金が城高校相談係 ~影踏みの催眠術~
しのぐ
序章 回顧録
何が怖いかと聞かれたら、
『人間』と答えてしまうのはあの日を経験した性か――。
七年前のあの日。《催眠術》に掛けられた人々は街中で暴れ狂った。
世界は灰色に染まり、家屋は倒壊し、旅客機はビルを貫く。窓は割られ、電柱はなぎ倒され、車は警報音を響かせる。
血を流し、泣き叫び、逃げ惑う。白と黒が混ざって濁って灰色へ。
あの日、人災が天災を超越した。
信じられなかっただろう。人間だけがそれを起こしたとは。
「望みなら失ったものをなんでも君たちに返してあげよう。何が欲しい?」
神が尋ねた。その代償すら口にせず。
ひとりは『悲しみ』と答え、ひとりは『妹』と答えた。
「そうか。なら、今日から君たちの『悲しみ』と『妹』を預かろう。そして君たちが責務を果たした時にそれを返す。今の君たちはもう『悲しみ』と『妹』を失った」
ふたりはありがとうございますと言った。
七年前のあの日、東京の半分が破壊、崩壊された。
地球外生命体が地球を襲ったわけでも、人間同士の戦争が勃発したわけでもない。起こったのは《催眠術師》による反乱。
――《戦慄の水曜日》である。
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