7話 理想の世界~StayGirl~
「おっ! これは……」
このShelterの中はまだ全部探索していないと思うが、私はそれ以上に出口が近づいた事による興奮を抑える事は出来なかった。
ようやく荒廃した世界とのご対面だ。
出口には、部屋に付いていた扉とは比べ物にならない程に大きな鉄の丸くて分厚い扉がある。扉の真ん中には『Shelter-61』と書かれている。
部屋の隅の高台には、扉を開けるであろう装置があった。
近寄るとそこには死体が――いや、もう相当な日数が経っているであろう、死骸が転がっていた。
そこで初めて
その死骸が身に付けていたであろう、StayGirlを手に取り自分の腕に付ける。
ゲームでしか見た事なかった憧れのStayGirl。
手に持った時は案外重量感があり、それを腕に付けると更に私の感情は高ぶった。
「これがStayGirlか……」
StayGirlが落ちていたすぐ隣には、一見壊れているように見える機械が置かれていた。
機械全体は薄い黄色というか肌色というか――くすんでいてもはや何色なのか定かではない。
左側には透明の小さな小窓が付いていて、中には何かをはめ込むような窪みがある。
その窪みはゲーム通りなら、このStayGirlの内側に付いている蓋を開けると入っている、コネクタを差す場所だ。
そして私は、StayGirlから伸びるコネクタを機械に差し込む。
おそらくこれで、StayGirlを充電出来るはずだ。
すると今まで微動だにしなかった機械が、振動と共に重低音のような、腹の底に響くような音が響き渡る。
「おぉ!」
そして差し込み口の周りにメーターのようなものが出現し、徐々にメーターが貯まっていくのがわかる。
メーターの色が赤色から緑色に変わる。それが充電完了の合図だ。
StayGirlのコネクタを取り外す。
そしてStayGirlの電源を付けると、見慣れた画面とご対面。
これは何度も見る事になる、生きるのに必要不可欠なものだ。
何から何までこのStayGirlで確認できる。
まずはStayGirlの横に付いているダイヤルを回し、色々確認してみる事に。
この仕様は、ゲームで主人公がダイヤルを回しているせいで、咄嗟に操作する事が出来た。
ダイヤルをカチャカチャと動かしていると、あるページに一つのアイテムがある事に気が付く。
どうやらテープのようだ。
「なんだ……これ?」
ゲームでは入手しなかったあるテープを発見し、それをStayGirl内で再生する。
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