★★★ Excellent!!!
甘い痛みと苦い悦びが織りなすボーイミーツガールストーリー…… モブ モブ夫
読者諸兄姉の諸君はビールを嗜まれるだろうか。
中にはビール特有の苦みが苦手、と云う方もおられるかも知れない。
しかし心配は御無用。
フルーツビールなるモノがある。
※日本では酒税法の関係で発泡酒、その他の発泡性酒類(第三のビール)に分類される事がある。
御了承頂きたい。
フルーツビールとは、麦芽やホップといった本来の原料に果物の果汁や表皮、フルーツシロップなどを加えて醸造されるビールの事だ。
ほのかなフルーツの香りと甘味が特徴的で、普通のビールは飲めないがコレなら大丈夫と云う方も多い。
今回御紹介するのは、まさにフルーツビールの様な作品である。
作品の舞台は神々と人間が共に暮らす世界。
神々が住まう都市『ヘヴン』からは、絶えず廃棄物が垂れ流されていた。
その汚物にまみれたゴミ捨て場『インフェルノ』に、一柱の豊穣神が迷い出る所から物語が始まる。
物語の筋道は解り易いボーイミーツガール路線なので戸惑う事は無いだろう。
メインキャラクターが織りなす淡い恋愛(未満)模様が本作の甘さと云える。
だが本作はあくまでもフルーツビールである。
どれだけ甘かろうとも苦みは切り離せない。
そしてその苦味こそが、本作を佳品に押し上げていると言っても過言ではない。
その苦味とは独創的な世界観、作中キャラクターの生い立ち、壮大な伏線が張られた筋書きなのであるが、…
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