第27話 ダンジョン 7階層
翌朝、ダンジョンを確認してみるとダンジョン内には俺たち以外いなくなっていた。
変動に巻き込まれて全員外へはじき出されてしまったらしい。
時計が一般的ではないので正確な時間がわからないから仕方がない。
外であれば日の位置や聖堂の鐘でだいたいの時間がわかるらしいが。
フロアの階段の位置や迷路が全て更新されてしまい、また一から探索になる。
ご愁傷様です。
余分な素材を商店で売却した後、俺たちは7階層に向かう。
7階層までは来れないとは思うが一応安全マージンはとっておきたい。
<7階層フロア情報>
場所: メビウス 7階層
フィールド: 湿地
探索者: 3名
宝箱: 3個
魔物: リザードマン C 60
アイアンタートル C+ 50
ダークパイソン B- 10
クロコダイン(7階層フロアボス) B 1
7階層は爬虫類エリアかな?
まずはいつも通りに宝箱の回収をしながら周囲の魔物を狩っていく。
現れたのは槍や剣などを持ったリザードマンの群れだった。
リザードマンは、2足歩行をする武装したトカゲである。
様々な武器を持ち、武器に合ったスキルを所持している。
水魔法も使ってくる。
さらに仲間同士で連帯をとるので非常に厄介だ。
但し、トカゲなので体温調整が苦手で特に寒さに弱い。
*鑑定
種族: リザードマン(蜥蜴)
ランク: C
スキル: 武術、身体強化、加速、回避、水魔法
弱点: 低温、氷魔法
アイテム: 魔石、武器、革の鎧、リザードマンの表皮、初級ポーション
「ブリザード!」
周囲の気温が一気に下がったことでリザードマンの動きが悪くなった。
俺は縮地で間合いを詰め、首を横なぎに切り落とそうとした。
しかし、鱗のある革が邪魔して切り落とすことができなかった。
そこで剣に風魔法を付与して切れ味を増し、もう一度斬った。
今度は切り落とすことができた。
そのまま周囲のリザードマンたちも切り刻んだ。
リザードマンの鱗のある皮は防具の材料となり重宝されている。
特に重装を装備できない冒険者には人気だ。
リザードマンを狩りながら宝箱に向かって進んでいると、沼からノソリとデカい亀現れた。
*鑑定
種族: アイアンタートル(亀)
ランク: C+
スキル: 物理攻撃完全防御、噛みつく、体当たり
弱点: 低温、高温、首
アイテム: 魔石、鉄の甲羅、亀の肉、初級ポーション
名前の通り、甲羅が鉄でできているらしい。
甲羅に隠れてしまうと物理攻撃が全く効かなくなる。
さらに甲羅に隠れたまま体当たりをしてくる。
まるで大砲の砲弾が飛んでくるようだ。
そして一番気を付けなければならないのが伸びる首だ。
突然首が伸び、噛みついてくる。
しかし、鉄は熱を伝えやすい性質を持っている。
ここは魔法で行こう。
「愛莉、燃やしちゃって。」
「ラジャー! ファイアストーム!」
甲羅の中に隠れたカメは鉄板で焼かれたように中でこんがりと焼きあがった。
美味しそうな匂いが立ち込める。
だが、ダンジョンモンスターなので食べる前に光となって消えてしまった。
残念すぎる。
しかし、肉をドロップしたので後で春菜に調理してもらおう。
次に草むらから現れたのは大蛇だった。
全身真っ黒なヘビでドラム缶程の太さがある。
長さは10mほどあるだろう。
*鑑定
種族: ダークパイソン(蛇)
ランク: B-
スキル: 巻きつく、絞めつける、噛みつく、丸呑み、闇吸収
弱点: 低温、光魔法
アイテム: 魔石、牙、蛇の肉、蛇皮、初級ポーション
巻きつかれたら逃げることもできず、絞め殺されそうだ
しかし、動きは鈍い。
「捕まらないように距離をとりながら光魔法をガンガン叩き込んで。」
「じゃあ、いくよ~。光の結界! それから、シャイニング!」
「ホーリーランス!」
「ホーリーアロー!」
「シャイニングバースト!」
「セイクリッドファイア!」
光魔法は効果覿面で、ダークパイソンはのたうち回りながら消えていった。
やっと1つ目の宝箱に辿り着いた。
明らかに6階層までと比べて7階層は広い。
体力があるので疲れてはいないが移動だけで結構な時間を要する。
フロア変動が保留されていなかったら移動中に時間切れで外に追い出されているだろう。
そして、やっと3つの宝箱の回収を終えた。
コレクターの俺の性格では宝箱を残して行くなんて無理だ。
ちなみに宝箱には風神の弓、雷神の剣、疾風の靴が入っていた。
風神の弓は、放った矢に風属性を付与する魔弓だった。
雷神の剣は、雷属性が付与された剣である。
弓も剣も俺が装備可能ではあるが、今の装備や魔法を超える性能では無いのでイベントリに仕舞っておくことにした。
疾風の靴はDEF、AGIを+100し、さらに風属性が付与されており風のように素早く移動することができるようになる。
前衛の俺が装備することになった。
「だいたいの魔物は狩り尽くしたようだ。残ったボスを狩りに行こうか。」
「そうね。MP回復ポーションをもらってもいいかしら?」
「もちろんだ。春菜も飲んで全快しておいて。」
「ありがとう。私もレベルが上がって支援魔法をたくさん覚えましたよ!」
「ところで今のレベルは?」
「私はLv.50になりました。愛莉ちゃんは?」
「私はLv.56だよ。」
「俺はLv.59だ。HPも全快にしてボスを討伐するぞ!」
沼の畔で寝ている巨大なワニがいた。
*鑑定
種族: クロコダイン(鰐)(7階層フロアボス)
ランク: B
スキル: 噛みつく、デスロール、薙ぎ払う、威圧、潜伏、水魔法
弱点: 氷魔法、腹
アイテム: 魔石、歯、ワニ肉、ワニ革、中級ポーション、宝箱
「支援魔法、行きますよ~。パワーブースト、マジックブースト、スピードブースト、パワープロテクト(攻防UP)、マジックプロテクト(魔防UP)。」
「春菜、ありがとう! 行くぞ! 愛莉、魔法を叩き込め!」
「メテオストライク!
エクスプロージョン!
アブソリュート・ゼロ!
インフェルノ!」
ボスに向かって走っていた俺は圧倒的な魔法の余波に驚き足を止めた。
もう少し近づいていたら巻き込まれていたんじゃないか?
愛莉の魔法の威力が爆上がりしている。
粉塵がはれるとボロボロになってしまったボスがいた。
「俺の役目、無いんじゃね?」
無駄にバフでステータスがアップした俺はどうしたら良いのやら。
ゆっくりとぐったりしたボスに近づき、オリハルコンの剣に魔力を込め首を落とした。
俺たちはレベルアップのおかげで化け物クラスに強くなってしまったらしい。
特に賢者の愛莉はオーバーキル状態だ。
何階層まであるかわからないが、もしかして全フロア攻略可能なのではないかと考える。
《Lv.60を超えたため、マイルームが進化可能となりました。》
おっと、レベアップしてまたマイルームが進化したようだ。
ボスのドロップアイテムを回収し、8階層への階段を降りた。
ボスの宝箱にはワニ革のカバン(亜空間マジックバッグ)が入っていた。
*鑑定
ワニ革のカバン
マジックバッグ: 収納量10m×10m×10m、経過時間半減
俺たちにはインベントリがあるので不要だが、他の冒険者や商人にとっては貴重なアイテムだろう。
外に出たときに世話になった人へプレゼントするか、ギルドに高く売りつけようと思う。
7-8階層間の安全エリアからマイルームへ入る。
まずは進化内容を確認するかな。
<更新内容>
・7LDKまで拡張可能
・特別エリア追加可
・偽装家屋召喚可
・入居者追加可(入居者:田中誠司、三上愛莉、村瀬春菜)
<特別エリア詳細>
・格闘場
・魔法練習場
・草原
・農地
・森林
・牧場(New)
偽装家屋召喚とは、屋外に家やテントを出しマイルームとつなげることができるものだった。
旅や護衛中に他の人にはテントで野営しているように偽装し、マイルームでゆっくり休むことができるということだ。
これで安全に他国へ逃亡できる。
特別エリアは牧場にしてウシを飼う予定だ。
春菜から新鮮な牛乳がほしいと言われていたからだ。
バターや生クリーム、チーズを作るらしい。
これでさらにおいしいお菓子が期待できるだろう。
農場へ向かうとすでに青々とした野菜や花たちの芽が出ていた。
通常よりも成長が早いようだ。
「凄いわ。数日で新鮮な野菜サラダが食べられるんじゃないかしら? 楽しみだわ。」
それから新たに設置した牧場へ向かう。
もちろん、俺のインベントリ(元ドキュメントフォルダ)には動物の写真も保管されている。
写真の状態の牛を複製し、増やしてから外へ出した。
メスのみのクローン牛ではあるが、すでに乳を出している乳牛なので問題ないだろう。
黒毛和牛、ニワトリ、ヤギ、ヒツジ、ブタも同様に牧場へ放った。
この牧場に生えている牧草は食べられてもすぐに再生するようだ。
乳牛が食べても食べても生えてくる牧草を大喜びで食べている。
おいしい牛乳をよろしくね。
牧草以外の飼料はインベントリから出して与えた。
水に関しては牧場の中央に池があり、水飲み場になっている。
牧畜犬も2頭放ち、手伝いをしてもらう。
牧場はそよ風が吹いていて天気が良くとても気持ちが良い。
癒されるし、久しぶりにのんびりしたい気分だ。
あれ? 俺たちってマイルームから出なくても生活できるんじゃね?
でも折角異世界に転移したんだから世界を自由に見て周りたいよね。
絶対に王様たちから逃げ切るぞ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます