32.蜂…そして八坂神社へ

(ここはあまり来たことないから発見も多かった。満足満足)


だだっ広い駐車場に戻り、俺は自販機へと一目散に向かった。疲れた体には甘い物という考えで飲み物を買うことにしたが、俺は「リアルゴールド」から目が離れない。なので、リアルゴールドを購入した。


「ガコン!」

「よし」

「プシュッ」

「ゴクッ」

「美味ッ」


この疲れた体にエナジーは刺さる。ベンチは無さげなので、自販機横の壁に寄りかかって休憩を取っている。そして、目の前にとんでもないものが現れた。


「ブゥゥン」

「え?」


嫌なものと目が合った。


(ぎゃっあぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!)


蜂だ。しかもでかい。


(いやぁぁぁぁぁ。急に現れんな!)


直ぐに逃げた。距離を取って警戒しながら休憩を続けたがあることに気が付いた。


「ロイヤルゼリー配合」


リアルゴールドにそう書いてあった。ロイヤルゼリーはハチの巣から取れる蜂蜜の一種。


(え、何。俺蜂に恨まれた?怖!)


不可抗力だが蜂が怒るのも納得。目の前で蜂蜜飲んでいるのだから。俺は怖くなって早めに飲み干した。そして、捨てるのだが生憎自販機の近くにしかゴミ箱はない。また蜂に近づいていかないといけない。嫌だ。


(嘘だぁぁぁぁ)


仕方がないのでゆっくり近づく。ある程度近づいたところで蜂が遠のいたことが確認できた。


(チャンス!)


この隙を逃さずに缶用のごみ箱へ空き缶を入れてその場を去った。そのまま青蓮院門跡を出た。


目の前にあるカフェらしきものには寄らないが気になりはしているので、次回来た時に寄るかもしれない。カフェは単純に多すぎるし、一度入ると長居するので安易には入らない。入りたい気持ちを押し殺すためのいいわけではある。そのカフェを真正面に見て左に曲がり「どこか」に行くことにする。


(確かこっちに行けば八坂神社だったはず多分)


道の雰囲気的には南禅寺から永観堂に通った道と似ている。似てはいるものの、こちらの方が木々は高々と生えているので、自然っぽいと言えば自然っぽい。和風の家屋が右に連なり、左に木々が立ち並ぶ。その木々の奥にはお寺がずっと続いている。青蓮院門跡ではないはず。なので、なんのお寺なのかはわからない。


(あれぇ、入り口あったっけ?)


もしかしたら入り口がどこかにあったのかもしれないが、なんせ歩道は右側にしかない。左側には歩道がないので自動的に右に視線が向いてしまう。このまま真っすぐ進んで行くと謎に大きいT字路に突き当たる。このT字路から道が急に開ける。


(あ、道大きくなった。うお!なんだこの門!)


視界が開けたところで左側に大きな門が現れた。なんなんだろうこれは。門に何か書いてあるもののこの距離では見えない。


(でかい!以上)


あえて寄るのも面倒くさいので、俺はこのまま突き進む。


歩道がしっかりと整備され、ガードレールがついているような立派な歩道を歩いている。左側には相変わらず何のお寺かわからないものがずっと続いている。右には木。あんまり景色変わらないのでちょっとつまらない。


(あぁぁぁぁぁ)


脳で考えることを放棄しひたすら歩き続けた。


(お、なんだこれは)


いきなり門が現れて、その門から覗いた景色は明らかにほのぼのとしたある光景。いわゆる公園だ。八坂神社に行く前にここへ寄り道するとしよう。


(面白いな~こんなところに公園あるなんて)


俺は門をくぐった。

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