第7話 お披露目会

「じゃあレオ、さっそく見せてくれ!」



「不安に思わなくても大丈夫ですからね。気持ちの準備ができたら見せてください。」



 父上はワクワクした様子で、母上は優しく微笑んでくれた。僕も決心はつけてきた。



「大丈夫です!では、見てください!これが僕のステータスです!ステータス・オープン!」



〈ステータス〉

【名前】レオナルド・コロソフ

【種族】人間  【性別】男  【年齢】5歳

【称号】コロソフ伯爵家三男 [転生者] 

【レベル】1

【HP】1900/1900

【MP】15000/15000

【スキル】

鑑定 アイテムボックス 魔力感知 

魔力操作 魔力自然回復 全属性魔法  

剣術 並立思考 無詠唱 複合魔法 

付与魔法 時空間魔法

[【加護】女神の加護]



「「「っ!……………」」」



 父上と母上、そして僕の傍にいたミルアは驚いた表情のまま、固まってしまった。あまりに驚きすぎて2分くらいは固まったままだった。そして、先に戻ってきたのは父上だった。



「レ、レオ…、このスキルとMPの量はどうゆうことだ!?MPなんか一般的な数値の150倍だぞ!」



 父上は興奮した様子で聞いてきた。ここは適当な言い訳をしておこう。0歳からトレーニングしてました。なんて、言えないからな。



「このステータスを先ほど見て、僕もかなり驚いています。なんでこんなステータスになったのか、僕にもわかりません。」



「そ、そうか。まぁ、多くて困ることはないからな。レオは神様に気に入られたということだろう。」



 父上と話していると、母上も戻ってきた。ちなみにミルアはまだ固まったままだ。



「すごいわ!レオ!やっぱりレオは天才だったのね!ラルフ、これは陛下にもお伝えしたほうがいいのでは?」



「あぁ、俺も同じことを考えていた。陛下ならレオのことを利用しようとするやつらから守ってくれるだろうからな。なにより、俺が陛下に自慢したい。」



 第一騎士団団長の肩書きを持つ父上は陛下とも親しいみたいだ。



「とはいえ、このステータスを大勢の貴族に知られるわけにはいかない。何か悪いことを考えそうな貴族もいるからな。よって、レオはこれからむやみに他人にステータスを見せることを禁止する。当然、この場にいる者も口外禁止だ。」



「レオを守るためなら当然ですね。」



「ミルアもいいか?」



 父上に話しかけられ、やっとミルアが戻ってきた。



「は、はい!わかりました!」



「陛下には今度の王都で行われる社交界で挨拶をしよう。レオもそのつもりでいろよ。」



「はい。」



 とんとん拍子で国王との謁見が決まってしまった。



「陛下にはレオと同い年の娘がいて、いつも自慢してくるんだ。俺も負けじとレオのことを陛下に話しているが、これで1歩リードだな。」



 自分の知らないところで自慢合戦が行われていることに気恥ずかしさを感じたが、父上が楽しそうなので良しとしよう。



「王都のこともいいですが、明日もレオの晴れ舞台なのですから、そのことも考えてくださいね?」



「あぁ、わかっている。レオも明日のお披露目会で来てくれた人達に一言挨拶してもらうからな。準備しておけよ。」



「わかりました。」



***



 次の日、僕は朝から母上や、ミルア達メイドに着せ替え人形にされていた。



「レオ様、この色も似合っています!」



「あら?レオにはこの色のほうが似合うと思うわ。」



 2時間後、やっと今日の衣装が決まったのだった。朝から疲れたと思いながら歩いていると、父上に会った。



「なんだ?朝から疲れた顔をしているな。…あぁ。ディーナ達か。主役の宿命だと思って我慢してくれ。」



 父上は苦笑いで僕にそう言うとそそくさと自分の部屋に戻っていった。きっと、父上にも経験があるのだろう。



***



 正午を過ぎたころ、お披露目会が始まった。家のホールには多くの貴族が集まっていた。父上が第一騎士団団長だから、という理由もあるのだろう。しばらくすると、父上が壇上に登り挨拶を始めた。



「みなさん。今日は私の息子のお披露目会に来ていただきありがとうございます。私共からささやかながらお食事をご用意させていただきましたので、楽しんでいただきたいと思います。さて、私からの挨拶はこれくらいにして、今日の主役からひと言、挨拶をもらおうと思います。レオ、前へ。」



 父上に言われて、僕も壇上へ上がる。



「ご紹介にあずかりました。レオナルド・コロソフでございます。本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。まだまだ若輩者ゆえ、皆様のご指導を賜りたいと思っております。これからもよろしくお願いいたします。」



「「「「「…………」」」」」



 しばらくの間、静寂がホールを包んだ。そして、拍手がまばらに聞こえてくる。何かまずいことをしただろうかと心配になり、父上の方に顔を向けると、父上も苦笑いしていた。




「5歳にしてはなかなか丁寧な挨拶となったが、とにかく今日は楽しんでほしい。では、乾杯!!」



「「「「「乾杯!!」」」」」



 どうやらやりすぎてしまったらしい。よく考えれば、5歳の子供が、大人顔負けの挨拶をすれば引いてしまうのも納得がいく。すると、挨拶を終えた父上が話しかけてきた。



「あの挨拶を仕込んだのは、誰だ?結果的にはレオが聡明だということが伝わったが、もう少し5歳児らしい挨拶でもよかったのではないか?」



「あの挨拶はミルアと考えたのです。少しやりすぎてしまったかもしれませんね。」



 嘘は言っていない。ほとんど一人で考えたが、ミルアに相談したことも事実だ。ミルアは後で小言を父上から言われるかもしれないな。僕は心の中でミルアに軽く謝った。



 お披露目会はそのまま何事もなく終わったが、お披露目会に来ていた貴族の間では、ラルフ・コロソフの息子は「神童」であるという噂が広まったとか。



______________________________

【あとがき】

ここまで読んで下さりありがとうございます。

堅苦しい話し方は難しいですね。

次回、やっとレオが戦います。お楽しみに。

これからも読んで下さると幸いです。






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