第23話 ダンジョン攻略

地下2階層に入ってすぐ襲ってきたのはゴブリンだった。


*鑑定

  種族: ゴブリン

  ランク: F-

  スキル: 武術、回避、逃走

  弱点: 首、腹

  アイテム: 魔石、武器、薬草


まあ、今の俺には弱すぎる相手なのだが、一撃で致命傷を与えると血を流さずに光となって消えてくれるのが良い。

なぜか薬草をドロップするのだが、師匠へのお土産にしよう。

続いてウルフが現れた。


*鑑定

  種族: ウルフ(狼)

  ランク: F

  スキル: かみつく、引っ搔く、遠吠え、仲間を呼ぶ

  弱点: 眉間、腹

  アイテム: 魔石、毛皮、肉、牙、爪、薬草


群れで襲ってきて、さらに仲間を増やす。

数で押されてしまうかもと思っていると愛莉の範囲魔法が炸裂し、一瞬で全て消し炭となった。


「春菜、レベルいくつになった?」


「ちょっと待ってください。ステータス確認してみます。おっと! Lv.15です。あれ? いっぱいスキルがふえてるよ?」


「ダンジョンに入る前にスキル付与したでしょ? 確認しなかったのかい? それより、そろそろ自分でも狩れるんじゃないかな? この先にゴブリンが1体だけでいるから魔法で倒してみて。」


「わかりました。訓練で唯一覚えたファイアボールを披露しましょう。」


角を曲がったところにゴブリンがいた。

こちらに気付き、棍棒を振り上げ走ってきた。


「全てを焼き払う赤き炎よ。我が手に宿り、敵を殲滅せよ。ファイアボール!」


見事、ゴブリンは消し炭となった。


「おお! 初めて聞いたよ。それが詠唱ってやつなんだね。」


「そういえば、愛莉ちゃんは詠唱してないよね? なんで魔法が打てるの?」


「無詠唱ってやつよ。ていうか、詠唱覚えるの面倒くさいし、詠唱しているうちに返り討ちにあっちゃうよ?」


「まあ、そうね。でも、サリーさんが詠唱しないとダメって。だからかな? みんながなかなか魔法が使えなかったんだよね。無詠唱って私にもできるのかしら?」


「魔法はイメージよ。強く工程と結果を思い浮かべるの。無詠唱を覚えれば不意打ちもできるし、連射も可能よ。」


「私も無詠唱を覚えたい! 愛莉先生、よろしくお願いします。」


「仕方ないわね。」


「ほぼ、このフロアにいる魔物を狩り尽くしてしまったので3階に行こう。」


「「は~い。」」


2階-3階層間の安全エリアで小休憩をした。

休憩中に腕時計を作ることにした。

もちろん、電池ではなく魔素で動く時計である。

今、ダンジョンの変動に巻き込まれて外にはじき出されたら、捕まってしまうかもしれない。

12時の変動の前に安全エリアに戻るためにはやはり時計は必要だろう。

腕輪風のデザインにしたため、外で着けていても目立つことはないと思う。


「今の時間は10時だ。1時間程で3階フロアを突破しちゃうよ。3-4階層間安全エリアで昼食を取り、変動をやり過ごそう。」


「「了解」」


3階層に入るとボアとコボルトが襲ってきた。

森で見たボアの2倍くらいある大型の猪だった。

コボルトは同じで2足歩行の犬である。


*鑑定

  種族: ワイルドビックボア(猪)

  ランク: F+

  スキル: 猪突猛進、かみつく

  弱点: 鼻の根元、眉間

  アイテム: 魔石、牙、毛皮、肉、鉄鉱石


*鑑定

  種族: コボルト(犬)

  ランク: F

  スキル: 武術、遠吠え、噛みつく、連帯

  弱点: 首、腹、鼻

  アイテム: 魔石、武器、犬歯、毛皮、鉄鉱石


2種類とも鉄鉱石をドロップするので鉄の装備やアイテムがたくさん作れそうだ。

ボアは単独なのだが、コボルトは群れで現れる。

コボルトが連帯攻撃をしてくるので厄介だが、近づく前に後ろの2人が魔法の練習ついでに燃やしてくれるので問題無い。


「ファイアボール! よし、詠唱省略はマスターしたわ。もうちょっとね。あれ? 私、そもそも料理人だったわ。いつの間にかに魔法使いみたいになっちゃった。衣装のせいか、違和感なくて忘れてしまっていたわよ。」


「さすがに職業は替えられないけど、スキルやステータスなら俺が補正してあげられるし、愛莉とともに後衛で魔法攻撃と回復支援の役割をお願い。」


「了解。愛莉ちゃんもよろしくね。」


「うん。春菜ちゃんは支援重視でお願い。」


「わかったわ。あら? Lv.20超えたわ。」


「丁度、4階への階段が見えてきたよ。時間もそろそろだし、急ぐよ。」


俺も魔法に切り替え、立ちはだかる魔物の群れを蹴散らしながら階段に向かって急いだ。

ようやく無事安全エリアに到着した。


「なんとか間に合ったね。お昼休憩にしよう。春菜、おいしいやつをよろしく。」


「任せといて。リクエストある?」


「パスタがいいな。」


「俺はピザが食べたい。」


「了解。じゃあ、できるまで大人しく待っててね。」


母親か!と突っ込みそうになった。

しばらくして料理が出来上がった。

さすが本職の料理は素晴らしい。

元の世界で食べていたものよりうまいかもしれない。

食後、城の状況が気になったので掲示板を確認してみることにした。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★


【転移者限定掲示板】


48.裁縫師(女)

 そうよね。

 コレクター君たちが捕まらないことを祈りましょう。


49.薬師(女)

 副団長さんが戻ったそうよ。

 コレクター君たちは見つからなかったんだって。

 それでダンジョンの中も捜索するんだってさ。

 捜索隊を招集しているそうよ。


50.剣聖(女)

 明日の朝、捜索隊が出発するらしい。

 ギルドからも冒険者を招集したらしいぞ。

 どんだけ捕まえたいんだよ。

 コレクター君、絶対逃げ切るんだよ。

 捕まったら何されるかわからんぞ。


51.聖女(女)

 あたしには、きれいな宝石あったらお土産に持ってきてね。


52.勇者(男)

 俺には聖剣をよろしく。


53.鍛冶師(男)

 俺は珍しい鉱石があったらよろしく。


54.魔法使い(女)

 私は杖かローブかな。


55.裁縫師(女)

 みんな自分のことばかりね。

 コレクター君の無事を祈ってあげようよ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★


朝出発したということは今日中にはダンジョンに到着するだろう。

明日には捜索が開始されるだろうから今日中に5-6階層間の安全エリアまではいきたいな。

5階層はいまだに未達ということだからそう簡単には突破できないだろう。

俺たちにはできそうな予感がしてる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る