7.東福寺

時刻は10時半過ぎといったところか。ここから大体お寺が閉まる16時から17時くらいまで満喫してホテルに戻るとしよう。最初の目的地は決まっている。その場所は「東福寺」。早速向かうために俺は京都駅へ戻った。東福寺選んだ理由の1つは京都駅からのアクセスのしやすさと近さもある。奈良線で僅か3分ほどという好立地。これは行かざるを得ない。


俺は京都駅に戻りJRの改札を通った。奈良線が乗らなければならない電車であり、駅の中では端の方にあるホームなので少々見つけにくい。


「間もなく発車します。お乗りの方はお急ぎください」


(やばいやばい。1人旅において時間ロスは避けたいな)


待ち時間はできる限り避けるのが効率よく回るうえで大事なこと。俺は小走りで電車に乗り込んだ。


(ふぅ、危ない)


俺が乗って間もなく電車の扉はしまった。発車したが乗車時間たったの3分なので座ることはない。ネットニュースなどを見ていれば時間は過ぎる。乗っている人は地元の人も多いようで観光客だけではない。地元民と観光客の共存こそ観光地で理想のあるべき姿だと俺は思う。景色は少々京都らしい趣を感じる街並みか。川と山の景色での共演がそうさせているのかもしれないが、やはり京都を感じればテンションは上がる。


「次はー東福寺」


このように本当に早く着く。俺は東福寺で下車した。改札を抜け、やや入り組んだわかりにくい出口に吸い込まれて駅から出た。


(ん~なんか古い)


古都京都で何を言っているのだと思うかもしれないが本当のことだ。言い換えればレトロな街並みということになる。室町時代などの建物が鎮座する街で「古い町並み」という言葉は矛盾が生じてしまうのでややこしい。この駅の駅前は道が少々狭く、道路の両脇に年季の入った店が並んでいる。だからレトロだと感じるのだ。ここだけ昭和と言われても信じてしまうかもしれない。こんな駅前を右に曲がり東福寺を目指す。


古いのは駅前だけで東福寺に近づくと「整備された古さ」は姿を現す。駅を右に曲がり、途中今度は左に曲がるのだがそれを直進すると上り坂が現れる。ここからが「整備された古さ」なのだ。道路は整備され両脇には石垣や白塗りの壁。情緒漂わせる和の雰囲気。


(これぞお寺!これぞ和!絶対に地元では味わえないなこれ)


この壁沿いに進めば東福寺に到着する。進んでいく中で何人か抜かしたが彼ら彼女らは両脇の石垣や壁の写真を撮っていた。


(気持ちはわかるぞ。だが、俺はそんなに壁を綺麗に撮る自身はないからな。今回はスルーさせて頂く)


徐々に近づいてきたようで、木の橋を渡ると世界観が変わる。砂利道になり両脇には樹齢が高そうな木々が立ち並ぶ。小鳥のさえずりなども聞こえてきて一気に「東福寺」の存在を知らしめられる。そんな世界に浸っていると門が現れる。これが東福寺の入り口だ。ここでは入場料を支払わない。俺は今回の旅の目的地1つ目「東福寺」に足を踏み入れた。

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