第5話 偽装と洗礼
この世界の成人は15歳で、基本的に毎年誕生日を祝う習慣はない。その代わり、5歳、10歳、15歳の誕生日は盛大に祝うのだ。特に5歳は、他の貴族へのお披露目会も兼ねているため各々の家で行う誕生会に加え、王都の王城でも社交界が開かれる。
ある日、広いリビングで家族3人で朝食をとりながら、僕は緊張していた。今日は僕の洗礼の日なのだ。さらに言うと、明日にはお披露目会が控えている。なぜこんなに緊張しているのかというと、僕は先日あることに気が付いたからだ。
***
あの頃は洗礼なんてたいした行事ではないと思っていた。なにせ、僕は自力でステータスを見ることができるし、使える魔法もわかっている。だが、洗礼の後、僕は家族にステータスを見せなければいけないことに気が付いた。能力については天性的なものだと言い訳はできるが、転生者だということと、女神の加護については知られたくない。
どうにかできないかと悩んでいると、
《スキル「偽装」を獲得しました》
〈偽装〉
姿を偽ることができる。ステータスを偽装できる。(新たなスキルを加えたり、数値を変えることはできない。)
今の僕に一番必要なスキルをゲットできた。数値が帰られないのは諦めるしかないか。さっそくステータスを偽装してみる。
〈ステータス〉
【名前】レオナルド・コロソフ
【種族】人間 【性別】男 【年齢】4歳
【称号】コロソフ伯爵家三男 [転生者]
【レベル】1
【HP】1900/1900
【MP】15000/15000
【スキル】
鑑定 アイテムボックス 魔力感知
魔力操作 魔力自然回復 全属性魔法
剣術 並立思考 無詠唱 複合魔法
付与魔法
[【加護】女神の加護]
加護と転生者の称号は偽装で隠し、あとはそのままを見せることにする。どうやら、偽装中は偽装のスキルは表示されないらしい。両親は驚くだろうな。と思いながら偽装を終えた。
***
ということで洗礼が終わり次第、偽装したステータスを見せるが、あの数値を見て怖がられるのではないかという不安もあって僕は緊張していた。
「そろそろ行く準備をしようか。着替えて準備が終わったら玄関先の馬車に集合だ。」
父上はそう言うとワクワクした様子で部屋に戻っていった。その後に続いて母上も部屋に戻っていった。
洗礼は教会で行われる。僕は着替えを終え、馬車に向かった。馬車にはすでに父上と母上が乗っていた。
「遅れてしまい、申し訳ございません。父上、母上。」
「かまわないさ、レオも楽しみだろう?さぁ、早く出発しよう。」
「そうね。私たちもレオがどんな能力を授かるのか、楽しみだわ。」
馬車が領都にある教会に向けて出発した。
馬車の中で母上が、
「レオがどんな能力でも私たちの大切な息子であることはかわりませんからね?緊張しなくても大丈夫ですよ。」
母上に不安に思っていると勘違いさせてしまった。そのことについては、まったく心配していないが、些細な変化に気づいてくれる母上の優しさに緊張が和らいだ。
教会に着くと父上が司祭に挨拶をし、その後に続いて僕は中へ入った。中に入ってすぐ目に入ったのはあの時、転生するときにあったエリス様の巨大な像だった。
「女神の像の前まで行き、その場で片膝をついて祈ってください。さすればきっと、あなたの祈りに女神は答えてくれるでしょう。」
司祭にそう言われ、言われた通りに片膝をつき、エリス様に向け、感謝の言葉を心の中で呟いた。
『エリス様、コロソフ家に転生させてくれてありがとうございます。温かい家族と出会えることができて幸せです。』
そう心で呟いたその時、エリス様の像が目を開けられないほどに輝きだし、その光は僕の体を包んでいった。
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【あとがき】
ここまで読んで下さりありがとうございます。
レオのステータスを見た人たちはどんな反応をするんでしょうね。
次回はエリス様との再会です。
楽しみにしていてください。
これからも読んで下さると幸いです。
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