第10話 王都へ②

「これは…なっ!ウォーレンじゃないか!どうしてここに?」



「領地に一度帰っていたところに陛下から魔の森周辺に魔獣が多数出現しているから、帰りがてら調査してくれといわれてね。」



「宰相に対しても人使いが荒いな。陛下は。」



 なんと、ウォーレン公爵は宰相だった。それと、話を聞いていて疑問に思ったことを聞いてみた。



「この辺りではオークなどは普段現れないのですか?」



「あぁ、この辺りは魔力の濃度が魔の森に比べて薄いからな。普段なら、オークの群れや、まして上位種など現れないはずなんだ。」



 父上がそう教えてくれた。

 すると、こちらに猛スピードで迫ってくる魔獣の群れが魔力感知に引っかかった。



「父上、ウォーレン公爵!また、魔獣の群れがこちらに向かってきています!」



「なんだと!こんなのおかしいぞ!」



「魔獣の詳しい情報が知りたいとこですな。」



「なら、僕が魔獣の姿が見え次第鑑定します!」



「そうか!レオは、鑑定が使えたな!よしっ、俺が魔獣どもを引き付けるからレオはその隙に鑑定してくれ。」



 父上はそう言うと腰にさしてある剣を抜いた。



「私たちも戦いますぞ!」



 先ほど全快した兵士の隊長が話しかけてきた。



「いえ、いくら回復魔法を使っても失った血はもとには戻りません。ですので、ウォーレン様や僕たちの馬車の護衛をお願いできますか?」



「わかりました…、私たちはお二人が安心して戦えるように、護衛をしています。」



 そうこうしているうちに、魔獣の姿が見えてきた。今度はウルフ系の魔獣みたいだ。見る限りだと50匹くらいはいそうだ。



「では、頼んだぞ!レオ!」



 そう言って父上が魔獣に突っ込んでいった。今のうちにと思い、群れのリーダーっぽい狼を鑑定してみる。



〈ステータス〉

【名前】キングウルフ(テイム)

【HP】8600/8600

【MP】5900/5900

【スキル】俊敏 風魔法 統率



 なんと、テイム状態だった。ということは何者かがウォーレン公爵を亡き者にしようとしていたようだ。このことを、急いでみんなに伝える。



「みなさん!この魔獣たちは全員テイム状態です。何者かが操っています!」



「「「なっ!!!」」」



 戦っている父上やウォーレン公爵、兵士たちから驚きの声が漏れた。



「なるほどなっ!テイムされているならっ、この量にも納得がいくっ!」



 父上が戦いながら答える。さすがの父上でも50匹を一人で相手するのはきついみたいなので、助けに入る。



『ロックバレット!!!』



 無数の石のつぶてがウルフたちを襲い、体に次々と穴を開けていく。



「助かった!レオ!」



 父上はそう言うと、最後に残ったキングウルフの首を落とした。

 戦い終わった父上が、



「ウォーレン。お前は急いで王都の王城に戻った方がいい。こんな開けた場所にいつまでもいれば、格好の的だ。」



「そうしたいんだが、馬車がな……。」



 ウォーレン公爵は半壊している馬車を見る。



「それならうちの馬車に乗ればいいさ。護衛もできるし、行先も同じだからな。」



「すまない。助かるよ。」



 ウォーレン公爵と父上はそう言って馬車に乗り込もうとする。

 


「待ってください。」



 僕はそう言って二人を呼び止めた。僕は二人が話している間、魔獣をテイムしたテイマーの位置を探っていた。魔獣に残るかすかなテイマーの魔力を頼りに魔力感知で探したが、半径5キロ圏内にはいないようだ。

 何とかできないかと考えていると、



《スキル「気配察知」を獲得しました。したがって、「魔力感知」と統合し、新たにスキル「索敵」を獲得しました》



〈索敵〉

 自分に対して悪意を持つ者、または特定の人物を魔力をたどって場所を特定することができる。



 ここで新たなスキル「索敵」を獲得した。これできっとテイマーの位置がわかる。さっそく使ってみると、魔力の発生源は魔の森の奥だった。しかし、僕は一度魔の森の奥にはいったことがあるので時空間魔法でワープできる。



***



 と、いうことがあったので二人にわかったことと、僕がワープできることを伝える。



「なんだと!お前、ワープまでできんのか。つくづく規格外だな。」



「本当ですな。ですが、テイマーを捕まえれるならそうして欲しい。常に狙われ続けるのもきついのでな。頼む!命を助けてもらって図々しいかもしれないが、お礼は必ずする。どうか頼む…」



「本当は俺も行きたいが、ディーナを危ない場所に置いてくわけにもいかない。だから、必ず無事で戻って来いよ。最悪なのはレオが死ぬことだ。レオの強さは今日改めて感じたが、くれぐれも母さんを悲しませるようなことはするなよ。」



「はい!父上は先に王都へ向かってください。必ず追いつくので。」



「あぁ。気を付けろよ。」



 父上のその言葉を聞き、僕は魔の森の奥へワープした。



______________________________

【あとがき】

ここまで読んで下さりありがとうございます。

なかなか白熱してきましたね。

テイマーとのバトルはどうなるのか。

お楽しみに。

これからも読んで下さると幸いです。

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