広域組対 捜査官 猿渡喜龍 (2)

「おい、すぐに、ここ何日か監視してる女子高生2人のどっちかを参考人として拘置所オリにブチ込めッ‼ 容疑は何でもいいッ‼」

『あ……あの……何を言ってんですか?』

 流石に部下は呆れ声だった。

「このままじゃ、俺達は『安徳』の狼男にブッ殺される。その回避策として、ようやく思い付いたのが……この手だ」

『無茶苦茶です』

「無茶苦茶でも、この手しか思い付かなかったんだよッ‼」

『え……えっと……だから……何がどうなってんですか? まずは状況を説明して下さい』

「あの狼男、夕方の5時までに有馬剛平の捜査情報を渡せと言ってきやがった。そして、俺達は、今、都合良く『レコンキスタ』の警官の妹どもを監視してる。あいつの身内をしょっぴいて、『レコンキスタ』のあの女から捜査情報を聞き出すしかねえ」

『えっと……あの女、警官は警官でも……捜査官じゃなくて殴り込み部隊ですよね?』

「あ……」

『あと、そもそも、有馬剛平って……長崎刑務所から脱走したあいつですか? あいつの脱獄の管轄って、どこなんですか?』

 あ……言われてみれば……。

 下手な「異能力者」を上回る戦闘能力を持っているが、「異能力者」かは結論が出てない犯罪者。

 なので、管轄が対異能力犯罪広域警察機構「レコンキスタ」なのか、各県警なのかが不明。

 もし、各県警だとしたら……脱獄した刑務所が有るのは長崎。

 その場合、捜査本部が有るのは長崎県警。

 でも、あの狼男が情報を欲しがってるって事は……あの狼男は有馬が久留米付近に居るって確証が有るらしい……。

 じゃあ、福岡県警も有馬の捜査をやってんのか?

 なら、あの狼男は、どうやって福岡県警の動きを把握つかんだ?

 しかも、有馬が久留米付近に居るなら……当然、長崎と福岡の間の佐賀県を経由してる可能性が高い。

 ひょっとして、佐賀県警も何か動いてるのか?

 冗談じゃねえ。

 あの狼男が満足してくれる情報は……最悪は3つの県警と1つの広域警察に分散してる可能性が有る。

 畜生……。

 クソ、どこから手を付ければいいんだ、一体?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る