなぁ。同じプレイヤー同士、仲良くしようや」


 そう言って男は、掴んでいた私の腕を手繰り寄せるように引っ張り、肩を組んできた。


「やめて」


 私はすぐに男の手を振り払い、そそくさとその場から立ち去った。

 恐怖心もあったのかもしれない。


「ちっ……」


 男は、去っていく私にも聞こえる程の大きな舌打ちをして、私を目で見送ると小屋の扉を閉める音がした。


「はぁ……なんなのあいつ」


 そして、その音を聞き振り返ると安堵するようにため息を吐く。


 さっさと町に行こう。

 また変なのに絡まれる前に……。

 私は歩みを進めた。




「うわっ!」


 町に向かってと歩いていると、こちらに向かって物凄い早さで走ってくる何者かが見えた。


 ――グールだ!


 知能、感情が欠落した元人間だから、こうやって見境なく人を襲う。

 って言ってる内に、もうすぐ側に!


「ちょ、きもっ! よし、L.A.T.E.レイト……って、え?」


 L.A.T.E.を使って倒そうとするが、私はある事実に気が付き戸惑う。


 ――どうやって使うの?


 ゲームではコントローラーで簡単に出来ていたけど。


「え、まじやばい」


 すぐ側までグールが来ている。

 こうなったら直接撃つしか……。


 そう思い、ピストルを握りグールに向ける。

 そしてトリガーを引く――が、銃弾が出ない。


「……え?」


 何度もトリガーを引く。

 だが銃弾が出る気配がしない、それどころか、トリガーを最後まで引けてる自信がなかった。


「ちょっと! なんで撃てないのよ?」


 L.A.T.E.は使えないし、銃も撃てない。

 焦りからか、スゥーっと血の気が引くのがわかる。


 ――ワンワン!


 犬は向かってくるグールに向かって吠えるが、私はそれどころではない。


 何も出来ないというこの状況に、完全にテンパっていた。そして私は……奥の手を決行する。


「よし」


 ――グールとは反対の方向に全力でダッシュ!


「きゃァァァ――」


 ――ワンワン!


 犬は私の後に続き、私たちは追いかけるグールを背に必死で逃げた。






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 次の更新は09月26日16:03

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