第5話 ジョブチェンジ

愛莉が隣で寝ていると思うと寝れないよね。

超寝不足ですよ。

自分のステータスを確認しながら気を紛らわしてましたよ。

それで気になったのが職業のコレクターの後にある【↓】。

それにユニークスキルのジョブチェンジ。

もしかしてと思って愛莉が起きるのを待っているのです。

愛莉の寝顔がめっちゃ可愛い!

抱きしめたくなる気持ちをグッと堪えた。


「おはよう、誠司。チューくらいしても良かったんだぞ?」


えっ! チューしても良かったのかよ!


「もう遅いけどね。次のチャンスに期待してね。」


絶対揶揄われてるよ。

気を取り直して疑問に思ったジョブチェンジを聞いてみる。


「本当だ。矢印があるね。職業変えられる可能性高いね。」


職業の項目に集中してみるとスクロールが展開された。


【コレクター、賢者、勇者、聖女(聖人)、剣聖、バトルマスター、僧侶、回復師、

魔法使い、盗賊、鍛冶師、魔道具作製師、付与師、騎士、剣士、魔法剣士、格闘家、建築師、アイテム作製師、アサシン、狩人、薬師、料理人、美術師、ポーター、

裁縫師、アーチャー、パラディン、王様】


スキルをコピーするときに職業も一緒にコピーしていたようだ。

試しに勇者を選択するとちゃんと勇者に成れた。

俺、やばいかも。

そっとコレクターに戻しておいた。


「やはりあなたは最高のチート野郎だったわ。」


「城を出るまではコレクターのままにしておくよ。」


「そうね。いきなり勇者が2人になってたら私でも驚くわよ。」


「それじゃ、着替えて朝食を食べに行こうか。」


城の部屋に戻ると慌てて走り回るメイドさんが居た。


「田中様、どこにいらっしゃったのですか! 起こしにきたら居なくなっていたので大騒ぎになってましたよ。」


「ごめんなさい。私のスキルに異空間に部屋を作るスキルがありまして、そこで寝ていました。」


「そうでしたか。そういうことは事前にお知らせください。」


「えっと、気付いていないだけで今回召喚された全員がこのスキルを持っていますよ?」


「え! 王様に報告しておきます!」


朝ご飯を食べるために食堂に向かうとクラスメイトたちとフルメタルアーマーを装備した騎士が居た。

その重装備の男が大声で話始めた。


「全員そろったようだな。朝飯を食いながら聞いてくれ。儂は王国騎士団長を任されているガモジールだ。今日からお前たちを鍛えることになった。このあと装備を渡すから着替えて訓練場に集合するように。」


『愛莉、俺はどんな装備が合ってるのかな?』


『私とパーティを組むとなると前衛だから動けるように軽装備にしておいて。重装備は今のレベルと体力ではうまく動き回れないと思うの。』


『了解。じゃあ、軽装でいくよ。』


『一緒に選んであげるから待っててね。』


『わかった。』


剣道経験者の俺としては細くて長い両手剣が良い。

例えば日本刀のような。

残念ながら両手剣はバスターソードと呼ばれている太くて長く重い大剣しかなかった。

日本刀や竹刀のような細長い刀も無かった。

愛莉と相談の結果、短剣を選ぶことになった。

鋼の短剣、バックラー(丸小盾)、革の鎧、革の小手、革の靴を選んでもらった。

鑑定で確認してみたが、付与がある装備は無かったので作りがしっかりしているものを選んだ。

愛莉の方はローブに杖の典型的な魔法使いスタイルになっていた。

そして、約束通り前髪が短く切られていた。

愛莉、超かわいい!

訓練場に向かうと先ほどのガモジール団長と魔女風の女性が待っていた。


「魔法職は王国魔法師団長のサリーの方に。その他は俺の方に集まれ。」


俺も魔法に興味があるのだが、まずは愛莉を守れるくらいに強くならなくてわならない。

仕方なく、むさくるしい筋肉ダルマのガモジールに剣術を教えてもらうことにした。

どうしても剣道のときの癖が抜けず、剣で相手の攻撃を受けてしまう。

そのため、何度も怒られた。

剣で受けてしまうと剣を痛めるし、下手すれば折れてしまう。

往なすか、回避する練習をした。

剣豪術を持つ俺はすぐにコツをつかみ、そこらの兵士よりも強くなった。


「お前は飲み込みが早いな。」


「スキルを持っていますので。」


「なるほどな。じゃあ、お前はそこの騎士たちと模擬戦でもしておけ。」


対人戦でメキメキと腕を上げていった。

夕方には兵士全員が戦闘不能になっていた。


「お前の成長速度は異常だぞ。もうここで教えることはないから明日からフィールドに出て魔物を狩ってこい。」


不満顔で勇者になったクラスメイトが近づいてきた。


「俺、勇者なんだけど。主役の俺の立場が無いんじゃないか? お前は確か生産職だったよな?」


「勇者のお前も決して弱くは無い。あいつが化け物なだけだから気にするな。」


「化け物扱いは止めてくださいよ。俺には守らなければならない人がいるんです。だから強くならなくちゃいけないだけですから。」


「だったら無理して死ぬなよ。死んだら守れないからな。」


「肝に銘じておきます。」


『愛莉、そっちは終わったかい?』


『うん。終わったよ。全部の属性魔法が使えるようになったよ!』


こっちにも化け物が居たようです。

俺たち似たもの同士だね。


『俺は兵士を全員戦闘不能にしちゃったから明日から魔物狩っても良いって言われたよ。』


『ウフフ。さすが私の誠司だわ。晩御飯食べに行きましょう。』




そのころ王様サイドでは。


「報告します。今回召喚されたもの全員に異空間に部屋が作れるスキルがあるそうです。」


「メイド長、それは誠か? 他の者が入れるのか調査してくれ。これは野営が安全に行えるようになるかもしれんぞ。次に騎士団長、本日の訓練結果を報告してくれ。」


「2人ほど異常な速度で成長するものが居ました。」


「ん? 勇者と聖女か?」


「いいえ。コレクターという不明職業の者と賢者です。」


「それでは、その2人の監視を強化しろ。ところで肝心の勇者はどうだ?」


「まだ初日なのでなんとも言えませんが、普通に剣が振れるようになりました。それから先ほど話したコレクターの男ですが、兵士全員を模擬戦で戦闘不能にしました。」


「コレクターとはいったいどういう職業なんだ? 生産職では無かったのか?」


「全く分かりません。もしかすると勇者よりも使えるかもしれません。」


「早めに取り込んだ方が良いかもしれんな。奴隷契約のできるアイテムを準備しておけ。」


「了解しました。」



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