第42話 石鹸、シャンプー、寮を作ってみた

「誠司さん。お母様がボディソープやシャンプーを欲しがるのです。誤魔化してはいるのですが限界です。なんとかなりませんでしょうか?」


「昨日、創造神様のお許しをもらったので世の中に普及しようと思ってるんだ。でも、こっちの材料で作らなきゃダメって言われているからもうちょっと待ってね。材料さえそろえば錬成術で何とかするから。」


「わかりました。入手できるものは私の方でも動きますので相談してください。」


「ありがとう。まずは石鹸から作ろうかな。こっちの石鹸って臭くない?」


「すっごい臭いです。馬糞みたいな匂いがします。今となっては匂いが移りそうで使いたくないです。」


自由研究で手作り石鹸を作ったことがある。

確か油とアルカリと水を混ぜればできるはずだ。

油の匂いがキツイって言ってたので植物油で最初は試してみよう。

アルカリは苛性ソーダが売っているとは思えないので、こちらでも使っている灰を水に溶かしてアルカリ水を作ろう。


「植物油ってあるかな?」


「ナタネ、ツバキ、オリーブが一般的ですね。入手します!」


じゃあ、俺は灰を入手してくるか。

街の外に出て木を一本拝借し、ファイアで一気に消し炭にした。

燃え尽きて灰になったものを水に溶かし、アルカリ水の出来上がり。

ミレーから植物油を受け取り、早速作ってみることにした。

錬成術を使い、油とアルカリ水をゆっくり混ぜ乳化させていく。

そこに城の庭に咲いていたバラに似た香りの強い花から抽出した香料を垂らす。

固めて完成!


「ミレー、ちょっとこの石鹸を使ってみてくれるかな。」


「わかりました。あら、とっても泡立ちが良いわ。それにバラの香りがします。」


城の庭に咲いていた花はバラで良かったらしい。


「じゃあ、次はシャンプーだね。」


今作った石鹸を粉砕。

水に溶かしてハチミツ投入。

香料投入。

錬成!


「今度はシャンプーが出来たから髪洗ってきてみて。洗い流したら次にリンス替わりの檸檬水で中和してから流してみてね。」


「中和?? よくわかりませんが洗ってきてみます。」


数分後、濡れ髪のミレーユが戻ってきた。

生活魔法のドライで髪を乾かしてあげた。

まあまあかな。

やはり地球の市販品には及ばないが。


「スッキリしました。でも、やっぱり地球のシャンプーが良いですね。お母様にはこちらで我慢してもらいましょう。」


地球の技術は凄いということを再認識した。


**********************************


王都についてから3日が過ぎた。

そろそろクラスメイトの住まいを作らないとな。

街の外に出て、南門から東門へ向けて歩いている。

この辺りで良いかな。

周囲の木を伐採して開墾を始めた。

木や土、石などをインベントリに収納し、建築系スキルを使って建材に加工していく。

ここに作るのは3階建ての寮だ。

1階は食堂や大浴場などの共同スペース。

2階は男子寮、3階は女子寮だ。

各10部屋ずつ作った。

内装と家具類も完了。

俺たちは使う予定が無いので部屋が余ることになるのだが。

クラスメイトが全員退去したら冒険者に宿か下宿先として提供しようと思っている。



【転移者限定掲示板】

 ※第39話からの続き


92.聖女(女)

 待ってるわ♡。


ー ー ー ー ここから ー ー ー ー


93.薬師(女)

 さっきコレクター君の師匠ナターシャさんの道具屋に行ってきたの。

 とっても良い人だったわ。

 それに彼女も転生者だったのよ。驚いたわ。

 あとね、雇ってもらえたのよ。


94.裁縫師(女)

 良かったわね。

 お仕事頑張ってね。


95.コレクター(男)

 下宿先になる寮が完成したよ。

 とりあえず、3カ月は無償にするからその間に自分に合った仕事を探してね。

 マイルームもあるし、それだけ期間があれば十分だよね。

 それとこっちの王都には学校もあるんだ。

 生産課もあるから生産職の人も基礎から学べそうだよ。

 もちろん、騎士課と魔術課もあったよ。


96.薬師(女)

 えっ?! そうなの?

 ナターシャさんには申し訳ないけど錬成術を習得したらそっちに移ろうかしら。


97.コレクター(男)

 師匠なら話せば分かってくれるから心配ないよ。

 近いうちに遊びに行くって伝えておいて。


 もう一つ、重大ニュースがあります。

 こちらの大聖堂で祈ると創造神様に会えるんだ。

 そこで転生者限定のセカンドジョブがもらえるよ。

 ただし、ジョブに関係するスキルをすでに取得していることが条件。

 転職は不可能らしい。

 それにレベル50を超えると職業が昇格できるんだって。

 1度こっちに来ることをお勧めするよ。


98.美術師(男)

 なんだって!

 俺にも希望が見えてきた。


99.鍛冶師(男)

 ドワーフの鍛冶屋はあったかい?


100.コレクター(男)

 ギルドで紹介してもらった鍛冶屋の中にあったよ。

 まだ行ってないけど。


101.聖女(女)

 いつ迎えに来てくれるのかしら?


102.コレクター(男)

 じゃあ、3日後のお昼にゲートをつなぐよ。

 引っ越す人は準備よろしく。



あとは寮の周囲を壁で囲って結界を張ったら出来上がりっと。

よし、日が傾いてきたしそろそろ城へ戻ろうかな。

壁に外に出て、出来上がった壁に穴が無いか確認しながらぐるりと一周してみた。

ん? なんだあの洞穴は。

森を開墾したことで木々の中に隠れていた洞穴が露出したらしい。

覗いてみたが真っ暗で何も見えない。

入口は屈まないと入れないぐらい狭いが、中に入ると明るくなり立って歩けるほどの広さがあった。

もしかして、これってダンジョンじゃないか?

ダンジョンと洞窟の区別ってどうすれば良いんだ?

分からん。

暗くなってきたし、続きは明日にしよう。


「ただいま。クラスメイト用の寮を作ってきたよ。そしたらさ、ダンジョンみたいな洞窟を発見したんだ。明日探索しようと思うんだけど一緒に行く人いる?」


「「「は~い。」」」


全員かよ。


「ミレーは危ないから留守番だから。ジョージ君と遊んであげて。」


「わかったわ。」


「もし低ランクダンジョンの時はカレンと未来に狩ってもらうから。レベ上げのためにね。でも、まだダンジョンだって決定じゃないんだけどね。ただの動物のねぐらの可能性もあるし。」


「「わかったわ(ぞ)」」


寮を作るのにMPのほとんどを使ってしまっているので今日は早めに寝ることにした。

明日の探索が楽しみだ。

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