37.旅の終わり

現在

 

(懐かしい。結局二週目は良い写真は撮れなかったんだよな)

 

 俺は懐かしい気持ちに駆られている。今回は伏見稲荷大社には行かなかったので尚更思い出すと面白い。後から聞いた話だが、伏見稲荷大社に行って「狐」を持って帰ってしまったということを聞いたことがある。いつも大人しい猫がやけにその人に威嚇してしたらしい。面白い話だ。あやかしかな。こういった非科学的な話も京都には多そうだ。

 他の写真では嵐山の写真が印象的。アホみたいに前回も嵐山に行っているらしい。

 

(いや、どんだけ行くねん)

 

 他にも行っているところはあるものの前回はどうやらあまり写真を撮っていない。見返すものが無くなったので今回の旅を思い返すことにする。

 

(楽しかった。本当に)

 

 来るときのあのおじさんは驚いた。滅茶苦茶席が空いている新幹線でなぜか隣におじさんがいた事件。最初からとんでもなかった。そして、到着してからホテルであまりにも場違いをしてしまい恥ずかしい思いをした。あんな思いはもうしたくない。

 

(んで、最初は東福寺か)

 

 京都駅から近いという理由で選んだ東福寺。行ってよかったなと思う。

 

(あの橋は素晴らしかった)

 

 次は嵐山だ。ここは元から好きだったので工程はスムーズだった。祇王寺は大好きだし二尊院も好き。なぜか常寂光寺には寄らなかったけどもあそこも行けばよかった。竹林では迷子になり、渡月橋から駅までの長距離を歩くと。

 

(ハードだったな)

 

 京都駅に戻って東本願寺を見てホテルへ。夕食を終えて一日目は終了。

 二日目は豪華な朝食を食べて南禅寺へ。ほとんど水路が目当てだったので南禅寺に行ったというよりも水路に行ったようなものだった。堪能して次は永観堂へ。ここら辺でしっかりと疲れが出てきた。見たものは面白かった。山の斜面にそって作られたお寺で、エレベーターがある不思議なお寺。そして、バスを降り過ごして1駅分歩いて青蓮院門跡へ。美しい庭園を眺めたり蜂に襲われたりして大変だった。円山公園で休憩をして八坂神社へ。その後祇園を経てこのスタバで最後を迎えているわけか。

 

 あと1時間近くはこのスタバにいても大丈夫そうだが、お土産を買うことも考えると超長居はできない。もう本当に終わる。

 

(果たして俺は成長できたのだろうか)

 

 1人旅は成長できると聞く。そんなものを意識して旅に来ているわけではないものの、成長できるのであれば成長していたい。大学生の内に1人旅をできてよかった。若いうちに旅をするのが大事だということもそうだが、こんな金の無い状態で旅をするなんて学生でないとできない。調子にのっていいホテルとかに泊まったりはしているが、社会人よりはお金はない。楽しむのにお金は必要だが、貧乏旅でも楽しめることを経験できるのは残念ながら学生時代のみ。学生時代は限られているが、暇な時間は沢山ある。誰もがやっている趣味よりも人と変わっている趣味を見つけれるのは時間のある学生の特権。時間があるのだから。

 

 特に大学生なんて暇なことが多い。だから俺は1人旅を趣味にしている。1人旅をしている人なんてちらほら見かけるけどもメジャーなものではない。これが俺のアイデンティティだと声を大にして言える。そんなものが大学生の間に見つけられたことはよかった。

 

(んーコーヒーが上手い)

 

 旅終わりのコーヒーはまた染みる。大学生生活勉強だけするよりもこういうことをした方が視野は広がるかなとも思っている。俺はそれがたまたま1人旅だっただけ。それぞれ何かしら自分にあったものがあるだろう。とりあえず俺は生涯1人旅の経験を忘れない。

 そう思えるものがあってよかった。

 

(さて、新幹線まで待とう)

 

 俺はコーヒーを飲んで二日間の思い出に浸った後、新幹線で東京へと帰った。

 

 次はどこに行こうか!

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