第11話 VSテイマー①
魔の森に着いた僕は索敵に大きな魔獣の反応が多数集まっている場所があった。そこにテイマーがいるのだろう。また、幸いなことに行く道中には魔獣の反応が1匹もなかった。おそらく、テイマーが片っ端からテイムしていったのだろう。僕はテイマーのもとへと急いだ。
***
僕が魔の森にワープする少し前のこと、森の奥に怪しい男の姿があった。男の周りには、人の背丈の何倍もある魔獣が囲むように立っていた。
「まったく、あの御方も人使いが荒いぜ。いきなりやってきて宰相を殺せとは…。こっちにも準備ってもんがあるんだよ!まぁ、宰相が通る道の近くに魔獣の溜まり場があったからよかったけどな。追加報酬ってとこか。クハハハハハハ!」
男が笑うとそれに反応して、周りにいる魔獣たちも咆哮をあげた。
「「「「「グガァァァァァァァァ!!!」」」」」
「うるせぇ!ったく、それにしてもオーク共の反応がないな。しくじったか?調査ではオーク共を倒せるほどのやつはいなかったはずだが。冒険者にでも助けられたか?まぁいい。また次を送ればいいだけだからな。お前らはしくじるなよ?」
「「「「「ウォォォォォォン!!!」」」」」
ウルフの群れがそう叫ぶと、次の瞬間にはそこにウルフ達の姿はなかった。
「それにしても、あの御方から貰った魔道具はすさまじいな。これがあれば遠くから魔獣共を送るだけだから、俺が戦わなくていいからな。」
そう言う男の手には黒く輝く指輪がはめられていた。
***
反応のある方へ進んでいると、遠くに大きな魔獣が見えた。さらに近づいてみると、魔獣達は何かを守るように辺りを警戒しながら隊形を組んでいた。おそらくあの中心にテイマーがいる。
今すぐ飛び出しても何の問題もないのだが、できるだけ情報を得てからにしようと思い、草陰に隠れてテイマーたちの動向を観察する。
今回の襲撃はテイマーの単独犯ではないと思う。テイマーが貴族かどうかはわからないが、宰相の日程を詳しく知れるような立場の人間なら、父上や宰相本人が思いつくだろう。つまり、テイマーにはそれなりの地位を持つ協力者がいるとみて間違いないだろう。
そんなことを考えていると、魔獣が少し動いたおかげで今まで見えなかったテイマーの姿が、見えた。姿が見えるのでまずは鑑定してみる。
〈ステータス〉
【名前】ガンド
【種族】人間 【性別】男 【年齢】28歳
【称号】テイマー
【レベル】45
【HP】1800/1800
【MP】1500/1500
【スキル】
テイム 意思疎通
やはりテイマーだった。だが、これだけではやつがテイマーという情報しかない。他に特徴的なものがないか注意深く見ると、右手に黒い光を発する怪しい指輪を発見した。その指輪からはガンドのMPからしてはありえない量の魔力を放っている。鑑定してみると、
〈呪われた契約の指輪〉
契約した者を任意の場所に転移させる。また、契約した者を取り込むことで自身の力を大幅に上昇させる。契約者の成長補正中。
とんでもないものだった。普段はいない場所にオークが現れたのも、この辺りに弱い魔獣を見かけなく、強い魔獣ばかりなのも全部あの指輪のせいだ。取り込むという表現はいまいちピンとこないが、テイマーの切り札かもしれない。
とにかく、情報は十分得たし、あとはあの指輪を持って帰って父上に報告だな。そう思うと僕はさっそく行動に移した。
まずは、周りにたくさんいるゴブリンキングや、オークジェネラル、キングウルフなどを殲滅することにする。大量の魔獣を一体、一体相手にするのも面倒くさいので広域魔法で一気に仕留める。
『ロストエアー』
僕が考えた魔法の一つで、指定した範囲の空気や魔力などの空気中にあるすべてを遮断する魔法だ。欠点は味方も影響を受けてしまうことだが、ここには敵しかいないのでぴったりだな。
魔獣達は突如、苦しみ始め、生き途絶えていく。残っているのはテイマーとその周りを囲んでいたウシ型の魔獣、ミノタウロスが5体だけになった。僕はあえてこいつらをロストエアーの範囲から外した。理由はテイマーを追い詰めたら、意味がよくわかっていない、切り札であろう「取り込む」を使ってくれると思ったからだ。
テイマーはこの状況にとても混乱していた。
「ど、どういうことだ!何があった!なぜゴブリン共は死んだんだ!?誰だ!どいつが俺の邪魔をした!?」
「僕だよ。」
「はぁ?なんでガキがこんなところにいる?今はそれどころじゃないんだ!死にたくねぇならここから消えろ!」
「だから~、やったのは僕なの。信じてくれないなら……」
僕はそう言うと、短剣を抜き4体のミノタウロスを屠った。
「これで信じてくれた?」
「な!!!ミノタウロス4体を一瞬で!!!てことはてめぇだな。オークやウルフを倒したのは。俺の計画の邪魔をしやがって!!!あの御方に逆らったらどうなるか教えてやらないとな。」
「そのことで聞きたいんだけどさ。あの御方って誰?」
「へっ、安心しろ。そんなこと知らなくても、いまここで死ぬんだからな!てめぇがどんなに強くても俺の奥の手には敵わない。喜べ!これを使うのはてめぇが初めてだ。誇りながら死んで行け!」
御託はいいから早くやってくれないかなと、思っているとテイマーの体に残しておいたミノタウロスが文字通り、取り込まれた。テイマーの筋肉がミノタウロスのように膨張し、頭には2本の角が生えていた。確かにミノタウロスの何倍も強いと思うが僕の敵ではない。しかし、想定外のことが起こった。
「ブモォォォォォォォォォォ!!!!」
理性を失っていた。後で連れ帰ってあの御方と呼ばれるやつについて再度、聞こうと思ってたのに。殺さないで倒して回復魔法で元に戻るかな?などと考えつつ、僕VSテイマーの戦いが始まった。
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ここまで読んで下さりありがとうございます。
更新が遅くなってごめんなさい。
学校があるので遅くなるかもしれませんが近いうちに更新できるように頑張ります。
これからも読んで下さると幸いです。
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