第14話 愛莉とデート
「こんにちは。誠司さん、愛莉さん。」
「こんにちは、メリーさん。昨日のボアの買い取りをお願いします。」
「では、解体場に行きましょう。」
解体場へ行くと腕まくりをしたガモンさんが待ち構えていた。
「待っていたぞ。野郎ども、ボアの解体に掛かるぞ! 気合い入れて掛かれ!」
「「「おお!!」」」
「こちらの都合で買い取りを延期して頂いたので1頭当たり2銀貨で買い取りますね。50頭分で1金貨になります。」
「ありがとうございます。」
「今日はこれからどうします? クエストを受けられますか?」
「今日は街の散策に行こうかと思ってます。狩りは休みにします。明日は東の森に向かう予定なのでクエストを見繕っておいて下さい。」
「東の森のD、E、Fランクのクエストを見繕って待ってますね。」
ギルドを後にし、商店街へ向かった。
「それなりに資金も溜まったから欲しいものがあったら言ってね。おいしいお菓子があったら良いんだけどね。」
「そうね。誠司のおかげで日用品や食料には困ることないし、何か面白いものが見つかるといいわね。」
「武器屋、防具屋、道具屋なんかも回ってみよう。武器を作ってみたいから鍛冶の仕事もみてみたいかな。今日は狩りを休みにしたし、ゆっくり楽しもう。ジョイさんには申し訳なかったが邪魔な護衛さんを断って良かったよ。」
マップを起動するとギルドのすぐそばに大きな武器屋があった。
まずは武器屋に向かう。
「いらっしゃいませ。王都一番の武器屋『ウサギの矛』へようこそ。」
ウサギ耳の獣人さんが接客する武器屋だった。
見渡すと従業員全員がウサ耳だった。
「本日はどのような武器をお求めですか?」
「俺が剣で彼女は杖が主力武器です。サブで他の武器も見てみたいと思ってます。」
「そうですか。あちらが剣のコーナーでこちらの奥が杖のコーナーになっております。その他の武器も多数そろえておりますので質問がございましたら気軽に声をかけてください。」
「ありがとうございます。」
さすがに売り物をコピーするのは申し訳ないので鑑定だけさせてもらった。
『鑑定眼の熟練度がMAXになりましたので神眼に進化しました。』
手当たり次第に鑑定したおかげで熟練度がMAXになった。
進化し神眼になったので今までは性能のみだったが、レシピや作製工程まで分かるようになった。
それで剣、杖以外の武器も鑑定してみることにした。
サブの武器もだが、今後仲間が出来たときに役立つだろう。
そして、一番奥のコーナーには素材が並んでいた。
ここで素材を購入し、オーダーメイドの武器を作ることもできるそうだ。
「すいません、ウサギのお姉さん。ここにある素材をちょっとずつ分けていただきたいのですが可能ですか?」
「ちょっとずつですか? 10g単位でしたら可能ですが。それでは何も作れないですよ?」
「俺は錬金術を持っているので実験をしてみたいんだ。」
「なるほど、了解しました。」
オリハルコンやアダマンタイトのような超レア素材は今の所持金では10gであっても購入できないが、鉄、鋼、銅、銀、金、ミスリルであれば購入できた。
複製して増やせるので俺にはちょっとだけあれば問題無いのだ。
それに超レア素材は王宮の宝物庫でコピー済みなので問題無い。
次は隣の防具屋だ。
「いらっしゃいませにゃ。『クマさんの防具屋』へようこそにゃ。」
こちらは店長がクマ獣人だが、店員は全員猫獣人さんだった。
店には革の鎧からフルメタルアーマーまでずらりと並んでいた。
「高価な装備には自動サイズ調整のスキルが付与されてるにゃ。一般品はサイズに合わせて購入するにゃ。ちょっと採寸するからこっちに来るにゃ。」
自動サイズ調整は便利なスキルなのでコピーさせてもらおう。
猫のお姉さんに奥の部屋に連れて行かれて隅々まで採寸された。
「お姉さん、そこは。。。 アッ。。。」
「変な声出すにゃ。全くもう! 気持ち悪いにゃ。これがお兄さんのサイズにゃ。さっさと買って帰るにゃ。」
そんなつもりは無いのに変態を見る冷たい目で見られた。
「どうしたの? 顔が赤いわよ?」
愛莉に指摘されてより恥ずかしくなった。
奥に毛皮や革、鱗らしき素材が陳列されていたのでゆっくり見たかったが、猫のお姉さんの目線が気になって集中できない。
ミノタウロスの革、ワイバーンの革、フォレストウルフの毛皮、フォレストスパイダーの布を10cmほど購入した。
それじゃ雑巾もできないぞと後ろに並んでいた冒険者に突っ込まれたが気にしない。
それから目に付いたものだけ鑑定し店を出た。
「なんか急いでたみたいだけど、何かあった?」
「愛莉さん、聞かないでください。」
3軒離れたところにある道具屋へ急いだ。
そこはおばあちゃんが一人で店を仕切っている然程大きくない道具屋だった。
しかし、高級品を多数扱っている品質重視の店であった。
棚に並んだ中級、高級ポーションを片っ端から鑑定をかけた。
ガラスケースに厳重に保管されているのは、生きてさえいれば何でも治せるエリクサーだそうだ。
信じられないほどの値段だった。
フフフ、鑑定して作り方が分かってしまったけどね。
入手困難な材料ばかりだが、いつか作りたいね。
「あんたたちはまだ初心者だね。すまんが、珍しい薬草が手に入ったら直接うちに卸してくれんかね。初心者じゃないと薬草を採らないからさ。」
「良いですよ。今ある端数になってギルドには買い取ってもらえなかった薬草とクエストにはなかった薬草を買い取ってもらえますか?」
「ほう。見せてもらえるかね。」
錬成の練習をしようとインベントリに残しておいた薬草を全部出してみた。
もちろん複製し、1つずつは残してあるので問題無い。
「素晴らしい! この鮮度。良いポーションが作れそうだ。珍しい薬草も含まれているね。よし、全部合わせて1金貨でどうだ?」
「交渉成立です。」
「時間制限付きのアイテムボックスを持っているようだね。また採ってきたら買い取るからよろしく頼むよ。」
ちょっと気になったので店長のおばあちゃんを鑑定してみた。
*ステータス
名前: ナターシャ
称号: 道具屋ナターシャ店長、元Bランク冒険者
職業: 魔導士
性別: 女
年齢: 55歳
レベル: 40
スキル
鑑定、火魔法、水魔法、風魔法、魔力感知、魔力操作、錬成術、調薬、採取
ユニークスキル
レア率UP、効能UP
「店長さんも錬成術が使えるんですね。ということはこの店のポーションは店長さんが作ったものですか?」
「ああ、そうだよ。店長じゃなく、ナターシャと呼んでおくれ。それに私は元冒険者でBランクまでいったんだよ。あんたも錬成術が使えるのかい?」
「はい。それでいろいろな素材を集めていたんです。」
「じゃあ、すまなかったね。せっかく集めた素材を買い取ってしまって。そうだ、錬成に使う道具と錬成方法の手解きをサービスするよ。錬成で分からないことがあったら何でも聞いておくれ。」
「ありがとうございます。」
ナターシャさんとは良い関係を築けそうだ。
「じゃあ、まず錬成の基礎の初級ポーションを作ってごらん。教えてやるよ。」
ナターシャさんと一緒にポーションを作りながらコツを教えてもらった。
「なかなか筋がいいよ。教えたことを思い出しながら何度も練習しなさい。」
「はい! ありがとうございました。」
道具屋を出て愛莉を見た。
「愛莉、長い時間つきあわせちゃってごめんね。今度は食べ物屋を巡ろう!」
「そうね。丁度お腹も減ってきたかも。」
それから食べ物屋をはしごし、もう食えんというまで店を巡った。
結果、日本の食事が一番うまいという結論となった。
その後、洋服屋や市場を回り、歩き疲れたのでマイルームでのんびりすることにした。
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