第12話 VSテイマー②
ミノタウロスを取り込んだテイマーがその膨張した巨大な腕でパンチを放ってくる。きっと普通の人なら当たれば即死するくらいのレベルだ。そのパンチを半身になって軽々と避けながら、僕はテイマーを殺さないように注意してパンチをしてきた右腕を切り落とした。
「ブモォォォ!!!」
腕を切り落とされた痛みと怒りでがむしゃらに攻撃を仕掛けてくる。僕はそれを避けながらテイマーの懐に入り、ミノタウロスとテイマーを分離して元に戻すために回復魔法をかける。
『パーフェクトキュア!」
状態異常なら何でも治すことができる魔法をかけてみたけど変化はなかった。テイマーが蹴りを放ってきたのでそれを短剣で受け流し、両足を切断した。これでテイマーはこれ以上暴れることはできない。ミノタウロスには再生能力があって手足を切断してもまた再生するのだが、僕は短剣に火魔法を付与して切断面を焼いていたのでそう簡単には再生できずにいるのだった。
テイマーの唯一残っている左手には呪われた契約の指輪が黒い魔力を放っている。回復魔法が効かなかったとなるとやはりあの指輪をテイマーから分離するしかないだろう。
最初から目星はついていたのだが、あの御方とやらがまだ呪われた装備を持っていてもおかしくないし、巻き込まれた人が理性を失った時に腕を切り落として装備を分離させる以外に何か方法がないか探っていたのだ。
「これで元に戻らなかったら残念だけど殺すしかないな。」
そう呟き、僕はテイマーの左腕を切り落とし、呪われた指輪をアイテムボックスにしまった。すると、テイマーの膨張していた体はみるみるうちにしぼんでいき、最終的には四肢がないミノタウロスと、その横に意識のない無傷のテイマーが現れた。どうやら合体中のダメージは魔獣側が負うみたいだ。どちらもまだ死んではいないようなのでミノタウロスにはサクッととどめを刺し、テイマーは無属性魔法で生み出した縄で拘束した。
「さて、残りの魔獣を片付けてっと。僕の仕事はここまでかな。後は父上とウォーレン公爵にお願いして情報を聞き出してもらおう!」
辺りに転がっている魔獣をアイテムボックスに全てしまい、拘束したテイマーと共に最初に公爵と会った場所まで転移した。
***
レオがテイマーと戦う少し前、ラルフやウォーレン公爵、ディーナの乗る馬車では、
「いやはや、道中お世話になりますぞ、ルイディナ夫人。」
「えぇ。ウォーレン様もご無事で何よりです。」
「どれもこれもレオナルド君のおかげですよ。彼が来てくれなければ我々はこの世にはもういなかったでしょうな。」
「オークの上位種もいた群れ相手に単独で無傷で殲滅するとは。魔の森でどれほどレベルを上げたのか……。帰ってきたら聞かないとな。レオのやつ絶対、俺との約束破って奥に進んだだろうしな。」
そう言うラルフの顔には黒い笑みが浮かんでいた。
「まぁ!それほどまでレオは強く……。なら、心配は必要ないかもしれませんね。」
「あぁ。今のレオなら簡単には死なないだろう。それに、あれだけ釘を刺せばあいつも無茶はしないだろう。まぁ、今のレオと戦っても俺が勝てるとは思わないしな。」
「「えっ!!」」
ラルフの衝撃的な告白に2人は驚きの声をあげた。
「まさか、ラルフにそこまで言わせるとは。同じくらいの子たちと比べても頭一つ強いとは思っていたが……。」
「あぁ。おそらく瞬殺だろうな。俺でもレオが本気を出したら、1分持つとは思えない。」
「やはりな。このことは早急に陛下にお伝えしなければいけないな。レオナルド君のためにもね。」
「俺もそのつもりだった。今年はレオの社交界もあったからな。その後で陛下とレオを会わせるつもりだった。」
「なんと!レオナルド君はまだ5歳なのか!小さいなとは思っていたが……。その若さで騎士団長を超えるか。」
「それにワープまでできるしな。ホントに規格外だよ、レオは。」
馬車に乗っている3人はレオの規格外な強さに呆れつつも、将来有望なレオに期待を膨らますのだった。
______________________________
【あとがき】
ここまで読んで下さりありがとうございます。
ついに父を超えましたね。
これからもどんどん強くなってく予定です。
次回をお楽しみに。
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