第13話 報告
僕は父上と別れた地点まで気絶したテイマーと共にワープした。
「ふぅ、父上達は結構遠いなぁ。魔の森で時間かけすぎちゃったな。まぁ、5分くらいで追いつくだろ。」
僕はそんなことを考えていたが、実際は魔の森での戦いはそんなに時間はかかっていなく、ラルフ達の馬車が結構進んでいるのはいち早く王都に戻るために、休憩もはさまずに馬を飛ばしているからであった。それに、その距離を5分で追いつくレオの速さが異常なのだった。
身体強化を使い、テイマーを引きずるようにして道を進む。しばらく走っていると、父上の魔力感知の範囲に入った。きっと父上も僕のことを感知しただろう。
***
その頃馬車の中では、
「んっ!!この魔力は……。レオが帰ってきてこちらに向かってきてるぞ!!」
「まさか!!レオナルド君が魔の森にワープしてから1時間とちょっとですぞ。いくらレオナルド君でも速すぎる!!」
「いやウォーレン、間違いないぞ。なにせ遠くからとんでもない速さでこっちに接近してくるしな。」
「な、ならばレオナルド君で間違いないでしょうな。」
ウォーレン公爵と父上は苦笑いを浮かべながらそう言った。。母上は2人を見ながらも、愛する息子の帰還に胸を躍らせていた。しばらくしてレオらしき反応が馬車のすぐ近くまで接近すると、馬車の外が騒がしくなる。馬車が停止し、一人の兵士が報告をしにやってきた。
「ラルフ様、レオナルド様がご帰還なされました。」
「そうか!!よしっ、レオをここに呼んでくれ。」
「はっ!しかし、レオナルド様は何やら怪しげな男を連れていまして……」
「おそらく今回の首謀者だろうが、一応レオに聞いてみてくれ。もし首謀者ならば逃げられないように拘束しておけ。王都に着き次第、騎士団の詰め所に連行する。」
「かしこまりました。」
兵士はそう言うとレオのもとへ確認をしに行った。
***
馬車に追いつき、父上に報告をしようとすると、兵士の一人が急いで馬車へと報告をしに行った。まぁ、このままテイマーを持ってくわけにもいかないのでここは父上の判断に任せようと待っていると、先ほどの兵士が戻ってきた。
「ラルフ様より伝言を預かってきました。その男は今回の首謀者で間違いないか、とのことです。」
「うん。そうだよ。だからこいつは兵士さん達に任せるね。僕は父上やウォーレン公爵に今回のことを報告してくるから。」
「はっ!お任せください!」
兵士達にそう告げると、僕は馬車の中へと入った。まずは中にいる3人に挨拶をする。
「ただいま戻りました。ご心配をおかけして申し訳ありません。父上、母上、ウォーレン公爵。」
「よしっ、約束通り無事で帰ってきたな。レオにはいろいろと後で聞くことがあるがまずは無事でよかった。」
「私は心配でしたわ。でも、レオなら必ず無事で帰ってくると信じていました。」
「こちらのお願いを聞いてくれてありがとう。本当に感謝している。レオナルド君が無事でよかったよ。」
父上、母上、ウォーレン公爵の順で答えてくれる。
「じゃあレオ。何があったか教えてくれるか?」
「はい。実は………」
僕は魔の森であったことを包み隠さず全部話した。もちろん呪いの装備のことやあの御方と呼ばれる人の存在もだ。
「なるほど。ということは私は誰か力のある貴族に狙われているということか。」
「申し訳ございません。その人が誰なのかまでは聞き出すことができませんでした。」
「いや、今回のテイマーを捕まえてくれただけで十分だよ。」
「あぁ。その通りだ。こいつを殺さないで捕まえられたのはでかいな。お手柄だ、レオ。」
「ありがとうございます!それと、先ほどの話にも出ていた呪いの指輪でしたが、一応回収はできました。しかし、完全に効力を失っている訳ではないようなので王都までは僕がアイテムボックスに保管しておきます。」
「呪いの指輪も手に入れられたのか!さすがだな、レオ!よし、その指輪は王都に行ったら見せてもらうとしよう。」
「それにしても、私を狙う動機があって、ある程度力のある貴族というとあいつが一番の有力候補でしょうな。」
「あぁ。ウォーレンよ。俺も同じことを考えていた。あいつで間違いないだろう。後でさりげなく探りを入れておくことにする。」
「すまない。ありがとう。何から何までお世話になってばかりだな。この借りは必ず返す。ラルフ、レオナルド君。」
「ははっ、気にすんな。どうせ王都に戻ってもこの事件を優先的に調べることになるだろうからな。」
「そうです。気にしないでください。僕は恩を売りたくて助けたわけじゃないですから。こんな危険な奴ら、放っておけないですからね。」
「2人ともありがとう。だが、それでは私の気が収まらぬのだ。必ずお礼はしよう。」
「まぁ、この話はいったん置いておこう。王都もだいぶ近くなってきたしな。できる話はしておこう。」
「そうですね。そういえば、さっき話していたあいつって誰なんですか?」
「あぁ。あとでテイマーを尋問すれば正式にわかると思うが……」
「そいつの名はヘルベルト・ブランク。現在の陛下の政治が気に入らず、自分たちが陛下と変わって政治を進めようとしている貴族派の有力な貴族の一人だ。」
ウォーレン公爵が教えてくれた。おそらく宰相であるウォーレン公爵を暗殺できれば、王族派の権威を弱められると思ったのだろう。
ちなみに現在の国王は何事にも公平な人らしく貴族にもある程度の税をしっかり納めて貰っているそうだ。そんな政策だと自分たちに金が溜まらないから貴族派の人たちは国王を退けようとしているらしい。
そんなことを話していると、王都が見えてきた。
______________________________
【あとがき】
ここまで読んで下さりありがとうございます。
やっと、王都まで来れました。
敵の姿も見えてきましたね。
次回もお楽しみに。
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