第三章 殺害予告とK24⑤
「私は休日に晴れていれば必ず散歩に出かけるの――」
そう言って、雅は語り始めた。
「三月二十日の土曜日。父が亡くなった日も、三時の鐘が鳴って私は散歩に出かけた。その日はエリスも散歩に同行してくれて二人で外に出たの。その後、散歩から帰宅して用事を伝えるためにこの部屋の扉を開けたら、父はデスクに伏して息を引き取っていた」
寺島は足早にデスクの近くに回ったが、特に可笑しな所はなかった。
「私はその時スマホが壊れていたから、殺害予告状を見つけた後、すぐに野々宮に言って警察に連絡してもらった。警察の人が来て、体温と眼球の状態から大体の死亡した時間を教えてくれた。それが午後三時から三時半の間。私とエリスが散歩に出ていた時間よ……」
「……偶然にしては出来過ぎてるな」
出来過ぎてる、なんてね。と心の中で寺島は笑う。
「でもその後、警察の偉い方が来て、数分で急性死だと決めつけるとすぐに撤収作業を始めた。私は、何度も警察の人に捜査をお願いしたけれど、具体的なことは何もしてくれなかった。もう《催眠術師》なんていないんだって言ってね」
雅の拳は自然と握られ、悔しさに表情を歪めて歯噛みした。警察は意地でも他殺という判断をしたくなかったのだろう。《催眠術師》だって一度たりとも実際の姿は確認されていないのだ。《戦慄の水曜日》も今となっては、真相は闇の中だ。
「散歩は何分くらいかかる?」
寺島が雅に聞いた。
「往復で三十分くらいだと思う」
雅は想定していた質問なのだろう。素早く寺島に返した。
「脅迫状はどこに?」
「デスクの上よ。父の伏した頭の隣にあった……。その時、この部屋は窓が開いていたの。だから私は外から《催眠術師》が侵入して父を殺したんだと思った……」
寺島は窓を開けて、瀬崎憲明の自室から下を見下ろした。定規で切り取ったように乱れの無い芝生が広がっていて、二階に登れるような足掛かりや木々は無い。
ただ、異能の力を持った《催眠術師》が存在するこの世の中に、不可能なんて言葉は滑稽でしかない。
事実、あの緑髪の男はタクシーのボンネットの上で風に揺られながらも体勢を崩すことは無かったのだ。寺島だけは、《催眠術師》の存在を確認している。
野々宮から温かい紅茶の用意が折角できたということで、寺島と雅は一階に移動した。
応接間にあるソファーに腰を下ろし、淹れてもらった紅茶をすすりながら状況の確認を始めた。全て整理すると以下のようになった。
三月二十日土曜日。
午後三時から三時半の間。
瀬崎憲明は自室にて心臓麻痺を起こし、結果脳死して息を引き取った。
雅とエリスは三時の鐘が鳴ったタイミングで散歩をするべく外に出た。車庫の前で洗車を行っていた瀬崎家専属のドライバーが、鐘の音が鳴ったとほぼ同時に雅とエリスが鉄の門を出るのを確認しているため、彼女らが三時に散歩に出たのは間違いないそうだ。
二人が帰宅したのは三時三十分頃のこと。
瀬崎憲明が亡くなった時間には家の中に雅とエリスはいない。
――瀬崎雅とヴィエガド・エリスのアリバイが成立。
ドライバーの男性も二時頃に修一を会社へ送るべく車を出し、帰宅後は三時三十分(雅とエリスが戻ってくる時間)まで一度も屋敷内には戻らず、車庫前で毎週末行う洗車に精を出していた。車にはドライブレコーダーが搭載されているため、ドライバーの姿は常時捉えられている。間違いはないそうだ。
――瀬崎家専属のドライバー加藤のアリバイが成立。
修一は二時頃に家を会社へと向かった。帰宅したのは五時頃。野々宮から憲明氏が亡くなったという連絡を受けてタクシーで帰宅した。会議の記録が残されているため間違いはない。家に戻ってくることも時間的に不可能だ。
――瀬崎修一のアリバイが成立。
野々宮は三時に鐘が鳴ったタイミングで雅とエリスと共に外へ出た。野々宮は袋と水筒を持って表の庭の草むしりに励んでおり、ドライバーの男性からいつでも確認できる場所にいた。ドライブレコーダーにも常時、野々宮の姿は映っていた。
――野々宮のアリバイが成立。
つまり、家の中には瀬崎憲明の他に誰もいなかった。
「考えられるのは外部からの侵入だけか。全員のアリバイは成立しているけど、玄関の鍵は開いているし、二階の自室の窓も空いていた……。侵入が不可能ということはない」
各人のアリバイは雅と野々宮が事前に全て把握していたため、話が予想よりも手短に進んだ。
寺島は静かに香り高い紅茶をすすり、出されたクッキーをひとつ口に入れた。バターのほんのりとした甘みが口一杯に広がる。
「現時点で手掛かりは――ゼロだな」
「そうよね……事前に私と野々宮で調べた結果、屋敷の人間は全員何かしらのアリバイがある」
ティーカップを皿に置く音が広い空間に虚しく響いた。全員のアリバイが成立しているこの状況では何も見えてこない。
瀬崎憲明の自室にヒントが隠されていないかと思ったが、見つかったのは
『I Guess Everything Reminds You of Something.』
『I was guilty.』という謎の英文だけだった。
――何を見ても、何かを思い出す。
――私は罪を犯した。
もっとも瀬崎憲明が《催眠術》で殺害をされたとして、目的が見えてこない。
組織の目的は、自分達を施設に収監した人間全員を殺すこと――。
WSZの最高取締役である瀬崎憲明との関係が分からない。
「なぁ雅、ゴールデンウィークは二十九日の昭和の日からだろ?」
「そうね?」雅がうん? と首を傾げた。
「その日からゴールデンウィーク明けまでこの家でお世話になっても良いか?」
「――え⁉」
雅の肩がビクンと上がる。
「え? ええ、ああそうよね。もちろんよ」
唐突な寺島の言葉に雅は一瞬焦った顔をしたが、すぐに普段のクールな表情に戻った。
――となれば、その間に何か手掛かりを探して先手を打つ。そんな寺島の思考とは裏腹に、雅は頬を赤くして脚をじたばたと忙しなく隣で動かしていた。
「……か、可愛い下着何かあったかしら……え、とええと」
「ん? どうした雅」
「い、いえ! 何でも! ちょ、ちょっと野々宮を呼んでくるわね! す、すぐにでも部屋を用意してもらわないと! べ、ベッドの準備も!」
「あ、いや、今日はまだ二十五日だからまだゆっくりでいいんだが――って居なくなった……」
雀の影響で寺島も恋愛ドラマはよく鑑賞しているはずが、雅の分かりやすい言動で何も気づかないのであれば、寺島に乙女の気持ちは輪廻転生したところで理解できないだろう。
「あ、つーか修一さんいるじゃんこの家……」
*
三月二十六日火曜日。
ゴールデンウィーク初日まで今日を入れてあと三日。
昨日、瀬崎修一と行った『決闘』の一件で、寺島の存在は学園中で話題になっていた。瀬崎雅の一声に救われて最後の一撃を喰らわず済んだ運の良い男という絶妙に嫌な評判だった。
休み時間になると寺島のクラスに群衆が詰めかけ、なぜ瀬崎修一と『決闘』をすることになったのか、雅との関係は何なのかなど、しつこい質問攻めを受けた。
寺島は半ば無視に近い態度で一問にも答えなかった。それどころか得意の逃げ足で学園中を駆け回り、全員を撒いた。
敷地面積の異常な広さはこういった非常事態にも役立つ。
「ふぅーんなるほど……そんなことがねぇ。で、寺島氏は何か分かったの?」
「分からないから雀に相談してるんだよ」
「あちゃ~じゃあダメだね。雀も全く分からないもん。アリバイはみんな成立してるみたいだし、まず《催眠術師》たちの目的が分からないんじゃ仕方ないよ」
「だよなぁ」寺島がため息を吐く。
昼休み。
普段通り学ランを着た寺島と、三つ編みおさげに丸眼鏡を掛けてそばかすメイクを施した雀は、2号館四階の廊下を幾度となく往復しながら歩いていた。
雀に一連の流れを丁寧に説明したが、やはり期待の持てるヒントは掴めない。雀は《投資の天才》ではあるが、事件を解決する力は持ってない。
「というか、寺島氏、いつまで雀は廊下を歩き続ければいいのかね?」
「昼休み終わるまでだ。たまには運動不足解消もいいだろ。ほらいち、に、さん、し!」
「あー、そんなこと微塵も思ってないくせに。嘘つきだ」
「嘘じゃない。発想の転換だ」
どのタイミングで生徒の群れが押し寄せてくるか分からない。
二人は常に逃げられる体勢を取れるよう止まることなく歩き続けていた。
雀もそれに付き合わされている。
「でもね、寺島氏。警察によると瀬崎雅を攫った男二人組は、やっぱり自分達の意志で行った犯行じゃないって証言したみたいだよ。街を歩いてたら突如気を失って、いつの間にか警察署にいたって。運転していた男も外に連れ出した男も、お互いに面識すらないって」
「嘘って可能性は?」
「ないっぽいよ。やっぱり《催眠術》で操作されてた説が一番有力だね。そのボンネットに乗ってた緑髪だっけの男もそう言ってたんでしょ?」
「……ああ。俺も違和感はあった。本気で誘拐するならいつでも逃げ切れた」
状況は《戦慄の水曜日》と同様、一般人が《催眠術》を掛けられ意のままに操られていた。
この件に関して、雀が揉み消してくれなかったら普通の誘拐未遂として処理されていただろう。実際に《催眠術》を掛けて二人の男を操った人物が浮き彫りにならない限り、警察は動かない。
「警察の偉いさんに頼んで周辺の警戒を頼んだり……もう一度調査は……できないよなぁ」
幾ら警察組織の上層部と飛鳥馬源蔵に繋がりがあると言っても、一度結論付けされた急性死を他殺であった可能性を示唆して再度調査を行うことは、前回の結論が誤りであった可能性が高いという意味である。
それに、もう証拠などあの屋敷にはなにも無い。
「……というか寺島氏さ、『主』に許可もなく女の家に行くってどうなの?」
「え……」
心臓が悪い意味でどきっと高鳴る。
「まあそれは……」
「世間一般的に許されることなのかなぁ……?」
「それは後々説明するとしてだな……あは、あはは」
寺島が歩くスピードを少し早めた。
別の意味で質問攻めしてくる存在を忘れていた。
「得意な苦笑いで誤魔化そうったって今日こそはそうはいかないよ?」
「別に誤魔化してるわけじゃないぞ?」
引き篭もりの癖にどっからそんなエネルギーが湧くんだと言いたくなるほど、雀も脚の回転数をぐっと上げた。昨日の味方は今日の敵だ。身近に最も厄介な敵がいた。
「――ここに居たか寺島将生」
最近聞き慣れた声に急ブレーキをして振り返ると、すらっと背の高いブレザーの男子生徒が立っていた。息を切らした様子が無いのを見ると、他の生徒と違って寺島が隠れている居場所を推測してやって来たらしい。
「昨日ぶりです修一さん……」
下手くそな愛想笑いで応えると、無言のまま修一が歩いて向かってきた。
襟元に留められたK18の相談係を証明するグランディディエライトのバッジが揺れて半透明に青く艶めく。
2号館の四階。無言で迫りくる『純金』の生徒。どこか既視感のある光景だった。
「今日はどのようなご用件で……? もしやまた『決闘』ですか?」
「いや、そうではない。君に伝えなければならないことがあって来た」
修一の力強い眼差しが寺島を見詰める。
と思うと、いきなり寺島の視界から衝突寸前まで近づいた修一の顔が、消えた。
「昨日の件、誠に申し訳なかった……!」
視線を下げると、見上げるばかりだった修一の頭部が寺島の腰辺りに来ていた。毅然たる態度で他を圧倒する瀬崎修一が限りなく直角に近い形で旋毛を寺島に向けていた。
「な、なんですか突然! 逆に怖いです」
「脅迫状の件……昨日、妹からすべて聞いた」
修一は雅さまとは呼ばなかった。
「……母が亡くなった時、雅はまだ5歳だったんだ。父は仕事で忙しく、両親の代わりを私が務めねばと、ずっと妹に身を尽くしてきた。ただ、私が妹に対して良い兄であろうとし過ぎたがゆえに、妹は私に気を遣い、遠慮をさせていた」
それは昨日、雅が言っていた事だった。兄には心配をかけたくなかったと。
「土曜日の出来事など、私が妹からはっきりと事情を聞けばよいものの、君に聞いた方が早いと勝手に判断し、君の元へと向かった。最初は君が何かに妹を巻き込んだと思っていたが、それは全くの反対だった……。君は妹を救ってくれた」
顔を上げた修一の額は血が上って赤く染まり、妹の命の危機に何も出来ない自分を責めるように、顎の筋張った筋肉が浮き出るほど奥歯を噛みしめていた。
「……俺も分かってくれれば別にいいんですけど」
「そうか……さすがはK24の相談係だ。それと、君の『決闘』の要求についてだが――」
それはヤバイ。あれはその場のノリで、と言い掛けた所で、寺島の手が岩のようにごつごつとした漢の両手にがっと勢いよく包み込まれた。
「うわっ、ちょっと!」
「ああ、言わずとも分かっているさ、寺島将生!」
修一の瞳が輝いて眩しい。だめだこの人、絶対に分かっていない!
「BL……」
となりの三つ編み眼鏡少女が囁いたのを寺島は無視した。それよりも今は、次の言葉を紡ごうと開きかけた修一の口をどうにか閉ざさなければならない。
「悪い虫は全員排除する予定だったが、君のような男なら雅を任せても良いと私は夜な夜な考えて決断を下した。兄公認の男だぞ、寺島将生っ!」
「え、あ、ちょっとそれは違いましてね。あの時はノリというか……」
「海苔? 君は海苔が好きなのか?」
「今の会話で海苔が出てくるわけないでしょ! どんな思考回路だ!」
「とにかく、私は君と雅さまの交際について心から認めよう」
「俺は別に交際する気は――」
どことなく冷気が漂うのを感じ、カクカク機械のように首を動かす。横目でとなりを見ると、三つ編みのおさげ髪を揺らしながら、雀が虚ろな目で禍々しい呪文を唱えていた。
「て・ら・し・ま・死。て・ら・し・ま・死。て・ら・し・ま・死…………………?」
額に一筋の冷たい水が滴り落ちた。この状況はとにかくマズイ。
「す、雀? これには訳があってだな……?」
と寺島が言い訳を始めた所で、雀が爆発した。
「うがあああ! もう知らない! 寺島氏なんて知らないもん! ばかばーか! 一か月は口利いてやんないもんねーだっ! バカバカBAKA!」
突如として怒りが噴火した雀が、寺島に渾身のあっかんべーを喰らわせると、鼻息を荒くして勢い良くぐるっと踵を返した。怒っている時に必ず雀が取る仕草だ。
「とにかく落ち着いて話を聞いてくれ! 誤解なんだよこれは!」
「ふんっ! もう寺島氏には絶対昔の名作DVD貸してやんないもんね!」
両手で寺島の悪い所をひっきりなしに数えながら、がに股で雀が渡り廊下を通って1号館へと帰ってゆく。
雀が二週間と宣言したら、一週間は確実に口を聞いてもらえない。
これまでの口を聞かない宣言で一か月は最長だ。三週間は何を言っても無視される。付き合いが長いせいで大体何日経てば許してもらえるのか分かるようになってしまった。
「まあ、ゴールデンウィークが明けたら事情を説明しよう……」
雀の後ろ姿を見送った後、短く息を吐いて寺島は修一に向き直った。
「あの、修一さん。手、離してもらっていいですか」
「おっと、なんだかすまないな」
やっとごつい感触の手が離れた。寺島も全部あなたのせいだぞとは言い切れない。
「そうだ、寺島将生。君がゴールデンウィーク明けまで私の家に宿泊することは聞いた。君が何か協力してほしいことがあれば、私はその間、何でもしよう」
「はい……それは助かります」
「気は抜けないが、私が悲観していては妹も塞ぎ込んでしまいかねない。予告はゴールデンウィーク明けの日だろう。その日は二四時間体制で私は妹を見張って、妹を危険に晒す可能性の者が現れたら私は躊躇なくそいつを――殺す」
修一の鋭い眼光は、決死の覚悟を固めているように見えた。
「はい。俺も残り数日で何か《催眠術師》に関する手掛かりを探しますよ」
「私は君に感謝してもしきれないな」修一が整った顔に微笑みを浮かべる。
「そんなことはありません。俺もこの件に関して部外者ではないので」
表情を消した低い声で寺島が言った。
修一は腑に落ちなかったのか、首を捻るも、寺島がそれほど雅を心配する気持ちが強いのだと解釈し、寺島将生という男の信頼を一層厚くした。
「私は教室へ戻る。ではゴールデンウィーク初日に待っているよ」
修一は上品な仕草でK18の相談係を証明する宝石バッジとネクタイを直すと、来た道を引き返した。剣術で強靭に鍛えられた背中が、一本の太い幹に見えた。
そうだ、と廊下の途中、何かを思い出したのか修一が背を向けたまま振り返らず足を止めた。
「寺島将生、そういえば一つ気になっていたことがある」
「どうしてんですか?」
「――『決闘』の最後、君は私に何かをしたか?」
外の裏庭から、小鳥のさえずりが聞こえる。まだ頂上に昇ったばかりの太陽が一瞬傾いて、足元の影を伸ばした気がした。暗く、深い影だ。
「あの、修一さん……なんのことです?」
寺島は蟀谷を掻いて首を傾げた。
「いや、分からないならいいんだ。私の気のせいだ。忘れてくれ」
修一はそれだけ言い残して、白光する廊下を渡り切ると階段を下りて行った。
節電のため、2号館の四階はシャンデリアの電気が消されている。窓を開けて裏庭を覗くと、木々に止まっていた小鳥が一斉に飛び立った。
この時、己の『主』である飛鳥馬雀と顔を合わせる最後の機会になるかもしれないことを、相談係である寺島将生はまだ知らない。
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