14話 最高の相棒~おちゃめ~

「あ――」


 受付に入ろうとした瞬間、私には見えた。近寄ってはいけないものが。


 ――ワン!


「あ、だめ――」


 犬が何かを見つけたのか、受付の奥に突っ走ろうとした。


 ピピピピピ――ボン!


「ほら~だから言ったのに」


 私はひとりで犬に怒っていた。理解出来ているわけもないけど。


 奥には地雷が仕掛けてあった。地雷を踏むと、ゲームでは足が吹き飛ぶ。

 地雷を爆発させてしまった犬は瀕死状態だ。

 足をピクピクさせながら息が荒くなっている。


 ――キュゥゥゥン。


 ただ見ているのは可哀想だから、ブラドパック使ってあげたい。だけど、ゲーム通りなら犬は放っておいても回復する。別に意地悪しているわけではない。ブラドパックは非常に貴重なのだ。

 自然治癒力が高いのか、致命傷を負っても死なないのが、このゲームの犬の特徴だ。


 このまま進むのも危険だし、ちょっと待ってみるか。犬が瀕死になってる内に探索終わらせちゃおう。


 まぁ、思った通り受付には特に何もなかったけどね。地雷も爆発させちゃったから、もう持って帰れないし。

 そもそもゲームでは簡単だったけど、地雷って普通に解除出来るのかな?

 やっぱり何か技術が必要だったり?

 いや、でも確か……スキルにはそんなのなかったような。だとしたら、普通に解除できるのかな。


 まぁ、もうここには地雷ないし、今度地雷見つけたら解除できるか試してみよう。

 見つけられたら・・・・・・・だけどね。


 ――ヘッヘ! キュゥゥゥン。


 あれ、まだ回復してないの? いくらなんでも遅すぎるな。

 ゲームでは案外すぐに回復してたのにな。

 この世界はゲームではないから、犬も回復しないの?

 ……よくわからないや。


 とにかくこのまま回復しないんだったら可哀想だし、置いていくわけにもいかないから、勿体ないけど仕方ない。ブラドパックを使ってあげよう。


 注射器の針を犬の体にぶっ刺す。

 中の液体が犬の体内に吸収されると、犬は再び元気を取り戻し立ち上がる。


 ――ヘッヘッヘッ。ワンワン!


「現金な犬だな」


 嬉しそうに舌を出しながら尻尾を振る。


「もう地雷踏まないでよね」


 そう言いながら犬の頭を軽く撫で、立ち上がり、このロケット墜落地を去ろうとした。


 すると――

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