第3話 異世界転移

オンラインではあるが楽しい高校生活も2カ月が過ぎた。

三上さんは相変わらずのボッチだが、裏では俺とダイレクトメッセージで楽しく会話していることを誰も知らない。

俺はクラスメイトと広く浅くって感じで付き合っている。

オンラインなので積極的に友達を作ろうって雰囲気は無い。

淡々と授業を受けて単位を取得している感じだ。

その日の授業が終わり、ホームルームの最中に突然それが起こった。


「地震?」


「いや、オンラインだぞ。通信障害じゃね?」


「え? でも、ずっと揺れてるよ?」


「みんな落ち着いて、業者さんに確認してみるわね。そのまま待機していてね。あれ?! ログアウトできないわ?」


加藤先生が焦り出した。


『田中君、大丈夫かな?』


『どうだろう? でも、何があっても俺は三上さんを守るよ!』


『うふふ。ありがとう。』


すると教室床に魔法陣が展開され光りに包まれ、眩しくて目を閉じた。

目を開くと何もない真っ白な世界に飛ばされていた。


「ここはどこ?」


「みなさん、落ち着いて!」


「先生が一番落ち着いてください!」


神様の声が響いた。


【初めまして、生徒諸君。私は転生の神です。たった今、地球が滅びました。したがって、君たちのリアルの肉体も消えてしまい、存在しません。この仮想世界に君たちの魂だけが残された状態です。なので、ログアウトも不可能です。】


「はぁ? 俺たちは幽霊にでもなったというのか?!」


【うまいことを言いますね。その通りです。】


「嘘よ! 私が死んだなんて信じられないわ。」


【そこで転生の神の私が異世界へ転生させ、新しい肉体を与えてあげようと思ったわけです。丁度タイミングよく召喚の儀を行っている世界があります。転生が嫌でこのまま死にたいという人はいますか?】


「信じられない。でも、ログアウトは出来ないようだ。。。」


「死にたくないです!」


「みんな落ち着いて!」


【まだ混乱しているようだけど、みんな転生でいいよね? 君たちがこれから行く世界は剣と魔法のファンタジーな世界だよ。地球の若者が好きそうな世界だろ? ちゃんと私も君たちの世界の情報は入手しているんだよ。チートスキルとかあるらしいね。まあ、今までの人生経験を参考にサービスで付けてあげるね。じゃあ、いってらっしゃい。】


目の前がまた真っ白になった。

意識が覚醒すると兵士が囲まれていた。

その後ろには如何にもって感じの王様らしき人が豪華な椅子に座っていた。


「召喚に答え、ここに現れてくれた諸君に感謝する。私はこの国(グリーンランド)の王アレク・サンダーだ。大臣よ、説明を頼む。」


「この国は周辺国からの進軍と魔王の脅威にさらされている。君たちには防衛手段となり我が国を助けてほしい。生活の保証、報酬はもちろん用意する。協力を頼む。」


「私はこの子たちの担任の加藤晴美です。子供たちに危険なことはさせられません。それに、この子たちは普通の子です。戦える力などありません。」


「いや、召喚の儀で召喚された者には強力なスキルが備わっているはずだ。それでは確認していこう。順番にこの水晶に触れてくれ。」


『田中君、ステータスって頭の中で唱えてみて。それとそろそろ手を放してもらってもいいかな? ちょっとみんなの前では恥ずかしいの。別に嫌では無いのよ。』


『あっ! ごめん。つい、手を握っていたみたいだ。ん? ステータス?』


目の前に半透明のボードが現れ、いろいろデータが書いてあった。


*ステータス

 名前: 田中 誠司

 称号: 転移者

 職業: コレクター

 性別: 男

 年齢: 15歳

 レベル: 1


 HP: 100(生命ポイント)

 MP: 100(魔法ポイント)

 STR: 150(物理攻撃力)

 INT: 100(魔法攻撃力)

 DEF: 100(防御力)

 AGI: 100(素早さ)

 DEX: 200(器用さ)

 Luck: 300(運)


 スキル

  鑑定(アイテムを調べることができる)、アイテムボックス(亜空間倉庫)、

  翻訳(異世界言語を理解でき、話せる)、剣術(剣の扱いがうまくなる)

 

 ユニークスキル

  進化(スキルを進化させる)、複製(アイテムを複製する)、マイルーム、

  コンプ(関連スキルがコンプリートすると統合する。稀に性能がUPする。)


『何のスキルがあった?』


『鑑定、アイテムボックス、翻訳、剣術、進化、複製、マイルーム? コンプ?だったよ。職業がコレクターってなんだろ?』


『すごいわ。三大スキルの鑑定、アイテムボックス、翻訳を持っているのね。進化ってなにかしら? チートっぽい匂いがするわ。進化を使ってみたら? ちなみに私は賢者だったわよ。鑑定があるなら私のステータスを見ても良いわよ。』


そんなことを話しているうちに俺の順番になってしまった。


「コレクター? 聞いたことの無い職業だな。生産職か? ハズレか? おそらく無能だな。じゃあ、次の者。」


ハズレと言われイラっとしたが、俺はこれからスキルを進化させるのだ。

見てろよ! ハズレなんて言いあがった兵士め!


*ステータス

 スキル

  鑑定眼(アイテム、人を鑑定できる)、インベントリ(時間停止付き無限収納

  庫)、翻訳Sp(種族語も含め全ての言語を理解できる)、剣豪術(剣の達人)


 ユニークスキル

  進化、複製Sp(アイテム、スキルの複製ができる)、マイルーム、

  コンプSp(統合可能なスキルが揃うと統合する。たまに性能がUPする)

 

スキルが進化し、すごいことになった。

人も鑑定できるようになったので三上さんも鑑定してみよう。


*ステータス

 名前: 三上 愛莉

 称号: 転移者

 職業: 賢者

 性別: 女

 年齢: 15歳

 レベル: 1


 スキル

  アイテムボックス、翻訳、魔力感知、魔力操作

 

 ユニークスキル

  全魔法適正(全ての魔法を習得できる)、マイルーム


三上さん、すごいな。

鑑定眼では相手の細かいステータスの数値までは見ることができないらしい。

それにしても、全魔法が使えるってどんだけだよ。


『今の状況なんだけど、小説の知識からクラス転移って言われてる分野に入ると思うの。王たちの私たちに対する態度には気を付ける必要があるわ。奴隷化して無理やり従わせるような状況になったら逃げなきゃね。』


『了解。それとスキルを進化したら凄いことになっちゃったみたい。複製が進化してアイテムだけじゃなく、スキルも複製できるようになったよ。試しに三上さんのスキルを複製しても良いかな?』


『どうぞ。試してみて。私が知ってる盗む系のスキルでは無いようだから気にしないで大丈夫だよ。』


うまく魔法系スキルをもらうことができた。

スキルやアイテムを集めることができる、これが俺の職業コレクターの特徴なのかもしれない。

他のクラスメイトのスキルも鑑定し、複製させてもらった。

勇者や聖女、剣聖等の戦闘系の職業の他に、鍛冶師やアイテム師等の生産系の職業の人も居た。

根こそぎコピーさせてもらいました。

ついでに国王や兵士たちのスキルもコピーさせてもらいました。

職業のコレクターの血が騒ぐのか、コピーするのが止まらなくなってしまった。


『みんなのスキルを集めちゃった。スキルが凄いことになってるよ。』


『器用貧乏にならないように気を付けなきゃね。成長させるスキルは絞った方が良いわよ。器用貧乏っていうのは、あれもこれもスキルを使おうとして全部中途半端な成長になっちゃうことを言うのよ。』


『気を付けるよ。今更だけど、何でダイレクトメッセージが使えているんだろうね?』


『そういえばそうね。なぜかしら? 仮想世界の影響が残っているのかな?』


『タブレットPCも使えるのかな? うぉ!』


手の上にタブレットPCが現れた。


『タブレットって言うと出てくるみたいだよ。ってことは、もしかしてユニークスキルのマイルームってあの部屋じゃない?』


『そうかもね。落ち着いたら検証してみましょ。』


全員のスキル鑑定が終わり、明日のスケジュールの説明を聞いてから晩飯を食べ、それぞれの部屋に案内された。

王城の料理なので期待していたのだが、不味くはないが美味しいって程でもないと言った感じだね。

素材の味を生かしているというか、調味料が少ないのかな?


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