6.ホテル

(ホテル駅近だけどどーこだ)


俺は今回奮発して1泊で1万を優に超える素晴らしいホテルに宿泊するのだからホテルも満喫したい。周辺地図を参考にホテルの場所を特定して俺はその場所に向かった。


(ん―場違いだ)


ホテルに入ったのだが流石は1泊1万を超えるホテルだ。雰囲気が違う。俺はふと自分の服装を確認した。それはなぜか。明らかにいい役職のサラリーマンやお上品な老夫婦、はたまた家族連れなどが散見している。その人達と明らかに私は違うところがある。服だ。

しっかりと俺の今日の服装を紹介しておこう。Tシャツ古着、デニム古着、スカーフ(古着屋で購入)スニーカー、リュックサックだ。ここまでカジュアルにステータスを全振りした服装も珍しいもので、動きやすさを重視した結果こうなっている。TPOに反している。確実に大学生がのほほんと来ていい居場所ではない。

例えるなら学校で教室の扉を開けたら自分の教室じゃなかった時ですかね。恥ずかしいでしょう。場違いを感じるあの感覚に近きものを感じる。


(嫌だ!俺の馬鹿ん!)


あまりの場違いさに我を少し失ったところでとっとと荷物を預けよう。


「あのー」


俺はロビーにいるホテルスタッフに声をかけた


「はい!宿泊予定のお客様ですか?」


凄い、、、これぞおもてなしの国ジャパン。きっちりと教育されているのであろう。接客は完璧なのだと初対面でも感じさせる。素敵な空間もスパイスとなって相乗効果でそう思わせているのもあるだろうが、凄い方達だなと考えさせられる。俺にはできない絶対。


「あ、はい。荷物を預けたくて」

「かしこまりました。お連れ様は」

「1人です」

「、、1人ですか!かしこまりました。」


(ホテルマンさん一瞬固まりましたよ。笑顔で一瞬固まりましたね。はい。言いたいことはわかります)


確かに周りを見ても俺みたいな大学生が1人でいるのは見当たらない。


(普通は連れがいると思いますよね。安心してください。おかしいのは俺ですので、ホテルマンのお姉さんは普通の反応ですよ)


「では、受付で書類を記入しますのでこちらに」


俺はこのまま受付に通された。


「宿泊予定を確認いたしますのでお名前をお伺いしてもいいですか」

「あ、はい。xxxxです」

「xxxx様。はい、xxxx様本日宿泊お1人、、、お1人様で宿泊承っております」


(大丈夫です。合ってます。明らかに今確認しましたよね本当に1人かどうかをパソコンで。そんなに珍しいのか?結構1人旅は流行ってるだろう)


原因は服装にもありそうだがそんなことは気にしてられない。俺は諸々の説明を受けて鞄を預けた。これでリュック1つになった。相当軽くなったので動きやすい。


「では、いってらっしゃいませ」

「はい。荷物お願いします」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る